「いっぽ」のつぶやき

健康に福祉にボランティアにと、自分らしい人生を過ごすために、一歩ずつ歩んでいる「いっぽ」のつぶやきです。

黄砂現象

2007-05-06 07:32:10 | 環境問題
少し時期は過ぎましたが、今年の黄砂はすごかったですね。
黄砂は遠く東アジアの砂漠域(ゴビ砂漠、タクラマカン砂漠など)や黄土地帯から飛んでくるんですが、これまでと少し様子が変わってきているそうです。
これまでは主に九州がひどくて、たまに関東方面でも観測されていましたが、今年は北海道でも観測されたそうです。
中国、西モンゴル自治区出身で日本の大学で黄砂の研究をしている先生がいるんですが、黄砂の発生する地域が、これまでより北に位置するモンゴルで発生し始めているのが北海道にまで飛んでくるようになった原因とみています。

宇宙衛星からモンゴルの様子をみると、大地のところどころに砂漠化がみられ、それはまるで市松模様のような不思議な形になっています。
モンゴルといえば大草原。そこがなぜ砂漠化しているのか、その原因を探るため、故郷に戻った先生が目にしたものは、モンゴルの草原に現れた鉄条網の柵でした。
モンゴルでは遊牧民が羊やヤギを飼育し、草を求めて大草原を移動するというのが昔からの生活でした。
しかし、中国政府が定住政策をはかり、土地をそれぞれに与えたため、その区分をするために大地に柵を作ったのです。
羊たちは草の表面だけを食べて、どんどん新しい場所へ移動していくので、根っこは残り、また新しい芽が出てきていたのですが、柵の中で羊を飼うと、羊は柵のところにたどりつくと、そこの草を根こそぎ食べてしまう習性があるようです。
そうするとそこにはもう草が生えてこなくなり、そこから砂漠化してしまうのです。
だから柵にそって、市松模様のように砂漠ができていたのですね。
柵も問題ですが、日本でのカシミヤの消費量が増えて輸入量が大幅に増え、そのために過剰放牧になったのも原因の一つだそうです。

そこで、中国政府に事情を話して柵の撤廃を申し入れたのですが、放牧が原因になっているといって、放牧自体を禁止してしまいました。
放牧できなくなった人たちは生活の糧がなくなり、仕方なく土地を耕して畑を作りはじめたのですが、乾燥した大地にほとんど作物はできず、それも砂漠化に拍車をかけています。

モンゴルでは昔から、土地を耕してはいけない、という言い伝えがあるそうです。
モンゴルの大地は砂地で、その上に薄い層のように草が生えています。ですから草の層がなくなれば、砂漠になってしまうのはわかっていたのです。
今はまだ草原が残っていますが、このままいけばモンゴル全土が砂漠になってしまいます。
砂漠化を防ぐためには、昔のように自由移動しながら放牧する必要があるのですが、それを認めてもらうのは、とても難しいようです。

ロシアでも大きな川と湖のまわりに、豊かな穀倉地帯があったのに、されを更に広げようと川の流れを変えたために、湖に流れ込む水量が減り、湖が干上がって砂漠になってしまったところがありました。
人間の浅知恵で自然の流れに逆らうと、思いも寄らないしっぺ返しが待っているんですね。
コメント
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