ある産婦人科医のひとりごと

産婦人科医療のあれこれ。日記など。

新型インフル: 妊婦向けに防腐剤が入ってないワクチンが100万人分供給される見込み

2009年09月20日 | 新型インフルエンザ

「新型インフルエンザに感染した妊婦はまず内科受診を」 日本産科婦人科学会が注意喚起

新型インフルワクチン最終案 1900万人接種最優先

****** 読売新聞、2009年9月20日

新型インフル、妊婦向けに防腐剤なしワクチン

 厚生労働省は、新型インフルエンザに感染すると重症化するリスクが高い妊婦のために、胎児への影響が不明な有機水銀系の防腐剤が入っていないワクチンを供給することを決めた。

 国内の妊婦をほぼカバーできる約100万人分の製造を、国内のメーカーが進めている。11月中旬ごろから、普通のワクチンと選択できるようになる見込みだ。

 通常のインフルエンザワクチンは、10ミリ・リットルか1ミリ・リットルの小瓶に入っている。この小瓶から、13歳以上は1回0・5ミリ・リットル、6歳以上13歳未満は0・3ミリ・リットルなどと、年齢に応じて決められた使用量を注射器で吸い出して使う。そのため、雑菌が混入、繁殖しないよう、エチル水銀系の防腐剤などが使われている。

 新しい妊婦用ワクチンは小瓶を使わず、製造段階で使い捨て注射器に1回分(0・5ミリ・リットル)を封入することによって、雑菌の混入を防ぐ仕組み。

 エチル水銀は重大な健康被害はないとされているが、胎児への影響は不明。国内では従来、妊婦へのワクチン接種を極力避けてきた経緯がある。

(読売新聞、2009年9月20日)

****** 共同通信、2009年9月19日

妊婦にワクチン90%の効果 

インフル免疫、新型も期待

 妊娠中に季節性インフルエンザワクチンを接種した女性には、感染や重症化予防に必要な抗体が90%の確率で生成され、胎児にも十分な免疫力が備わることが19日、国立成育医療センター(東京)の研究で分かった。

 一般の人に比べ、安全面に慎重な配慮が必要で研究対象になりにくい妊婦や胎児について、インフルエンザワクチンの有効性を免疫学的に立証した報告は海外にも例がないといい、研究を主導した同センター母性内科の山口晃史医師は「副作用も認められなかった。新型インフルエンザ用ワクチンも製造法は基本的に同じなので、同様の効果が期待できる」としている。

 研究は一昨年から昨年にかけ、同センターに来院した妊娠15~39週の女性125人(25~41歳)を対象に実施。病原性を除去したA型2種、B型1種のウイルス株を含む不活化ワクチンを使い、接種前と接種1カ月後の血中の抗体価(免疫力を示す指標)を調べた。

 その結果、45人は接種以前に3種すべてのウイルスに免疫があり反応は鈍かったが、残り80人の90%に当たる72人は、ワクチンに明確に反応。免疫のないウイルスに対する抗体が急増し、十分な免疫力の目安とされる「抗体価40倍」を超えた。8人は反応したものの程度が不十分だった。

 研究論文は近く米ウイルス学専門誌「ジャーナル・オブ・メディカル・バイロロジー」に掲載される。

インフルエンザワクチン 国内で製造されているワクチンは、培養したインフルエンザウイルスをエーテルで処理して感染性や病原性を失わせ、表面のタンパクを有効成分として使用する「スプリットタイプ」と呼ばれるもの。国内4社が新型インフルエンザ用ワクチンを製造しているが、これらは従来の季節性インフルエンザ用と製法が同じため、新たな治験や承認は必要ない。インフルエンザワクチンは重症化や死亡を防ぐことに一定の効果があるとされるが、感染防止や流行阻止について効果は保証されていない。また、まれではあるが、重い副作用が起こる可能性もある。

(共同通信、2009年9月19日)

