ある産婦人科医のひとりごと

産婦人科医療のあれこれ。日記など。

女性医師の継続的就労支援

2007年03月22日 | 地域周産期医療

三十代半ば以下の産婦人科医師は女性が過半数を超えていて、女性医師は、現在の産科医療を支える大きな力になっています。

今回の調査で、経験年数が十年目頃になると、女性医師の約半数、男性医師の約20%が分娩取扱い現場から離脱しており、特に、子どものいる女性医師にその傾向が強く現れていることが判明しました。

新しく産婦人科医師になるのは女性医師の方が多いという傾向は今後も続くと考えられ、女性医師が第一線の産婦人科医療現場で継続して就労できる環境を整備しなければ、今後、産婦人科診療に必要な医師数を確保することは不可能です。

院内保育所の整備、さまざまな勤務態勢を柔軟に提供すること(変則勤務、交代性勤務、ワークシェアリング、パートタイム勤務)など、今できることをただちに実施していく必要があります。

また、長期間休業、学会出張、突発的な我が子の病気への対応に至るまで、必要な時にお互いが休めるためにも、一施設あたりの医師数確保は絶対に必要なことです。

医学生や研修医たちは、現場の職場の状況を見て、将来の専門科を決めています。現在、現場の第一線で働いている医師達が耐えられずにどんどん辞めているような職場に若者達が入って来るはずがありません。自分よりも少し上の先輩達が職場で楽しそうに生き生きと輝いて働いていない限り、新人医師は絶対に参入して来ないと思います。

現在の過酷な職場環境を、女性医師が働きやすい職場環境に変えれば、当然、男性医師にとっても働きやすい職場環境に変わると思います。誰にとっても働きやすい職場環境に変えていく必要があります。

****** 毎日新聞、2007年3月19日

女性産科医:出産に携わるのは11年目で45.6% 

 日本産科婦人科学会(日産婦)は19日、女性産婦人科医の勤務実態に関する初の調査結果の概要を発表した。医師になって9~13年目の女性医師のうち出産に携わっているのは5割前後で、同じ経験年数の男性(約8割)を大幅に下回った。同学会は「出産現場では、当直や緊急呼び出しなど厳しい勤務になる。医師自身の出産・育児の時期に、現場から離れる女性医師が多い実態が明らかになった」と分析している。日産婦によると、30代半ば以下の産婦人科医は女性が半数を超える。

 日産婦は、産婦人科医不足対策を検討するため、昨年12月~今年2月、全国の大学医学部を対象に卒業生の勤務状況を聞くアンケートを実施、87大学から回答があった。

 その結果、女性産婦人科医が出産に携わっている割合は、医師になって11年目が45.6%で最低になるなど、医師経験10年前後で大きく落ち込んだ。また、同時期に全国835病院を対象に実施した調査では、病院内保育所がある施設は50.4%、病気の子どもを預かる保育所は16.8%に、それぞれとどまった。

(以下略)

(毎日新聞、2007年3月19日)