ある産婦人科医のひとりごと

産婦人科医療全般、産婦人科医不足の問題、地域周産期医療の現状と未来、当医療圏の産科問題に対する取り組み。

常位胎盤早期剥離(じょういたいばんそうきはくり)Q&A

2014年05月30日 | 周産期医学

Q:常位胎盤早期剥離とはどんな病気ですか?この病気の原因、症状、なりやすい妊娠週数、診断するための検査、治療方法などについて教えてください。また、この病気を予防するために私達にできることは何かありますか?

A:常位胎盤早期剥離とは、「正常な位置にある胎盤が胎児の娩出よりも前に子宮壁から剥離されること」をいいます。放置すると胎児死亡や母体死亡の原因ともなり、発症後は大至急の対応が必要です。常位胎盤早期剥離の典型的な自覚症状は動けなくなるぐらいに激烈な下腹痛で、お腹は板のように硬くなります。性器出血がみられることもあります。胎動が減少または消失します。症状が典型的でない場合も多いです。妊娠高血圧症候群、常位胎盤早期剥離の既往、交通事故などの腹部の外傷、喫煙などの危険因子に該当する場合、常位胎盤早期剥離を発症しやすくなります。これらの危険因子に該当しない場合でも、常位胎盤早期剥離を突然発症することもあります。発症時期は妊娠30週以降が多いです。臨床症状から常位胎盤早期剥離を疑った場合、腹部超音波検査、胎児心拍モニター、血液検査などを行います。これらの検査で常位胎盤早期剥離と診断された場合は、できるだけ早急に分娩を終了させる必要があり、胎児の生存が確認された場合は、経腟分娩の直前でなければ緊急帝王切開を行います。胎児が死亡していた場合でも、時間の経過により母体のDIC(血が止まらなくなる状態)が進行するので、すみやかな経腟分娩または帝王切開を行います。それと同時にDICに対する予防あるいは治療を行います。常位胎盤早期剥離は母児の生命にかかわる非常に重大な疾患ですが、いつ誰におこるのかの予測は困難です。適切な予防法もありません。常位胎盤早期剥離がおこった場合に、発症後できるだけ早く診断し、緊急帝王切開などの母児の緊急救命処置を行うことが、我々にできる唯一かつ最善の道です。強い腹痛や性器出血などの症状が出現したら早急に対応可能な医療機関を受診することが重要です。妊婦健診をきっかけに妊娠高血圧症候群などの常位胎盤早期剥離の危険因子がみつかることもありますので、適切な時期や間隔で妊婦健診を受けることも大切です。

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