女性ならではの繊細なタッチと表現力も勿論兼ね備えてはいるのだが、とにかくパーカッシブでパワフルな、敲くように弾き切るパワー系ピアニストが、今日紹介する「大西順子」である。
今をときめく「上原ひろみ」等よりも10年以上前に衝撃のデビューを果たし、一世を風靡した頃のアルバムがこれなんです。
ビレッジ・バンガードのパートⅠ演奏も良いんだけれど、あえてⅡを選んだのは、選曲の楽しさ、取分け日本人にしか弾けないであろう「りんご追分」のジャズ番が一番の聴き(弾き)所だと思うので、この曲が入っている事でしょうか。
それ以外にも「モンク」作曲の「ブリリアント・コーナーズ」や「ジジ・クライス」作曲のオープニング曲「ハウス・オブ・ブルーライツ」など、一癖も二癖も有る曲ばかりで、大いに興味を持ってしまいます。
是非「順子」のテクとスピリットを是非堪能して下さいませ。
アルバムタイトル…ビレッジ・バンガードⅡ
パーソネル…リーダー;大西順子
レジナルド・ヴィール(b)
ハーラン・ライリー(ds)
曲目…1.ハウス・オブ・ブルーライツ、2.ネヴァー・レット・ミー・ゴー、3.ブリリアント・コーナーズ、4.りんご追分、5.ティー・フォー・トゥー
1994年5月6日~8日 NYビレッジ・バンガードにてライヴ録音
原盤…somethin’else 5572 発売…東芝EMI
CD番号…TOCJ-5572
演奏について…冒頭で述べたが、このアルバム収録曲で、演奏の白眉は、ズバリ「りんご追分」です。
何故なら、この曲を題材として、原曲のメロディやスピリットを生かしつつ、しっかりとジャズ作品に仕上げられるのは、日本人ジャズ・メンしかいないし、取分け男性的にパワー系で弾ききれる「大西順子」にとって、非常に料理しがいの有る具財として申し分無い選曲だと言えるでしょう。
序奏からして非常に面白い導入がなされる。
「ライリー」の敲くメロディはラテン調のリズムなんだが、「ヴィール」はボウイングを絡めた珍しいリズムサポートを見せる。
大将の「大西」は、ここでもクラシック曲の様な、スケールの大きいゆとりあるアドリブ・ソロを魅せ付ける。
「りんご追分」と言う曲が、交響詩の様に聞こえる程、スケール・アップさせた解釈が趣深くて、良いんですよ。
雨だれが流れる様に聴かせるアドリブ・ソロは、まるで「ラフマニノフ」の前奏曲の様に…艶やかだが重厚な演奏なんです。
そして7分過ぎからのカデンツァに入ってからの「大西」はすごいの一言。
「ライリー」「ヴィール」とも煽ったか煽られたか?燃えるサイド・メンに変身して、一方の「大西」はガツンガツンと圧巻のソロを弾き捲る。
その後10分ぐらいで、またまた深い静寂が訪れる。…闇夜を縫って真夜中に聴こえるのは、重厚な「ヴィール」のベース音…まるでパワフルな「琵琶法師」が奏でているように不気味だ…。
「ジミー・ギャリソン」が後期の「コルトレーン・クインテット」で聞かせてくれる様な野太いサウンドでのソロ…最高に痺れますぜ!
