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ちあの散歩道

輝いてアラカンヌ☆ありがとうの言葉を添えて暮らしのドアをそっと開けると今日も豊かな感動と新しい気づきが待っています。

久しぶりの黒田オサムさん

2009年06月21日 | 映画・芝居・芸術など




「ホイト芸」を演じ続けるパフォーマー黒田オサムさんに久しぶりにお会いしました。
駅で待ち合わせていると、黒田さんは軽々と階段を上って来られ、私を見つけると「やぁ!」という風に右手を軽く挙げられました。
とても去年喜寿を迎えられた方とは思えないほどの軽やかな歩みっぷりです。

知人の紹介で、黒田さんの公演を企画しているという若者の話を伝えるために、黒田さんに会ったのは、「喜寿公演」以来です。
パフォーマンスをする若者たちにとっては、黒田さんは「雲上人の神様のような存在」らしく、黒田さんにそのお話しを伝えると、黒田さんはいつものように、「ああ、そうですか。アハハハハ」と大笑い。
お元気そうで、相変わらずの活躍ぶりをうれしく思いました。

 

黒田さんと入ったカフェ。
街はずれの駅の、昔懐かしい商店街の佇まいを残す一角にあったカフェ。
若者が運営するこの店は、豆を店の片隅で煎りながらの、珈琲専門店で、とても珈琲の美味しいお店でした。

シンプルで取り立てて飾りのない気持ちのよいカフェでしたが、よく見渡すと店内がすべて籐椅子で設えられていて、私の目はそれらの椅子に釘づけに。
デザインの異なったいくつかの籐椅子。そのフォルムの美しさに目を奪われました。

お店の方に訊くと、「ヤマカワラタン」の製品だとか。
さっそくネットで検索し、お値段も手ごろで、さらにうっとりと眺めました。


紫陽花 そして 映画「長江にいきる」

2009年06月03日 | 映画・芝居・芸術など

 
 
 

品種改良が進んでいるのか、色や形など種類も多い紫陽花の花。
梅雨の空には紫陽花がよく似合います。

       ◎    ◎     ◎

ドキュメンタリー映画「長江にいきる・秉(ビン)愛(アイ)の物語」を「ぽれぽれ東中野」で観ました。
ドキュメンタリーゆえの切なさが心に重くのしかかり、答えのない問いを投げかけられたようで、やりきれない思いで映画館を後にしました。
これから高度成長期へと入って行くであろう中国の国の政策の中で翻弄される善良で貧しい市民ビンアイ。そして、もう決して人口も経済も右肩上がりにはならないと思われる日本。
人の幸せとは何なのか……人々は何を求めて生き、どこに着地しようとしているのか……など、一言では語れないものが、この映画の中に込められています。
私たちが失って来たものの大きさにも気付かされます。 
貧しくて不便な生活からの脱却という大義の行き着く果てに何が待っていたのかを、私たち日本人はいまおぼろげながら感じつつ生きています。
確かに戦後のどさくさを越えて、便利にもなり、それなりに豊かになった日本。
2009年に完成する山峡ダムで、水没するために家を失い、耕地を失ったビンアイ一家。補償金をもらって町に行くのではなく、農地のあるダムの周辺に住みたいと思うビンアイ。家族思いで働き者で意思の強いビンアイは一昔前の日本の母のようでもあります。

どこに居ても目まぐるしく変化する国際情勢。
GMの破たんなど、どう考えても思いもよらないことで、私のような庶民の計算式の中には超巨大企業の倒産など信じがたい出来事です。でもそれらが当たり前のように起きている先進国の今。
そしてその轍を踏むかのように後発の国々の上昇志向の中で人民の払う犠牲の大きさに心が痛みます。

決してワクワクと心が躍る映画ではないけれど、この映画を観てよかったと思います。自分の今と照らし合わせて、日々の暮らしの中で何が出来るのかを問われています。

6月末には、「スカベンジャー」「神の子たち」に続く映画として四ノ宮浩監督作品「BASURAバスーラ」が東京都写真美術館で上映されます。
こちらも見逃すことのないようにしたいと思います。


