ある産婦人科医のひとりごと

産婦人科医療のあれこれ。日記など。

吉野ヶ里遺跡

2011年01月15日 | 日記・エッセイ・コラム

佐賀市のどんぐり村で開催された日本周産期・新生児医学会学術集会(第29回周産期学シンポジウム)に参加し、昨日、日本版新生児蘇生法ガイドライン2010のアップデート講習会を受講しました。

昨日は、どんぐり村の学会会場までたどり着くのに、自家用車で長野県の自宅を出発してからほぼノンストップで約15時間もかかりました。全国的に大雪となり始めているようですが、佐賀市でも雪が降り始めました。明日は1日がかりで自宅まで帰る予定ですが、大雪の中で明日のうちに自宅まで帰り着けるかどうか心配です。

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本日夕方、長年の夢がかなって吉野ヶ里(よしのがり)歴史公園を初めて訪問することができました。今の中学生達が学んでいる歴史教科書には、吉野ヶ里遺跡は弥生時代の代表的な遺跡として必ず記載されてますが、私が中学生の頃の歴史教科書には載ってませんでした。ですから、吉野ヶ里遺跡は、今の若い人達にとっては誰でも知ってる常識語ですが、中高年世代だと知らない人の方が圧倒的に多いのではないかと思われます。私が吉野ヶ里遺跡のことを初めて知ったのは、2002年(平成14年)1月15日に放映されたNHKの特集番組:「プロジェクトX ― 挑戦者たち ―王が眠る神秘の遺跡 ― 父と息子・執念の吉野ヶ里」を見た時でした。

参考:吉野ヶ里遺跡―復元された弥生大集落、七田忠昭著

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1986年(昭和61年)、吉野ヶ里で巨大工業団地建設計画に伴う「開発調査」が開始された。開発調査とは、建設区域に遺跡があるかどうか調査することを、文化財保護法によって義務付けたものであり、調査は工事をする側の責任において行う必要がある。佐賀県庁文化課では吉野ヶ里発掘プロジェクトを立ち上げ、リーダーを含めて6名のメンバーで調査を開始した。

吉野ヶ里は、昔から畑を耕せば土器がでてくるというような土地であった。しかし、そこが古代の王国跡だとは誰も思ってはいなかった。そうした中でただ一人、七田忠志(地元高校の歴史教師)だけは違っていた。生涯をかけて(1981年、昭和56年没)独力で発掘調査を続けた。彼の没後、その息子・七田忠昭が佐賀県庁文化課の吉野ヶ里発掘プロジェクトのリーダーとなった。

発掘は順調に進んだ。忠昭は父の夢みた王国が具体的な姿を現してくるのを素直に喜んだ。ただし、この発掘の目的は「開発調査」であり、発掘が終わり次第遺跡は壊されてしまい、二度と再び人々の目に触れることはない筈だった。発掘現場周辺ではブルドーザーが準備活動を始めていた。調査を終了した地点から、順次工業団地建設に向けて整地するためである。

発掘を進めるうちに忠昭は確信した。この遺跡は絶対に壊してはならない。そこで、あらゆる手立てを尽くして遺跡を破壊から守ろうとした。そして、最終的に吉野ヶ里遺跡が永久保存されるきっかけとなったのは、佐賀県知事・香月熊雄の判断であった。

吉野ヶ里遺跡は、1991年(平成3年)5月28日に国の特別史跡に指定された。さらに、1992年(平成4年)10月27日の閣議決定により、国営公園(吉野ヶ里歴史公園、面積54ヘクタール)として国土交通省によって整備されることになった。また、本公園の周囲は、国営公園と一体となった遺跡の環境保全、及び歴史公園としての機能の充実をはかるため、県営公園(約63ヘクタール)として佐賀県によって整備が進められている。すなわち、吉野ヶ里遺跡は、その周囲も含めて総面積約117ヘクタールの区域が、一体的な都市公園として整備されている。

吉野ヶ里遺跡は、弥生大集落を復元した全国最大規模の遺跡として知られている。弥生時代を通して存在しており、ムラからクニへの変遷の跡をたどることができる非常に貴重な遺跡である。

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雪が降り始めた吉野ヶ里歴史公園(2011年1月15日、日暮れ)

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
初めまして、いつも参考にさせて頂いております。 (アゲ)
2011-01-17 14:39:38
佐賀まで15時間もかけて行かれたのですね、お疲れ様です。僕も吉野ケ里遺跡にはいつか行ってみたいと思っています。
さて、今日ご自宅に帰れたのでしょうか^^;お疲れだとは思いますが、またお仕事頑張って下さい。
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コメントありがとうございます。 (管理人)
2011-01-17 20:52:36
帰途はずっと雪が降り続いてました。中国自動車道に入ったとたんに「積雪のため通行止め」でした。特に、兵庫県内、関ヶ原付近、名古屋近辺では大変な大雪になってました。朝までには自宅までたどり着くことができ、何とか、お仕事にも間に合いました。
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