ある産婦人科医のひとりごと

産婦人科医療のあれこれ。日記など。

新型インフルエンザ: ワクチン接種の基本方針決定

2009年10月02日 | 新型インフルエンザ

新型インフル: 感染中の分娩では産後すぐに母子を1週間隔離

新型インフル: 妊婦向けに防腐剤が入ってないワクチンが100万人分供給される見込み

「新型インフルエンザに感染した妊婦はまず内科受診を」 日本産科婦人科学会が注意喚起

****** 中日新聞、2009年10月2日

新型インフルエンザ:10月中旬からワクチン接種 2回で一律6150円

 政府の新型インフルエンザ対策本部は1日、ワクチン接種の基本方針を決定した。10月中旬から医療従事者や妊婦、基礎疾患(持病)がある人ら約5400万人を対象に順次接種する。費用は接種2回で全国一律6150円とし、国と地方自治体が分担して生活保護世帯を無料とするなどの負担軽減策を取る。

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 ワクチンは5000万人分の輸入を含め来年3月までに計7700万人分を確保する方針。

 接種対象で優先されるのは、医療従事者▽妊婦と基礎疾患(持病)がある人▽1歳~小学3年までの子ども▽1歳未満の乳児の保護者と、優先対象だがアレルギーなどで接種を受けられない人の保護者-の順。小学4~6年生、中高校生、持病のない65歳以上の高齢者も優先する。

 国産ワクチンは19日の週から接種を開始。輸入ワクチンは12月末~1月に輸入が始まる。妊婦らの最優先対象者は国産ワクチン、次に優先する小学高学年、中高生、持病のない高齢者らには輸入ワクチンの接種も想定されている。

 希望者は、都道府県ごとに決める接種時期や日程に従って医療機関などで2回接種する。費用は1回目が3600円、2回目が2550円となる。

 副作用被害の救済制度の拡充や、輸入ワクチンの副作用被害で訴訟が起きた場合、メーカー側の訴訟費用や賠償金を国が肩代わりする内容の特別立法を臨時国会に提出する。

(中日新聞、2009年10月2日)

****** 読売新聞、2009年10月2日

ワクチン接種、19日から…大半は年明け

 政府の新型インフルエンザ対策本部(本部長=鳩山首相)は1日、ワクチン接種に関する基本方針を正式決定した。接種は10月19日の週から始める。医療従事者と重症化の危険性が高い人など計5400万人に順次接種していくが、児童・生徒や高齢者など大半の対象者は年明けの接種になり、流行のピークに間に合わない恐れもある。

 基本方針では、接種目的として感染者の重症化を防ぎ、医療体制を維持することを明示した。接種するかどうかは対象者自身が決め、接種費用(2回接種で計6150円)は自己負担となる。生活保護世帯を含む市町村民税非課税世帯は、無料にする。

 ワクチンは来年3月までに1385億円をかけ、国産2700万人分と海外産4950万人分(計7650万人分)を確保する。

 副作用が起きた人に対して行う救済措置は、季節性インフルエンザワクチンの定期接種と同等にする新たな制度を作る。また、海外ワクチンメーカーが副作用の免責を求めているため、副作用被害者が企業を相手取って訴訟を起こした場合、企業側の訴訟費用や賠償金を政府が肩代わりする制度創設に向け、特別措置法案を今秋の臨時国会に提出する方針だ。

 ワクチンは、優先順位に従って接種。医療従事者や妊婦など優先接種対象者には国産を、健康な児童・生徒と高齢者は来年1月から海外産を接種する。小学校低学年については重症化する症例が多いため、優先接種対象者に組み入れた。

 厚生労働省は今後、全国の各医療機関と接種に関する委託契約を結び、10月中旬までに医療機関名を公表する。対象者は予約をした上で接種するが、医師が保健所などに赴く形での集団接種もできるようにする。

(読売新聞、2009年10月2日)

****** 毎日新聞、2009年10月2日

新型インフルエンザ:ワクチン2回で6150円--接種19日から

 政府は1日、政権交代後初の新型インフルエンザ対策本部(本部長、鳩山由紀夫首相)の会合を開き、ワクチン接種の基本方針を決めた。19日をめどに接種を始め、(1)医療従事者(2)妊婦と基礎疾患のある人(3)1歳~小学校低学年(4)1歳未満の小児らの保護者(5)小学校高学年~高校生と高齢者--の順に進める。同じ医療機関で2回打った場合、接種費用は計6150円になる。

