故土本監督は「記録なければ事実なし」という言葉を遺し、数多くのドキュメンタリー映画を制作しています。
この映画は1971年に制作された映画をDVDにまとめたものです。
映画(DVD)の中に出てくる砂田明さんが発した詞を書きとめました。
今の私たちの暮らしにもたくさんの教示がこの詞の中に散りばめられています。
「水俣病」に端を発した公害病は、今も様々な化学物質による汚染で暮らしの中に潜んでいます。人ごとではありませんね。
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「立ちなはれ!
もし 人が今でも 万物の霊長やというのやったら
こんなむごたらしい毒だらけの世の中
ひっくり返さな あきまへん
何が文明や!
蝶やトンボやほーたるや 蜆やタニシやガンや燕や
ドジョウやメダカやゲンゴローやイモリや
数も知れんほど ぎょうさんの生き物殺しておいて
水俣病の患者はん 知ってはりまっか
中でも胎児性の患者はん
わしはこう言うただけでも
もう腹わたが煮えかえるようであります
首はすわらん 目は見えん 耳は聞こえん
口きけん 味は分からん 手で持てん 足で歩けん
そんな そんなヤヤ子を産ませておいて
大腸菌かて住めん海にしやがって!
何が高度成長や! 何が百年に一度の万博や!
貧乏がなんどす えっ
思いだしなはれ
知らん人には教えてあげなはれ
お芋の葉 食べてきたかて 生きて来たやおへんか
思いださんかい!!
もし、あんたが人やったら
立ちなはれ 戦いなはれ
公害戦争や 水俣戦争やで
戦争の嫌いなわしらのやる戦争や
人間、最後の戦争や」
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胎児性水俣病の患者さんとその家族を撮ったものもたくさん含まれ、子供に対する母親の愛情の深さや彼らを取り巻いた人々のやさしさは心を打ちます。
どんな演技もかなわないそこに存在する人々の存在するという存在感の大きさが人の人としての尊厳を物語っていて、たくさんのことを考えさせられました。
故土本監督の「目」の力、すごいですね。