その後は「ライリー」がとても空間的なアドリブ・ソロ…いやこれも「ドラム・カデンツァ」と言った方が良いぐらいの、圧倒的なアドリブに、雷を食らった様な衝撃的感動を味わえる。
このトリオ…本当に半端じゃねぇな。
最後はリズムは序奏通りラテン調だが、「大西」は、メロディに忠実に「りんご追分」を弾いて終わる…口笛ピューピューで、万歳!スタンディング・オベーション確実な名演ですね。
収録の1曲目「ザ・ハウス~」…前衛的な「大西」のアドリブ導入フレーズから、気持ちをグイッと惹かれる。
その後のメロディから、「大西」のセンシティブなソロ・トーンと迫力あるブロック・コードの硬軟取り混ぜた演奏と、「ライリー」の軽快なドラム&シンバル…そして「ヴィール」の実直なベースが三位一体となって、見事なピアノ・トリオ演奏として集結するんです。
中でも「大西」の縦横無尽に鍵盤を駆け抜け、且つ広大なシンフォニーを想像させる重厚なアドリブ・パート・ソロは最高の聴き所と言えるでしょう。
2曲目「ネヴァー・レット~」では、「大西」の静寂のピアニシモから序奏がなされる。
何か一寸「ドビュッシー」的な雰囲気で…アンニュイさも有って…この曲では、本当に女性美溢れる演奏が終始なされて、「大西」にもこう言うセンスと繊細さが有ったのか?(失礼!)と改めて、別の魅力を再発見したりなんか出来ますよ。
彼女のピアノを更に繊細にサポートする、「ライリー」の静かな静かなシンバル・ワークも良い味を出しています。
中盤以降では、「大西」は微音を上手く使いながらも、サロン的な小洒落たフレーズも織り交ぜて、この曲の繊細美を極限まで高めています。
さりげなく咲く「カスミソウ」の様な、可憐な1曲です。
3曲目「モンク」作曲の「ブリリアント・コーナーズ」…またまた「大西」から新たな魅力を発見!
でも、「モンク」の曲を弾く中では、逆に演奏が上手すぎるかも?
「大西」心はやっぱり「大西順子」だ!!
しかし、こう言うビルトオーゾの「モンク」も当然有りだろう。
中間からは「大西ワールド」へと、「モンク」の曲もステージを変えて、「大西」が自分の曲の様に消化した解釈で、この曲を料理する。
おかず満載のアドリブ・ソロをかます「ライリー」が、とても面白いですねぇ。
逆に「ヴィール」は、相変わらず実直に、とにかく真面目にベース・ラインを刻み続ける…この男、相当の堅物か、馬鹿が付くほど真面目なんだろうなぁっと思ったら、曲の7分過ぎからやってくれます。
「チェンバース」が乗り移ったかの様な、素晴らしい「ボウイング・ソロ」を思う存分弾き捲るんです。
やはり、奥の手を隠し持っていやがった。
こりゃ一本取られました。(大爆笑!)
今をときめく「上原ひろみ」等よりも10年以上前に衝撃のデビューを果たし、一世を風靡した頃のアルバムがこれなんです。
ビレッジ・バンガードのパートⅠ演奏も良いんだけれど、あえてⅡを選んだのは、選曲の楽しさ、取分け日本人にしか弾けないであろう「りんご追分」のジャズ番が一番の聴き(弾き)所だと思うので、この曲が入っている事でしょうか。
それ以外にも「モンク」作曲の「ブリリアント・コーナーズ」や「ジジ・クライス」作曲のオープニング曲「ハウス・オブ・ブルーライツ」など、一癖も二癖も有る曲ばかりで、大いに興味を持ってしまいます。
是非「順子」のテクとスピリットを是非堪能して下さいませ。
アルバムタイトル…ビレッジ・バンガードⅡ
パーソネル…リーダー;大西順子
レジナルド・ヴィール(b)
ハーラン・ライリー(ds)
曲目…1.ハウス・オブ・ブルーライツ、2.ネヴァー・レット・ミー・ゴー、3.ブリリアント・コーナーズ、4.りんご追分、5.ティー・フォー・トゥー
1994年5月6日~8日 NYビレッジ・バンガードにてライヴ録音
原盤…somethin’else 5572 発売…東芝EMI
CD番号…TOCJ-5572
演奏について…冒頭で述べたが、このアルバム収録曲で、演奏の白眉は、ズバリ「りんご追分」です。
何故なら、この曲を題材として、原曲のメロディやスピリットを生かしつつ、しっかりとジャズ作品に仕上げられるのは、日本人ジャズ・メンしかいないし、取分け男性的にパワー系で弾ききれる「大西順子」にとって、非常に料理しがいの有る具財として申し分無い選曲だと言えるでしょう。
序奏からして非常に面白い導入がなされる。
「ライリー」の敲くメロディはラテン調のリズムなんだが、「ヴィール」はボウイングを絡めた珍しいリズムサポートを見せる。
大将の「大西」は、ここでもクラシック曲の様な、スケールの大きいゆとりあるアドリブ・ソロを魅せ付ける。
「りんご追分」と言う曲が、交響詩の様に聞こえる程、スケール・アップさせた解釈が趣深くて、良いんですよ。
雨だれが流れる様に聴かせるアドリブ・ソロは、まるで「ラフマニノフ」の前奏曲の様に…艶やかだが重厚な演奏なんです。
そして7分過ぎからのカデンツァに入ってからの「大西」はすごいの一言。
「ライリー」「ヴィール」とも煽ったか煽られたか?燃えるサイド・メンに変身して、一方の「大西」はガツンガツンと圧巻のソロを弾き捲る。
その後10分ぐらいで、またまた深い静寂が訪れる。…闇夜を縫って真夜中に聴こえるのは、重厚な「ヴィール」のベース音…まるでパワフルな「琵琶法師」が奏でているように不気味だ…。
「ジミー・ギャリソン」が後期の「コルトレーン・クインテット」で聞かせてくれる様な野太いサウンドでのソロ…最高に痺れますぜ!