久しぶりのオノボリサン 「チョコラ!」を渋谷で。

2009年05月09日 | 映画・芝居・芸術など




渋谷の「ユーロスペース」で行われた映画「チョコラ」を観た後、周辺を散策。
ツタとバラに囲まれたお洒落なカフェを発見しました。
たっぷりのトマトジュースが飛びきり美味しくて感激。クレープも個性的なアレンジでオリジナルと言った感じが気に入りました。
久しぶりに出かけた渋谷では見るもの皆珍しといった感じで、ああ、オノボリサンになってしまったと思いました。
このカフェでは、オーダーと会計が先で、カウンターで注文し、お金を払ったあとで席に着きます。その際キーの付いた「番号札」が渡されます。
フレンチスタイルとあったけれど、フランスのカフェではこんな感じなのでしょうか…。
すっかりこのお店のファンになってしまいました。

もちろん、ドキュメンタリー映画「チョコラ」はとても良くて、初日初上映の12時30分からのものを観ましたが、会場はほぼ満席でした。
「モヨ・チルドレン・センター」の松下照美さんの活動も映画の中でよくわかり、わずかですが支援のカンパを送ろうと思っています。ユニ*フもいいけれど、顔の見える、使い道のはっきりわかり、ダイレクトに繋がるところにと思っていたので、よい出会いをいただきました。
「渋ブラ」をしていて、ブティックに飛び込んだところ、そこの店主の女性と何だか意気があってしまい、ついつい「チョコラ」の話をしたところ、その女性もチケットを一枚買って下さいました。そのお店から「ユーロスペース」までは徒歩5分。「ぜひ観ます!」と言って下さってうれしかった!!
「私たちくらいの齢になったら、少しずつでもできることを社会に還元して行きたいですね!私も孫が生まれたばかりですが、孫はハーフなんです。海外で起きていることにも無関心ではいられなくなりました」と笑いながら話してくれました。
よかった!!袖すり合うも多少の縁!!!一瞬一瞬が紡ぎ合う至福をかみしめました。

「チョコラ!」を通して感じる世界間格差。
溢れる物と飽食の中に生き、のほほんと暮らす私の周辺をさらに見直す機会を与えられた映画でした。

●「モヨ・チルドレン・センターを支える会」ではカンパを募集しています。
カンパ送付先 郵便振替 01660-1-73996 まで、
皆様の善意をお寄せ下さい。


映画「チョコラ」・5月9日~ユーロスペースで。

2009年05月07日 | 映画・芝居・芸術など


映画「チョコラ・アフリカの路上に生きる子どもたち」が5月9日から東京渋谷の「ユーロスペース」で上映されます。

 

詳しくは、「チョコラ」公式サイトでご覧ください。

上映初日の5月9日は、監督の小林茂さんやカメラマンの吉田泰三さん、「チョコラ」の撮影現場であるアフリカケニアで国際NGO「モヨ・チルドレン・センター」を設立し、その代表を務める松下照美さんなどの舞台挨拶、トーク&ライブなどが行われます。私もこの日に行きたいなと思います。

「チョコラ」は、佐藤真監督作品「阿賀に生きる」のカメラマンを務めた小林茂さん(コバさん)が監督として取り組んだ映画です。
5月4日に新潟阿賀野川流域の保田公民館で行われた新潟水俣病で亡くなられた方を追悼する「追悼集会・阿賀の岸辺にて」の行事の一環として、恒例の「阿賀に生きる」の上映や熊本水俣病の闘士として知られた川本輝夫さんの「没後十年・川本輝夫の世界」では川本ミヤ子さんと息子さんの愛一郎さんのトークイベントなどが行われましたが、その席で、「チョコラ」監督の小林さんによる「チョコラ」への思いが語られました。



「チョコラ」はドキュメンタリー映画です。
チョコラとはスワヒリ語で拾うという意味です。生活のためにクズを拾うストリートチルドレンの子どもたちを指す偏見的意味合いを含んでいる言葉です。しかし、その子どもたちは『俺たちは“チョコラだぜ!”」と歌い踊り、たくましく生きています。そんな姿を通して子どもたちと対話している私がいます。」と小林監督。
小林監督が人工透析をしながらケニアで撮影したことは知られた話ですが、監督のまなざしの優しさや深さをこの映画を観ることで共有できたらいいなと思っています。
そしてケニアでたくましく生きる子どもたちに心を添わせることができたらと思います。



