ある産婦人科医のひとりごと

産婦人科医療のあれこれ。日記など。

研修医の動向、地域格差

2008年07月16日 | 地域医療

今年もまもなく研修医マッチングの選考手続きが始まります。また、2年目の初期研修医達も来年から専門研修(後期研修)をする病院をそろそろ決定しなければならない時期です。

研修医にとっては、勤務病院の待遇改善やQOL(生活の質)ももちろん大切な要素ですが、多くの症例を経験し、基本的な技術や考え方をしっかりと修得できる研修環境が必要です。一つの病院の特殊なやり方だけに染まらず、いくつかの病院で多くの先輩医師のろいろな手技や考え方を学んで、自分を鍛えていく必要があると思います。多くの仲間と一緒に切磋琢磨して、腕を磨いていけるような研修環境が理想的です。

いくら医師不足で地方が困っているからと言って、研修環境を全く無視して、研修医をいきなり医療過疎地域に強制配置するようなやり方ではまずいと思います。大学病院と地域基幹病院とが全面的に協力しあって、あせらず長い目で、若い医師たちをじっくりと育てていく必要があると思います。

****** 信濃毎日新聞、2008年7月15日

県内集まらぬ研修医 受け入れ指定28病院「充足率」53% 7施設はゼロ 全国平均下回る

 研修医を受け入れる指定を国から受けた県内の28病院で、募集数に対する受け入れ数を示す「充足率」が本年度、53・9%にとどまり、うち7病院は研修医が1人もいないことが14日、信濃毎日新聞社の調べで分かった。医師が少ないことなどから「自分が望む研修が受けられない」として、医学生が敬遠する例が多いとみられる。研修医不在の病院からは、今後の医師不足につながる恐れを心配する声が出ている。

 県内28病院が受け入れた研修医は、計204人の募集に対し、4月1日現在で計110人。4月の全国の平均充足率の69・4%を下回り、東京(86・7%)とは大きく差が開いている。

 研修医がいない7病院は中信3、南信2、東信1、北信1。1年目の研修医がいないのは10病院、2年目がいないのは9病院に上った。充足率100%は6病院だった。

 医学生は、研修先として複数の病院を希望。財団法人が仲立ちとなって病院との希望を結び付ける「マッチング」で研修先が決まる。ただ、病床数や入院患者などを基に算出される全体の募集数が、医学生の数を上回る「売り手市場」になっており、医学生の希望が大きく左右しているのが現状だ。

 研修医がいない県内の病院の担当者は「指導する医師や症例数が少ない地方病院は、学生にアピールするのに限界がある。研修医が選ばない病院は将来の職場として選択される可能性も低く、東京や県内の大規模病院との差はますます開く」と懸念している。

(以下略)

(信濃毎日新聞、2008年7月15日)


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