新聞各紙の報道によれば、妊婦の少量の血液から胎児のDNAを調べて、胎児がダウン症かどうかを確認できる新型の出生前診断を、国立成育医療研究センターなど国内の数施設が9月以降に共同臨床研究として始める予定とのことです。
共同臨床研究には、出生前診断について相談、支援できる態勢が整った国内の数施設が参加する予定で、各施設とも院内の倫理委員会の承認を経た上で開始します。35歳以上が対象で、費用は約21万円、 1年ほどかけて1000人のデータを集め、ダウン症と診断された割合や、妊婦がどんな選択をしたかなどを調べ、国内で本格導入された際の指針作りに生かすとのことです。
この検査法は米国の検査会社が開発し、昨年10月に米国で導入され、妊娠10週以降の妊婦の少量の血液を調べればダウン症か99%の精度でわかるとのことです。妊婦の腹部に細い針を刺して羊水を採取し染色体異常を調べる従来の方法(羊水検査)に比べて極めて安全にできますが、簡単に検査ができるため異常が発見された際の人工妊娠中絶が大幅に増える懸念もあります。
ダウン症の従来からの出生前診断には、羊水検査、血清マーカー(トリプルマーカー、クワトロテスト)、超音波検査(NT: nuchal translucency)などがあります。羊水検査はダウン症を確定診断できますが、0.3%の確率で流産する可能性があります。また、羊水検査を受けられる時期も妊娠15~17週で、その検査結果が判明するのに1カ月近くを要します。血清マーカーや超音波検査はダウン症の可能性を調べる検査で、ダウン症を確定診断できません。
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20120829-OYT1T00031.htm
http://mainichi.jp/select/news/20120829k0000e040200000c.html
http://sankei.jp.msn.com/life/news/120829/bdy12082911260002-n1.htm