紫のオルフェ~何でもかんでも気になる音楽、名曲アルバム独り言

ジャズ、ラテン、クラシックを中心として、名曲、アルバム演奏者を紹介します。&私の独り言を…

ライトでポップなジャズ女性ヴォーカルだが!実は?…ジューン・ガット・リズム~ジューン・クリスティ

2007-11-30 11:47:39 | ジャズ・ヴォーカル
今日も2枚目行こうかな?
久しぶりに、(ジャズ)女性ヴォーカル・アルバムでも如何ですか?

と言う事で、「ジューン・クリスティ」のこのアルバムを選びました。
ジャケットなんかを見ると、一見ライトな感じがして…でも、実はそんじょそこらのヴォーカル物とは、全然物が違いますぜ!

何故なら伴奏のメンバーがすごすぎなんだよね。

夫の「ボブ・クーパー」他、よだれが出る様な豪華メンバーにサプライズです。

アルバムタイトル…ジューン・ガット・リズム

パーソネル…ジューン・クリスティ(vo)
      ボブ・クーパー(ts)
      フランク・ロソリーノ(tb)
      バド・シャンク(as、fl)
      ローリンド・アルメイダ(g)
      シェリー・マン(ds)    他

曲目…1.ロック・ミー・トゥ・スリープ、2.ジプシー・イン・マイ・ソウル、3.アイム・グラッド・ゼア・イズ・ユー、4.私からは奪えない、5.スイングがなければ、6.マイ・ワン・アンド・オンリー・ラヴ、7.ホエン・ライツ・アー・ロウ、8.アイ・キャン・メイク・ユー・ラヴ・ミー、9.イージー・リヴィング、10.ブルー・ムーン、11.神の子はみな踊る

1958年6月~7月 録音

原盤…Capitol T-1076  発売…東芝EMI
CD番号…TOCJ-5316

演奏について…オープニング「ロック・ミー~」は、旦那「クーパー」が、粘着系のテナーでねっとりと妻君をサポートする。
「クリスティ」は、(旦那と異なって)比較的ライトに、シングするのが、面白い。

2曲目「ジプシー・イン~」では、ピアノ伴奏が小洒落ていて、センスが溢れています。
「マン」のブラッシュ・ワークも的確に壷を得ていて、「クリスティ」が少し気だるい雰囲気のヴォーカルで行くのですが、「マン」がキッチリ〆て、抑えているのは流石ですね。

3曲目「アイム・グラッド~」…「アルメイダ」のお上品なギターが、素晴らしい効果を上げていて、goodなトラックに仕上がっています。
「クリスティ」の一寸、ハスキーなヴォイスに「アルメイダ」の全編に渡る、略ソロの伴奏が見事に同化しているんです。

4曲目「私からは奪えない」…オープニングと同じような、ミドルサイズ(人員)のコンボをバックに、「クリスティ」が気持ち良く歌い上げますが、中途での「マン」のソロや「ブルックマイヤー」のトロンボーンが、お洒落なアクセントとなって曲を彩るんです。
かなりポップな仕上がりですが、結構行けますね。

5曲目「スイングがなければ」…元来、超絶技巧の黒人パワー系シンガー(エラとかカーメンとか)が得意とする楽曲なんですが、ここでの「クリスティ」…頑張っています。
中間のスキャットも的確で、隠れベスト・ソングです。

6曲目「マイ・ワン~」もどちらかと言うと、男性ベルベット・ヴォイス系に合う曲だと思いますが、「クリスティ」はしっかりとこなして歌っています。
ここでも「アルメイダ」のギター伴奏が冴えて、それ以上に美しく、クールなのが「バド・シャンク」のフルートで、この二人のアシストが、「クリスティー」を強固にサポートしてくれています。

7曲目「ホエン・ライツ~」…1、4曲目と同じ様な編曲で、旦那他のホーン・プレイヤーの一吹きが、曲間で其々アクセントを付けてくれます。
「クリスティ」は割りと淡々と歌います。

8曲目「アイ・キャン~」ピアノ伴奏から、始まるメジャー・コードのバラード・ソングですが、中途からこの曲でもホーン群が加わり、ゴージャスな雰囲気を作ってくれます。
だが、この後で旦那の「クーパー」と、トロンボーン「ブッルクマイヤー」が魅惑的なソロを取り、ジャズの醍醐味が味わえます。

