ある産婦人科医のひとりごと

産婦人科医療のあれこれ。日記など。

卵胞におけるエストラジオールの産生

2020年07月27日 | 生殖内分泌

“two cell, two gonadotropin theory“
2細胞2ゴナドトロピン説

エストロゲンはエストロゲン受容体に結合してホルモン作用を示す化合物の総称である。ヒトのエストロゲンは、エストロン(E₁)、エストラジオール(E₂)、エストリオール(E₃)などがあるが、エストラジオールが最も強い生理活性を持ち、その活性はエストロンの2倍、エストリオールの10倍である。発育中の卵胞はエストロゲン(エストラジオール)を分泌する。

“two cell, two gonadotropin theory”
卵巣におけるエストロゲンは、FSHとLHの2種類のゴナドトロピンと、莢膜細胞と顆粒膜細胞の2種類の細胞との相互作用で産生される。


“two cell, two gonadotropin theory”

LH受容体は莢膜細胞に存在し、FSH受容体は顆粒膜細胞に存在する。莢膜細胞ではLHの作用によってコレステロールからアンドロゲンが産生され、このアンドロゲンが基底膜を通過して顆粒膜細胞に移行し、FSHの作用で誘導されたアロマターゼによりエストロゲンに転換される。エストラジオールはFSHの作用下に顆粒膜細胞で産生され、排卵の24~36時間前にピークとなる。

参考記事卵胞発育

参考Webサイト:不妊College(データに基づく不妊治療の基礎知識)、フェリング・ファーマ株式会社

参考文献:データから考える不妊症・不育症治療、竹田省ら編、メディカルビュー社、2017