****** 読売新聞、2009年9月19日

新型ワクチン優先接種、ぜんそく・心疾患などに

 厚生労働省は18日、新型インフルエンザワクチンを優先接種する9種類の病気を公表した。

 季節性インフルエンザワクチンとの同時接種についても、国産の新型ワクチンに限って認める方針を示した。持病がある人約900万人を、医療従事者に次ぐ2番目の優先対象としていたが、病名がはっきりしていなかった。

 9種類の内訳は〈1〉慢性呼吸器疾患(ぜんそくなど)〈2〉慢性心疾患〈3〉慢性腎疾患(透析患者も)〈4〉肝硬変〈5〉神経疾患・神経筋疾患(多発性硬化症など)〈6〉血液疾患(急性白血病など)〈7〉糖尿病〈8〉がんなどで免疫が抑制された状態〈9〉小児の疾患(重症心身障害も含む)。

 それぞれの病気の中で、季節性インフルエンザを発症すると重症化しやすい患者を、特に優先する。〈1〉なら、「ぜんそく患者や肺気腫などで継続して治療を受けている人」になる。

 季節性ワクチンとの同時接種は、通院回数を減らせることから、要望が強かった。ただ、現時点で安全性を確認できていない輸入ワクチンについては、判断を見合わせた。

(読売新聞、2009年9月19日)

****** 毎日新聞、2009年9月18日

新型インフル:季節性とのワクチン同時接種を容認 厚労省

 厚生労働省は18日、新型インフルエンザワクチンの専門家会合を開き、医師の判断に基づき、季節性と新型ワクチンの同時接種を認める方針を示した。

 通常、異なるワクチンの同時接種は副作用が生じた場合、原因解明が難しくなるため避けられている。だが、厚労省は季節性、新型ともに流行が拡大する冬季を前に、同時接種を容認する姿勢を示し、医療機関の負担を軽減するとともに、利用者の通院回数を減らし医療機関での感染拡大を防ぐことにした。【江口一】

(毎日新聞、2009年9月18日)

****** NHKニュース、2009年9月18日

感染小児重症化 学会が対策室

17日、横浜の小学6年生の男の子が死亡するなど、国内で新型インフルエンザに感染した子どもが重症化するケースが増え始めていることから、日本小児科学会では専門家による対策室を設置し、全国およそ3000の医療機関から抗ウイルス薬の効果などの情報を集め、治療の遅れが起きないよう医療態勢の整備を進めていくことになりました。

新型インフルエンザをめぐっては、17日、横浜の小学6年生の男の子が死亡し、国内で初めての子どもの死亡例となったほか、各地で重い肺炎や脳炎になった子どもの例が報告されていて、感染の拡大に伴い同様のケースの急増することが懸念されています。このため日本小児科学会では、感染症の専門家11人による「新型インフルエンザ対策室」を新たに設置したもので、意識障害などを引き起こす「インフルエンザ脳症」や「ARDS」と呼ばれる急性の重い肺炎になった場合の最新の治療指針を来週中にまとめ、インターネットなどを通じ、全国の小児科の医師に周知することにしています。また、全国およそ3000の病院に呼びかけて、重症で入院したすべての子どもについて、▽ぜんそくなど基礎疾患の有無や▽症状の進み方、それに▽抗ウイルス薬の効果などの情報を集め、治療の遅れで症状が悪化することがないよう医療態勢の整備を進めていくことになりました。対策室長を務める岡山大学の森島恒雄教授は「情報の共有化が遅れている影響で、医療現場の危機感に温度差がある。対策室が中心となって、重症の子どもの命を救える全国的な態勢づくりを急ぎたい」と話しています。

(NHKニュース、2009年9月18日)

