紫のオルフェ~何でもかんでも気になる音楽、名曲アルバム独り言

ジャズ、ラテン、クラシックを中心として、名曲、アルバム演奏者を紹介します。&私の独り言を…

ソウル・ジャズなんだけど都会的でカッコ良い~フレッド・ジャクソン~フーティン・ン・トゥーティン

2007-11-12 00:08:22 | ジャズ・テナー・サックス
ブルーノートの定番の一種…ソウル・ジャズ…かなり泥臭い、まんまブルース・フィーリング満載のアルバムも多いのだが、このアルバムはかなり都会的な雰囲気を持っているね。

ニューヨーカーの昼の顔と夜の顔?が交錯している様な印象を持ちますよ。
昼は有能なビジネス・マンだが、夜は黒服に身を包んだ…???

まぁ、センス有るアルバムには違い無いので、一聴をお薦めします。

アルバムタイトル…フーティン・ン・トゥーティン

パーソネル…リーダー;フレッド・ジャクソン(ts)
      ウィリー・ジョーンズ(g)
      アール・ヴァン・ダイク(p、org)
      ウィルバート・ホーガン(ds)

曲目…1.ディッピン・イン・ザ・バッグ、2.サザン・エクスポジャー、3.プリーチ・ブラザー、4.フーティン・ン・トゥーティン、5.イージン・オン・ダウン、6.ザッツ・ホエア・イッツ・アット、7.ウェイ・ダウン・ホーム

演奏について…オープニング曲「ディッピン~」…ユニゾンのテーマからして、都会的なブルーズで、聴く物を惹き付ける。
「ジャクソン」もあまりこねくり廻さずに、割とストレートにテーマ&アドリブを吹く。
続くギター「ジョーンズ」が、かなり良いアドリブ・ソロを奏でる。
ブルージーでいながら、泣きのエッセンスも入れていて、センス抜群なんです。
しかし、この二人以上に良い出来は、オルガンの「ヴァン・ダイク」なんですよ。
伴奏に終始しているんだけど、合間に合間に奏でる、ブロック・コードが一寸過激で、自己主張しているんです。

2曲目「サザン・エクスポジャー」…これはかなり黒いイメージのブルースだな。
「ジャクソン」は飾り気無しで、ストレートに真っ向から、テーマを吹いて、「ホーガン」は所々で、おかずを入れてアクセントを付ける。
ここでも「ヴァン・ダイク」のオルガンが冴えを魅せて、「ジャクソン」以上に燃えて、魂を込めたアドリブが胸を討つんです。
漢達が、戦争(出陣)前の、最後の一夜を祝う?様な、心の奥底で泣いている様に思わせる、奥深いブルース演奏です。

3曲目「プリーチ・ブラザー」…一聴して「ナット・アダレイ」作曲の名曲「ワーク・ソング」を彷彿させるテーマが印象に残る。
「ジャクソン」は、余り重くならない様に、サラリとさりげなくテーマを吹いて、続いての「ジョーンズ」も、かなりシンプルなアドリブなんですが、ここでもオルガン「ヴァン・ダイク」が、バリバリにやってくれますよ。
何かこのコンボ…実はリーダーが「ヴァン・ダイク」なんじゃないか?と思うぐらいにどの曲でも力の入った良い演奏を弾いてくれて、まじめに気持ちが良いです。

タイトル曲「フーティン~」は、「ジャクソン」が割とアーシーに、そして丁寧に吹き始める。
ギター「ジョーンズ」のアドリブ・ソロは、大人しいんだけど、センスが有って宜しいんではないでしょうか?
更にドラム「ホーガン」と、「ジャクソン」のデュオ的なバトルはこの曲中、随一の聞き所で…「ホーガン」が燃えてますよ。。。
オルガンの「ヴァン・ダイク」は、いつも通り、ノッケからソウルフルに、そしてアヴァンギャルドに弾き捲ります。
この曲の終盤は、全員がストレイト・アヘッドなジャズで吹き通します。

5曲目「イージン・オン~」は、「ジャクソン」が男の色気を出しつつも、渋めに決めて、吹いてくれるのが堪らないですね。
バックのメンバーは、「ジャクソン」を全面的に出した、一聴すると控えめの演奏をしている様なのですが…実は違う。
ドラムスの「ホーガン」はタイム・キーピングしながらも静かに燃えているのが分かるし、「ヴァン・ダイク」は相変わらず、アドリブ・ソロに入ると、限定解除して、ビンビンにオルガンを弾き捲ります。
「ヴァン・ダイク」の演奏…カッコ良いですよ。
彼に煽られて、「ジャクソン」も終盤には、パワフルに変身して来ます。
都会的なセンス溢れる名演です。

6曲目「ザッツ・ホエア~」…シンプリで分かり易いテーマのリフレイン演奏から曲が始まり、特に「ジャクソン」はこのアルバム全編に渡って、とにかくテーマをこねくり廻さずに、ストレートに吹く所が、好感が持てますね。
何か、こう言うコンセプトも有りだよね。
常に、アグレッシブにアドリブをぶいぶい言わすだけがジャズじゃないって強烈にアンチ・テーゼを放っている様に思えて来た。
このアルバム全体がソウル・ジャズにも拘らず、アーバナイズされている様に思うのは、このシンプルさが、多分起因しているんだろうな。

ラストの「ウェイ・ダウン~」は、4ビートの正統的なブルーズ・ジャズで進行する。
「ジャクソン」…最後の最後まで「シンプル・イズ・ベスト」を貫き通す吹き方で、これぞ一本気の男の代表ってな感じだよ。
ドラムの「ホーガン」は、かなり派手にやってくれていて、これはこれで良いんだよ。
ギター「ジョーンズ」も、「ジャクソン」同様に、自己のスタイルは変えないで、ごてごてには、アドリブをやらない。
しかし、ここでも「ヴァン・ダイク」は過激に、そして思い切り良くアドリブ・弾き捲り。
中途で他の曲「インター・プレイ」のテーマをチョイと弾いたりして、ほくそえむんですよ。
最終的な結論なんだけど、ストレートにテーマを演じる「ジャクソン」&「ジョーンズ」組VSアドリブ・おかず満載の「ヴァン・ダイク」「ホーガン」組の対決アルバムなんだな。

結果は、判定で「ヴァン・ダイク」組の勝ちと思うけど、あえてシンプルに終始吹き切る「ジャクソン」も真面目に捨て難いぜ!!!