「ほんとにエレガントな人だったのよ。決して美人ではなかったけれどね。独特のセンスを持った素敵な人で、周りの男性は彼女に夢中になるのよ、みんな」
そんな60代で逝った人を偲んでの生前のその人のうわさ話しを聞きました。
面識のなかった私はその女性の写真を見せていただいたけれど、取り立てての感想も無いくらい静かで普通な女性に見えましたが。
しぐさの中にあらわれるその人らしさというのがあるのでしょうね。
声の質だったり、話しの間の取り方だったり、笑顔の出し方だったり、立ち居振る舞いの優雅さだったり、目の光の深さだったりが人の魅力となって触れ合った人たちに独特の雰囲気を醸し出して行くのかもしれません。
先日訪ねたお宅で、紅茶を入れて下さった女性。
その手さばきはうっとりするほど美しかったです。
茶葉をポットに入れ、お湯をそそぎ、ティーコゼーの代わりにきれいな長方形に折り畳んだ麻の布巾をまるでふくさを扱うようにていねいにポットに包むさりげない手つきはその人を顕しているようでした。
おしゃべりをしながらその動作に優雅さを持って集中する身のこなし方にうっとりしてしまいました。