****** 読売新聞、2009年9月17日

新型インフル国産ワクチンの治験始まる

 厚生労働省は17日、新型インフルエンザの国産ワクチンの安全性や有効性を確認する臨床試験(治験)を全国4病院で始めた。

 健康な20~64歳のボランティアの男女計200人に接種し、10月中旬に中間報告を行う。

 被験者は100人ずつ2グループに分かれ、一方は1回あたり0・5ミリ・リットル、もう一方は倍の同1ミリ・リットルを、それぞれ3週間の間隔を置いて2回接種し、抗体がどのくらいできたか調べる。季節性インフルエンザの用量は0・5ミリ・リットルだが、これまでに感染経験のない新型ウイルスのため、2倍の用量を接種した場合の効果を確認する。

 三重県内の病院では、公募で選ばれた被験者に、医師が体温や体調を聞き取りながら、ワクチンを注射した。17、18日で計50人に1回目の接種を行う。

(読売新聞、2009年9月17日)

****** 読売新聞、2009年9月16日

新型インフルワクチン、国内初の治験開始

 新型インフルエンザワクチンの有効性や安全性を確認する臨床試験(治験)が16日、国内では初めて鹿児島市内の治験専門の医療機関で始まった。

 初日は成人男女25人に接種。19日まで成人計100人を対象に効果を試す。

 ワクチンはスイスの大手製薬企業「ノバルティス」が製造。日本法人「ノバルティスファーマ」(東京都港区)が治験を行う。

 100人はそれぞれ、3週間後にもう一度接種し、抗体ができたかどうか血液を調べる。成人の安全性が確認されれば、10月から生後6か月~19歳の120人を対象に治験を実施し、12月にはすべての治験を終える予定。18日からは大阪市の医療機関でも成人への接種を始める。

 同社のワクチンの治験は、すでに英国で18~50歳の100人を対象にして行われており、1回の接種でも80%に効果があったとされている。

(読売新聞、2009年9月16日)

****** 読売新聞、2009年9月16日

新型、軽くてもタミフル早めに…感染症学会

 日本感染症学会は15日、新型インフルエンザの感染が疑われた場合には、軽症でも、タミフルなどの治療薬を早期に投与すべきだとする提言をまとめた。

 世界保健機関(WHO)は、6歳以上の若年者や64歳以下の成人で、かつ軽症の場合、治療薬の投与は不要とする指針を示している。これに対して、今回の提言は「WHOの指針は治療薬の備蓄が少ない国々の事情を踏まえたもの。備蓄が豊富な日本では、感染が少しでも疑われたら、できるかぎり早く治療薬を投与すべきだ」としている。

(読売新聞、2009年9月16日)

****** 読売新聞、2009年9月13日

新型インフル大流行時の沖縄、受診6時間待ちも

 この夏、沖縄県では全国でも突出して早く新型インフルエンザの流行が進んだ。最も多い週には県内58の定点医療機関だけで2686人(定点あたり46・31)と、例年の季節性のピークに近い患者数に達した。医療現場は、どんな状況になったのか。現地で取材した。

 ◆患者が倍々に

 「あっという間に患者が倍々に増えた。(受診数の)天井が全く見えず、毎日のように新しい対策が必要になった」。那覇の新都心・おもろまちの近くに立つ那覇市立病院。宮城とも・副看護部長はそう振り返る。

 沖縄では7月下旬から患者が増え、8月15日に全国で最初の死者が出た。受診が急増したのは、その翌日の日曜からだ。夜間休日診療を受け持つ市立病院には206人が訪れ、一般の急患を合わせると計300人以上であふれ、最高6時間待たされた人もいた。

 県立南部医療センター・こども医療センター(南風原町)にも98人が受診し、一般を含めると計220人が来て3時間待ちの状態。

 次の日曜の23日にはさらに増え、両病院だけで計353人がインフルエンザ症状を訴えて受診した。市立病院は、感染防御のため専用の臨時待合室も設けた。

 ◆自由選択が影響

 問題は、余裕のある病院や診療所がほかにあるのに、両病院を中心に一部施設への集中が続いたことだ。

 5月の兵庫・大阪での流行のあと、政府は特定施設に受診を限る方式をやめ、広く一般の医療機関での診療を認めた。それでも事前に電話してから受診するのが原則だが、受診先を自由に選べることが、特定の病院への集中につながった。