その後は「ライリー」がとても空間的なアドリブ・ソロ…いやこれも「ドラム・カデンツァ」と言った方が良いぐらいの、圧倒的なアドリブに、雷を食らった様な衝撃的感動を味わえる。
このトリオ…本当に半端じゃねぇな。
最後はリズムは序奏通りラテン調だが、「大西」は、メロディに忠実に「りんご追分」を弾いて終わる…口笛ピューピューで、万歳!スタンディング・オベーション確実な名演ですね。
収録の1曲目「ザ・ハウス~」…前衛的な「大西」のアドリブ導入フレーズから、気持ちをグイッと惹かれる。
その後のメロディから、「大西」のセンシティブなソロ・トーンと迫力あるブロック・コードの硬軟取り混ぜた演奏と、「ライリー」の軽快なドラム&シンバル…そして「ヴィール」の実直なベースが三位一体となって、見事なピアノ・トリオ演奏として集結するんです。
中でも「大西」の縦横無尽に鍵盤を駆け抜け、且つ広大なシンフォニーを想像させる重厚なアドリブ・パート・ソロは最高の聴き所と言えるでしょう。
2曲目「ネヴァー・レット~」では、「大西」の静寂のピアニシモから序奏がなされる。
何か一寸「ドビュッシー」的な雰囲気で…アンニュイさも有って…この曲では、本当に女性美溢れる演奏が終始なされて、「大西」にもこう言うセンスと繊細さが有ったのか?(失礼!)と改めて、別の魅力を再発見したりなんか出来ますよ。
彼女のピアノを更に繊細にサポートする、「ライリー」の静かな静かなシンバル・ワークも良い味を出しています。
中盤以降では、「大西」は微音を上手く使いながらも、サロン的な小洒落たフレーズも織り交ぜて、この曲の繊細美を極限まで高めています。
さりげなく咲く「カスミソウ」の様な、可憐な1曲です。
3曲目「モンク」作曲の「ブリリアント・コーナーズ」…またまた「大西」から新たな魅力を発見!
でも、「モンク」の曲を弾く中では、逆に演奏が上手すぎるかも?
「大西」心はやっぱり「大西順子」だ!!
しかし、こう言うビルトオーゾの「モンク」も当然有りだろう。
中間からは「大西ワールド」へと、「モンク」の曲もステージを変えて、「大西」が自分の曲の様に消化した解釈で、この曲を料理する。
おかず満載のアドリブ・ソロをかます「ライリー」が、とても面白いですねぇ。
逆に「ヴィール」は、相変わらず実直に、とにかく真面目にベース・ラインを刻み続ける…この男、相当の堅物か、馬鹿が付くほど真面目なんだろうなぁっと思ったら、曲の7分過ぎからやってくれます。
「チェンバース」が乗り移ったかの様な、素晴らしい「ボウイング・ソロ」を思う存分弾き捲るんです。
やはり、奥の手を隠し持っていやがった。
こりゃ一本取られました。(大爆笑!)