ある産婦人科医のひとりごと

産婦人科医療のあれこれ。日記など。

病院の広報:当院産科の状況

2006年04月21日 | 飯田下伊那地域の産科問題

今後の実際の分娩件数は、『分娩予約件数+緊急母体搬送受け入れ件数+帰省分娩受け入れ件数』ですから、分娩予約件数が従来の実際の分娩件数の2倍程度ということは、今後の実際の分娩件数は従来の2倍では済まないということです。

当科のスタッフをさらに大幅に増員してセンター化を目指すか?、科をたたんでスタッフごと近隣のいくつかの広域医療圏の病院群と合併して非常に大きなセンターをどこかに作ることを目指すか?、何かさらなる有効な方策を考えざるをえない状況に早晩なってゆくのは必至と我々もみな考えてます。

とりあえず、この春での科の消滅を何とかくい止められましたが、来年の今頃にまだ科が存続しているかどうか?は全く確信が持てません。同僚の先生も、「先のことを考えると、不安で夜寝られなくなる...」とよくぼやいてます。

飯田市立病院ニュース(2006年4月発行、No.21)

お母さんが望む「よいお産」をめざして

 平成十八年三月末までに、飯田下伊那地域で三つの医療施設が出産の取扱いを止めました。それにより当院の分娩件数は、昨年までの月平均四十件が約二倍となり、四月以降の分娩予約件数は月平均八十件前後となっています。

 当院では分娩件数の増加に伴う院内の体制・対応を検討してきましたが、二月に産婦人科医が一名増え、現在四名体制となっています。

 施設面では、一月の初めから病棟の改修工事を行い、分娩室を一室増やしました。また、外来では医師が診察する場所と助産師が計測する場所を分けるために間仕切り工事をしました。これにより、妊婦健診などを受けられる皆さんへのプライバシーについて配慮できるようになりました。

 このほかに、妊婦さんとゆっくりお話ができる機会をつくるために「助産師外来」を始めました。対象者は三十七週以降の妊婦さんで、妊婦健診と赤ちゃんの心音やお母さんのお腹のはり具合などを診させてもらっています。特に、「どんなお産をしたいか」などの希望をお聞きして、分娩時には出来るだけお母さんの希望がかなえられるようにしています。最近では、「横を向いたまま」や「四つんばい」のお産や、へその緒がついたままで赤ちゃんを抱っこする「カンガルーケア」も行っています。

 また、お母さんと赤ちゃんがずっと一緒にいられるようにと考え、完全母児同室としてお部屋での授乳も始めました。

 私たちはこうした取り組みを続けながら、お母さんや、ご家族が望む「よいお産」を一緒に考え支援させていただきますので、いつでもお気軽にご相談ください。

【産婦人科】

編集・発行/飯田市立病院広報編集委員会


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11 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
今後月80件、つまり年間1000件程度の分娩を... (一人医長)
2006-04-21 06:37:55
病棟看護スタッフからも分娩が倍増しては忙しくてやってられない、といった不満が出てくるはずです。
公立病院ですので、給与は卒後年次によって科に関係なくほとんど一緒でしょうから、産婦人科医師のモチベーションがいずれ低下すると思います。苦しい思いをして働くだけ損、と考えざるを得ない状況にいずれなってきます。
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一人医長・様 (管理人)
2006-04-21 07:18:49
コメント、ありがとうございます。

我々スタッフの認識も、先生と全く同じです。
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福島県警察の加藤先生不当逮捕、福島県検察の不当... (ジャンヌ ダルク)
2006-04-22 13:10:45
福島県警察の加藤先生不当逮捕、福島県検察の不当起訴事件が今後かなり影響してきますから、この地域の産科が何時まで持つかですね。いずれ産科廃止撤退があるかも知れません。そうなった場合、それは全て福島県警察の加藤先生不当逮捕、福島県検察の不当起訴が原因です。
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僻地での産科医療を一人で支える医師として、福島... (一人医長)
2006-04-22 15:15:53
全ての責任は、医局を事実上解体した厚生労働省と、結果責任を追及する国民・福島県警・福島地検にあります。
今後、福島地裁が仮に無罪と判決を出したとしても、地検は最高裁まで争い、最終的な判決が出るまで数年はかかります。その間に、おそらく長くても1~2年以内に医局関連病院の集約化はどんどん進行します。
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 福島県警の表彰の話を聞いて、普段温厚でめった... (夫婦で医師)
2006-04-22 22:36:06
 打たれ強い全国の医師をここまで怒らせた、福島県警・地検、そしてなんら抗議行動を起こさない県民、ひいては政府の責任は重大です。
 この数年間にどうなるのか、恐ろしいことです。
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今朝のNHKニュースの中の特集がそうでしたか。... (naika 勤務医)
2006-04-23 12:25:27
先生が36時間が勤務週に二回とのことですが、二人しかいないのでは 週二回のはずがなく、言葉が足らなかったのでは と思いました。また 福島の事件についてのコメントも一切ありませんでしたね。残念でした。
それにしても管理人先生はブログの方も、お忙しい中、よく更新されているので、すごい と思いました。
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2人勤務の激務で頑張っていらっしゃったのは医局... (管理人)
2006-04-23 14:12:25
我々の施設にも、終日、取材カメラが病院内に入って、院内をいろいろと撮影して、患者さんやスタッフのインタビューの撮影もありましたが、当施設で撮影した映像は編集でほとんどカットされて、放映の最後の方で少し使用されていただけでした。

取材に来たNHKの担当の人には、取材の日は、私も丸1日お付き合いして、現在の産婦人科の置かれた状況については熱弁して、かなり理解していただけたとは思っています。『今後もこの問題は引き続き追いかけてゆきたい。』とおっしゃってました。今後も全国の産婦人科医療の状況をしっかりと報道し続けてほしいと思います。
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二つの病院が出て来たのは分かったのですが、 (naika 勤務医)
2006-04-23 23:20:21
どうも編集が短すぎて 普通に見ているだけでは どこがどこの病院なのかは分かりませんでした。
早とちりで すみません。しかし 大変なところは大変すぎるのは間違いありませんね。
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実は、3つの病院が出てました。 (管理人)
2006-04-24 06:01:46
最初の病院(H病院)は、最近、周辺の大きな地域中核病院が産科取り扱いを中止して、超多忙となった病院です。

次に出てきたS病院は、県内の他の地域の病院で、最近、医師不足のために分娩取り扱いを中止した病院です。

3つめに出てきた病院が我々の施設です。S病院で産めなくなってしまった患者さんが不安な気持ちを抱きながら遠路はるばる受診した地域中核病院という設定で、最後の最後に少しだけ登場してました。
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そうでしたね。 (naika 勤務医)
2006-04-24 20:38:53
初めは、三つ目の病院は最初の病院と同じなのかと早とちりをしていましたので、それを引きずっていて 二つと書いてしまいました。
三つ目の先生の病院の外来では、たまたま空いていた外来待合で撮っていたのかと思いました。他の患者さんが移らないような、異様に人が少ない雰囲気で、びっくりしました、初めは。
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