9曲目「イージー・リヴィング」…言わずと知れた超名曲ですが、「クリスティ」は、どの曲でもあまり感情的にならずに、さらりと歌い上げます。
この曲でも、同様のアプローチなのですが、「アルメイダ」のギターと「シャンク」のフルート、そしてオルゴールの音が、この曲をメルヘンチックに飾って、とても可愛らしい、かすみ草の様なイメージにしています。
あえて、感情を廃して歌う?と言うのも有りなんですね。

10曲目「ブルーン・ムーン」…「クリスティ」の歌と、ピアノ、ベース、ドラムスのリズム・セクションが程好くブレンドされた音色と編曲?により、とても都会的でかっこいい仕上がりです。
正にジャズ女性ヴォーカルの王道的な演奏ですね。

ラストの「神の子はみな踊る」…ピアノでは「バド・パウエル」の超名演が有りますが、ここでの「クリスティ」は、緩やかな歌い出しの序奏から、徐々に早いリズムテンポになって…また緩楽章に戻したりと、スピードに変化を付けて、飽きさせません。

全編に渡って、「クリスティ」のヴォーカルを全面に出した企画と言うよりも、スーパー・スター的なバック・ミュージシャンと同格扱いで、さりげないヴォーカルにプラスして、端的だが、素晴らしいフレーズを一吹き…と言った、スターたちの共演、コラボな雰囲気が楽しめるアルバムと言うべきでしょう。
いずれにしても、買いの一枚でしょう。

近年人気が再沸騰…ヴァラエティ・イズ・ザ・スパイス~ザ・ルイス・ヘイズ・グループ

2007-11-30 10:25:52 | ジャズ・コンボ
皆さん、お早うございます。
今日も代休が取得できたので、朝からブログを書きますね。

このアルバムは、「ルイス・ヘイズ」がリーダーで約30年近く前に出したのですが、収録曲や演奏内容から、近年クラブ・シーンで人気が再燃しているとの事でセレクトしました。
クラブで人気が有ると聴いて、アシッド・ジャズの原点?かと思う方がいらっしゃるかもしれませんが、実際はハードな内容で、一部にヴォーカルがフューチャーされていますが、正統派なアコースティック・ジャズとして大お薦めのアルバムです。

アルバムタイトル…ヴァラエティ・イズ・ザ・スパイス

パーソネル…リーダー;ルイス・ヘイズ(ds)
      ハロルド・メイバーン(p、el-p)
      セシル・マクビー(b)
      フランク・ストロージャー(as、fl)
      ティト・ソムバ(conga)
      ポルティーニョ(perc)
      レオン・トーマス(vo)…2、6トラック

曲目…1.ケリー・カラーズ、2.リトル・サンフラワー、3.スターダスト、4.ホワッツ・ゴー・オン、5.インヴィテーション、6.ナイシャ、7.マイ・フェイヴァリット・シングス、8.ダンス・ウィズ・ミー、9.ハンドレッド・ミリオン・ミラクル

1979年 NYにて録音

原盤…Gryphon G-787  発売…MUZAK
CD番号…MZCS-1057

演奏について…まず、私がこのアルバムを購入する時にアシストしてくれた名演、「マイ・フェイヴァリット・シングス」ですが、まず序奏で「メイバーン」がカラフルに煌びやかに、ブロック・コードでテーマを弾いて、皆のファイティング・スピリットを呼び起こす。
応えた「マクビー」がぶんぶんドライヴして、それにすぐさま反応して、「ヘイズ」のドラミングは勿論、コンガの「ソムバ」、パーカッション「ポルティーニョ」の気合も充分で、全員が一体となって煽り捲る。
とにかく「メイバーン」の名演が冴えていて、ホーン・レスの演奏ですが、聴き応え充分ですよ。

2曲目「リトル・サンフラワー」…ラテン・リズムから序奏が始まる、ヴォーカル入りのトラック。
リズム・セクションは最初からノリノリで行くが、この曲を素晴らしい仕上げに染めているのが、「ストロージャー」のフルート。
やはり、ラテンとフルートってバッチグーに合いますね。
所々の「口笛」(これはヴォーカルの「トーマス」が吹いているんでしょう?)も効果が抜群です。
「ソムバ」のコンガ…まじに行けてます。
「ポルティーニョ」のパーカッションの一連の楽器群が、粒立ち良く彩りを添えて、効果抜群で、来てます。
勿論、「トーマス」のアンニュイな雰囲気のヴォーカルも、どことなく「デヴィッド・ボウイ」のジャズ・ヴァージョン版みたいでgoodですよ。
この曲は確かにクラブ・シーンには、ど真中の当りですね。

