ある産婦人科医のひとりごと

産婦人科医療のあれこれ。日記など。

心房中隔欠損症(ASD)

2011年09月20日 | 周産期医学

atrial septal defect

【定義】 左右の心房を隔てる心房中隔に欠損孔のあるもの。

Atrial_septal_defecten

【分類】
二次孔中隔型 secundum type:
 最も多い、先天性心疾患の7~13%、女性に多い(男女比 1:2)
一次中隔型 primum type
静脈洞型 sinus venosus type
冠静脈洞型 coronary sinus type

Asd

【臨床症状と経過】

・ 乳幼児期は無症状

・ 心雑音または学校検診の心電図異常などで発見される。

・ 20代後半より労作性呼吸困難、動悸、息切れ

【臨床所見】
1)理学所見
・ 胸骨左縁第2~3肋間に収縮期駆出性雑音(相対的肺動脈狭窄)
・ Ⅱ音の固定性分裂(呼吸による変動がない)
・ 拡張期中期ランブル(相対的三尖弁狭窄音)

2)胸部X線所見
 左2弓の突出、肺血管造影の増強、右心室拡大

3)心電図所見
・ 正常~右軸偏位
・ 不完全右脚ブロックパターン(IRBBB)

4)心エコー
・ 右心室、右心房の拡大と欠損孔(四腔断面)
・ 心室中隔の奇異性運動

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経食道エコー: 経胸壁エコーでは診断が困難な場合、またカテーテル心房中隔閉鎖術の適応判断のため必須の検査。

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【合併症】
① 肺高血圧症: 多くは思春期以降に生ずる。

② 僧房弁逸脱症: 15~40%に出現

③ 部分肺静脈還流異常症: 9%に合併し多くは静脈洞型に認められる。

【治療】
1)外科治療: 肺高血圧がなく、肺/体血流比≧2.0なら、小児期から思春期の間に手術を行う。乳児期に心不全症状を起こしたものは、その時期に手術を行う。

2)カテーテル閉鎖術: 2006年より我が国でもカレーテル心房中隔閉鎖術が保険適用となり、外科手術と同等の成績をおさめている。経食道エコーによる評価が重要である。

【予後】 自然閉鎖する率は低い。感染性心内膜炎の合併はきわめて稀である。


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