 ◆難しい見極め

 医療機関が機能不全に陥るのを防ぐには軽症者が外来受診を控えたほうがいい。しかし県内の重症者9人(死亡1人)のうち、6人は慢性疾患などのリスク要因がなく、ふだん健康な人だった。現場の医師らは「電話相談で軽症と判断しても、責任を持って『受診を控えて』とは言えない」と口をそろえる。

 県医務課は、県内の子どもの心臓手術を一手に担う南部センターがマヒしないよう、小児用の人工呼吸器を持つ10病院の使用状況を毎日調べ、小児患者を割り振るシステムを構築。もし集中治療室が満床になれば、琉球大病院がバックアップする体制も整えた。

 県医師会の宮里善次・感染症担当理事は「だれがいつ重症化するのか、特徴がわからず、多くの人を受け入れざるを得ないが、軽症者への対応に振り回されてはいけない。診察は少々待ってもらってもいい。大切なのは死者の最少化。重症者が手遅れにならないよう、医療機関の役割分担、受け入れ態勢を整えておくことが肝心だ」と強調した。 【大阪科学部 萩原隆史】

(読売新聞、2009年9月13日)

****** 毎日新聞、2009年9月13日

新型インフル:子どもに重症肺炎

…沖縄で5例 小児科学会

 日本小児科学会(横田俊平会長)は13日、新型インフルエンザを発症した子どもの中で、急激に呼吸困難となる重症の肺炎が起きていることを明らかにした。子どもが感染した場合、保護者らは様子を注意深く見守る必要がありそうだ。

 同学会によると、沖縄県では、これまでに子ども5人の重症肺炎の症例が報告され、人工呼吸器による治療を受けた。症状としては、発熱などインフルエンザと思われる症状が表れてから6~12時間で急激に呼吸状態が悪化し、エックス線写真で肺が真っ白になるほど炎症が進むという。

 また、呼吸困難の兆候には、呼吸が速い▽呼吸の頻度が多い▽息を吸うときに胸の一部が陥没する▽顔や唇が青白くなる--などがあるという。同学会は肺炎や急性脳症などの重症例の把握を急ぐとともに、近く一般向けに症例や治療法をまとめる方針。 【江口一】

(毎日新聞、2009年9月13日)

****** 読売新聞、2009年9月4日

ワクチン、1900万人に優先接種…最終案

 厚生労働省は4日、新型インフルエンザワクチン接種についての最終方針案を公表した。

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 必要としたワクチンは5400万人分。医療従事者と重症化しやすい人の合計1900万人を最優先接種者とし、この中での接種順位も示した。国民の意見を6日から1週間募り、政府の専門家諮問委員会に諮った上で、9月末までに正式決定する。接種は10月下旬から始まる見込みだ。

 ぜんそくや糖尿病など持病のある人の中では1歳~就学前の小児を優先する。ワクチンで免疫がつきにくい乳児は両親に接種する方針で、当初は乳児の年齢を6か月未満としていたが、1歳未満に拡大した。

 年度内に国内メーカーが生産できるワクチンは1800万人分だ。10月下旬から供給が始まり、最優先接種者に接種する。不足する分は輸入し、小中高校生と高齢者に使う。ワクチン到着は12月下旬以降になる見通しだ。ワクチンは2回の接種が必要。1回目の接種から免疫がつくまでには1か月ほどかかる。厚労省の「流行シナリオ」では流行ピークを10月上旬としており、10月下旬から接種が始まるとすれば、ピークに間に合わない可能性もある。

(読売新聞、2009年9月4日)


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