3曲目「スターダスト」では、「ストロージャー」のアルト・サックスを中心に、見事に統制された、ワンホーン・カルテット演奏が気持ち良い。。。
「ストロージャー」のアドリブ・ソロは奇を衒ったとこが無く、的を射た、それでいてセンスと感性も充分で、素晴らしい演奏です。
「マクビー」の分厚いベース、「メイバーン」の品有る伴奏、そしてリーダー「ヘイズ」のドラムも、「ストロージャー」を強固にアシストします。

オープニングの「ケリー・カラーズ」…80年代(実際は79年だが)の、到来を告げるファンキー・チューン。
「キャノンボール」等が演っているよりは、かなり都会的なイメージのファンキー曲だ。
「ストロージャー」の序奏のアドリブ演奏も良いが、やはり中盤からガツンと出て来る「メイバーン」のピアノが最高に行けてる。
「マクビー」と「ヘイズ」、そして「メイバーン」の織り成すリズム・セクション・トライアングル演奏は完璧です。
中盤の「マクビー」の重厚なベース・ソロ…かっこいいの一言です!!
分かり易く言えば「大人による、大人のための、大人が(演る&聴く)ジャズ」です。

4曲目「ホワッツ・ゴーイング・オン」…「マーヴィン・ゲイ」の有名ポップス曲を、ジャズにアレンジした曲だが、セプテット(全員)による、コンボ演奏によってビッグ・バンド風で楽しい1曲に仕上げてます。
「ストロージャー」は、かなりフリーに吹いてくれますし、「メイバーン」もテクニックを見せびらかして、華麗なカデンツァを弾いてくれます。
「ヘイズ」は、あえて全員に自由にやらせていながらも、しっかりとコントロールしているドラミングは、見事と言って良いでしょう。
一聴ごちゃごちゃに聴こえるんですが、耳を凝らすとしっかりと統率が取れているんです。

5曲目「インヴィテーション」では、「ストロージャー」のカデンツァから、曲が劇的に始まる。
「ポルティーニョ」のギロ、「メイバーン」のブロック・コード、そして「ヘイズ」のシンバルが「ストロージャー」をフォローしていて、この後「マクビー」が強烈なベース進行で、皆を引っ張って行きます。
それからが、またまたこの、名人リズム・トライアングルがぶんぶんと疾走をするんです。
ドライヴィング力が半端じゃなく、鳴門の渦潮並に?引っ張り込まれそうです。
「ストロージャー」も再度、カデンツァを吹き鳴らし、この3人と渡り合います。
フィナーレも劇的で、最もバトル性が出された演奏がこの曲で、まじお薦めです。

6曲目「ナイシャ」…「ストロージャー」の哀愁あるアルト・サックスと「メイバーン」の流麗なピアノに導かれて、「トーマス」が味わい深く、男の色気を纏わせたヴォーカルを、バッチリ決めてくれます。
「トーマス」のこの歌い方は、悪さが取れた「マーク・マーフィー」の様ですね。
但し、「ストロージャー」他、全員がバック・バンドに徹しているシチュエーションの録音では無いので、主役「トーマス」が休憩中?に、ヴォーカル抜きのバンド演奏の時では、主役を喰っちゃうぐらい素晴らしいカルテット演奏をしてくれますよ。

8曲目「ダンス・ウィズ・ミー」…これは現在のクラブ・シーンにドンピシャのダンス・ナンバーです。
「メイバーン」のエレピ、「ストロージャー」のファンク色全開のアルト演奏が、ダンス・ミュージックに、はまります。
「ソムバ」「ポルティニョ」のラテン・パーカッショニストたちもエネルギーを100以上発散させていて、正しくノリノリ。
70年代フュージョン全盛期の、横綱、真打登場と言った感がする、ダンサブルな1曲です。

9曲目「ハンドレッド~」は、序奏からモンク調の怪しげなテーマが吹かれてから、「ヘイズ」の独壇場と化して、超絶ドラムを敲き捲る。
とにかく、アルバム・タイトル…「ヴァラエティ~」と名売って、色々な曲を演ってきたが、リーダー「ヘイズ」は、それ程見せ場を作らず(作れず?)、ちょこっと欲求不満?だったのを、最後の暴れドラミングで、発散させてフィナーレ!って言う所でしょうか。

いずれにせよ、聴き応え充分な好アルバムで、お墨付きです。