どんな医師でも、最初は右も左も分からない白紙の状態から出発し、先輩医師たちから伝統技術を基本から叩き込まれながら多くの臨床経験を積み重ね、日進月歩の最新医学も学んで専門医資格なども取得し、だんだんとベテラン医師らしくなっていき、やがては、後輩医師達を育成する立場になっていきます。
従来、日本では長い間、多くの新卒医師が大学の医局に所属し、医局主導による医師のキャリア形成が行われてきました。私自身も、従来の医局制度の元で、多くの先輩達から基本的な技術を教わり、大学のいくつかの関連病院で研修し、大学で研究の指導を受け、学生や後輩医師の教育にも少し従事したあと、医局人事により大学の関連病院に赴任しました。現在も、大学から常勤、非常勤の医師を派遣してもらってます。
新臨床研修制度により、新卒医師たちが自由に自分の初期研修先を選択できるようになりました。それとともに若手医師の人材流動化が活発になり、若手医師が自分のキャリア形成の各段階(初期研修、後期研修、サブスペシャリティ専門医研修など)における研修先を、自分で自由に選択できる時代となりつつあります。
若手医師が自分のキャリア・プランを組み立てる際、研修先の選択はきわめて重要です。キャリア形成の各段階で、研修先として適している病院をちゃんと選択していかないと、最終的に自分の目標としているような医師にはなれないかもしれません。
従って、単なる数合わせだけで、若手医師を地方に強制的に誘導しようとしても、地方の研修・指導体制が充実してない限りは、若手医師が地方に定着するはずがないと思います。