 9月上旬の厚生労働省案では、小学校低学年の接種順位は最後のグループだったが、10歳未満の小児の入院が多いことなどから引き上げた。優先対象の合計は約5400万人で、(1)~(4)の約2300万人は原則的に国産ワクチンを使う。(5)の約3100万人には輸入ワクチンも使う。

 費用は全国一律で1回3600円。2回目は同じ医療機関ならば初診料分が減額されて2550円になる。住民税非課税世帯の優先接種対象者は、65歳以上が対象の季節性インフルエンザワクチンの定期接種と同様に、無料で受けられる。対象者全体の3割弱が無料になるという。

 政府は年度内に必要な新型インフルエンザ対策費を3000億~4000億円と推計。うち約1380億円はワクチン買い上げ費で、低所得者の接種費用の公費負担は約900億円を見込む。公費負担は国が2分の1、都道府県と市町村が4分の1ずつだが、自治体負担分の約450億円は特別交付税を交付する。【清水健二、江口一】

(毎日新聞、2009年10月2日)

****** 毎日新聞、2009年10月2日

新型インフルエンザ:ワクチン接種、妊婦は来月から 優先対象、基礎疾患は八つ

 政府の新型インフルエンザ対策本部の基本方針を基に決定されたワクチン接種のスケジュール。医療従事者を除いた優先接種対象者のうち、妊婦など最も優先度が高い人たちは、11月から接種が始まることになった。年度内には全優先接種対象者(約5400万人)への接種を終える方針だ。【江口一、清水健二】

 優先接種対象となる基礎疾患(持病)について、厚生労働省は慢性の呼吸器病や心臓病など八つを示した。当初は供給量が限られるため、小児を含め、中でも最優先とする患者の基準を設定。この人たちは11月に接種を始め、それ以外の患者は12月以降接種予定とした。

 接種対象の1歳~小学3年生までのうち、アレルギーなどがあって接種できない子の保護者らも新たに優先接種対象となり、1歳未満の保護者と併せて来年1月以降接種する。

 対象者かどうかは医師が判断し、接種は基本的にかかりつけの医療機関で予約して受ける。しかし自治体の方針などによっては接種対象者の証明書を発行してもらい、別の医療機関や保健所などで接種することもある。

 スケジュールは、対象者に4週間間隔で2回接種することを前提としている。しかし、海外では「健康な成人には1回接種で十分」との臨床試験(治験)結果が出ており、国内の結果も10月中旬には判明するため、今月下旬以降に見直される可能性もある。その場合は、優先接種対象者以外の一般国民も接種を受けられるようになる可能性もある。

 輸入ワクチンは国内の治験などで安全性が確認されれば、来年1月から使用を始める。製薬会社大手のグラクソ・スミスクライン(英)から3700万人分、ノバルティス(スイス)から1250万人分を輸入するとしている。両社は副作用被害に対する免責を販売条件にしており、政府は、訴訟費用などの損失を国が肩代わりするための特別法案を臨時国会に提出する。

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優先接種対象の基礎疾患と、その中でも最優先となる患者の基準

対象の疾患 最優先となる患者の基準

慢性の呼吸器病 治療や綿密な経過観察が必要なぜんそくや肺気腫などの患者。特に呼吸機能の低下している患者

慢性の心臓病 「安静時には無症状だが、日常活動でも疲労や動悸(どうき)、呼吸困難、狭心痛がある」という状態より重い症状の患者

慢性の腎臓病 透析中や透析を始める前の腎不全患者。腎移植を受けた人。腎臓病と他の合併症がある人など

肝硬変 進行した患者

神経・神経筋の病気 多発性硬化症や重症筋無力症など免疫異常性の神経疾患。筋萎縮(いしゅく)性側索硬化症(ALS)などの神経難病で呼吸障害などがある人

血液の病気 白血病、悪性リンパ腫などすべての造血器腫瘍(しゅよう)患者。造血幹細胞移植後、半年以上たった患者

糖尿病 ぜんそくや心臓病、腎不全などを併発した糖尿病患者や妊婦。1歳~高校生までの患者、インスリン療法が必要な患者

病気や治療で免疫抑制状態 HIV感染を含む免疫不全疾患。抗がん剤治療中の人。免疫抑制剤やステロイドを継続して使っている人

小児の病気 長期入院の子ども、ぜんそく、脳性まひ、重症心身障害児。15歳までの染色体異常症、小児がんなど

※最優先ではない患者は、基礎疾患のある人(その他)に分類される。

(毎日新聞、2009年10月2日)


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