基礎体温は、0.01℃刻みの婦人体温計で、朝目覚めたときの起床前の舌下で測定した体温で、1日のうち最も低い。
基礎体温表 (二相性)
正常な月経周期がある女性の基礎体温は低温相と高温相からなり二相性です。月経の始まりは低温相で、排卵後の黄体から分泌されるプロゲステロンの作用で体温が上昇し高温相となります。高温相の定義は低温相より0.3℃以上の体温の上昇が7日以上継続することです。高温相は11~16日持続します。高温相が10日以下の場合には、黄体機能不全と診断されます。排卵がないと基礎体温は低温相だけとなりこれを一相性といいます。
排卵日の予測として基礎体温を用いた方法では、低温相から高温相へ移行する際の基礎体温の低下(陥落日)、あるいは低温相最終日を用いますが、経腟超音波検査で排卵日を確認すると必ずしもその限りではなく、基礎体温表のみでの排卵日の予測は困難です。従って、排卵日の予測は、基礎体温、経腟超音波検査、頸管粘液所見、尿中LH簡易測定法などにより総合的に検討する必要があります。
参考文献:
1) データから考える不妊症・不育症治療、竹田省ら編、メディカルビュー社、2017
2) 生殖医療ポケットマニュアル、吉村泰典監修、医学書院、2014
生殖年齢の男女が妊娠を希望し、ある一定期間、避妊することなく通常の性交を継続的に行っているにもかかわらず、妊娠の成立をみない場合を不妊という。その一定期間については1年というのが一般的である。なお、妊娠のために医学的介入が必要な場合は期間を問わない。(日本産科婦人科学会、生殖内分泌委員会、2015)
性成熟期のカップルが避妊をせずに夫婦生活を続けた場合、月経周期ごとの妊娠率(MFR)は約20%です。その累積妊娠率は6か月で73.8%、12か月で93.1%であり、カップルの10~15%が不妊症であることから、1年間という期間は不妊症の定義として適正と考えられます。
そこで、1年程度夫婦生活を続けても妊娠しない場合、妊娠の希望があれば不妊の検査や治療を開始するのが適当であるとするのが現在の考え方です。ただし、カップルが高齢であったり、医学的介入が必要な不妊の原因が判明している場合には、夫婦生活が1年以内でも治療開始を考える必要があります。
参考文献:
データから考える不妊症・不育症治療、竹田省ら編、メディカルビュー社、2017