ケニア在住で「モヨ・チルドレン・センター」代表の松下照美さんにもお会いしました。
松下さんの呼びかけがきっかけで映画撮りが始まり、「チョコラ」が完成しました。
ケニアにある「モヨ・チルドレン・センター」はスラムの中の学校支援や、女性グループの支援、ストリートの子どもたちのリハビリと「子どもたちの家」の運営などを精力的に行っています。



松下さんが会場で纏われていた一枚の布。
松下さんに「素敵ですね!!」と声をかけると、「手織りのウールの布で、とても暖かいのですが、お値段がちょっと高いのです」と言われました。
私は一瞬訊くことを躊躇しましたが思い切って尋ねました。「おいくら位ですか?」と。
お値段を伺った私たちは「安い!!」と声を上げました。アフリカと日本の物価や所得の格差によるものなのでしょうか。
見た目には綿にも思えるしっかりしたウールの手織りのため、お値段に関係なくなかなか手に入りにくいもののようですが。
「ケニアと日本の飛行機のチケットなども遠回りでも格安な物を探して利用しています」と松下さん。その活動に頭の下がる思いをいたしました。

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ブログを読んで下さった方でチケットの前売り券(特別1200円)をご希望の方は、メール、または 090-2329-1715 までお電話下さい。
(チケットは当日1700円、学生1400円、シニア1200円などです。)




写真展などの情報

2009年05月02日 | 映画・芝居・芸術など

ゴールデンウィーク中にもゴールデンウィークが終わり、落ち着いてからも訪ねてみたい展覧会です。
皆さまもご関心がありましたら、ぜひどうぞ~~。


◆「カミサマ ホトケサマ 船尾修写真展
5月24日まで 新宿三井ビル1階 エプサイトで開催 無料

私の故郷大分県の中にある国東半島を中心に写された写真展です。
土俗的な習慣や、その背景をつかさどる風景などの懐かしさと、写真を通した新たな発見に惹きこまれました。


◆「野町和嘉写真展 聖地巡礼」
5月17日まで 東京都写真美術館で開催 観覧料800円

数年前に観た野町さんの「地球巡礼」に続く写真展なのでしょうか……。
そのときに購入した写真集「地球巡礼」は、今もときどき眺めています。


◆「高田峻典展 小さな風景(日本画・パステル画)」
5月13日まで 千葉市 画廊椿にて開催

ずいぶん前、高田さんのアトリエを訪問したことがあります。
そのときにお話しした「小さな風景」のことが、絵になっているといいなと思います。



映画「バオバブの記憶」

2009年05月01日 | 映画・芝居・芸術など




東中野にある「ぽれぽれ東中野」で「バオバブの記憶」(本橋成一監督作品)を観ました。
(上の写真は「バオバブの記憶・パンフレットより)



もう15年くらい前、友人がなけなしのお金をはたいて(その人が言うにはですが)、「バオバブ撮影ツアー」にアフリカに行ったことがあり、 そのときに友人の写したバオバブの写真の美しさに魅せられたことを覚えています。(上の写真は友人の写したバオバブの樹です)

そして、今回観た映画「バオバブの記憶」……。
アフリカの大地に佇立する樹齢1000年とも500年とも言えるバオバブの樹を中心にした人々の昔ながらの暮らしを軸に描いた映像が流れます。
美しく均整のとれたアフリカの女性たちが纏う民族衣装のカラフルでしなやかな様にも魅入りました。はだしの子がいたり、馬を連れた少年が馬車を曳いてゆっくりと通る長閑な風景、その裏には過酷とも言える自然と向き合う原初にも近いひたむきな暮らしの営みがあります。
車のない村の生活にも、人々がモノを持ち寄る土曜市場では携帯電話が使われたりしています。人力や家畜を中心にした自給自足の生活が変わり行く直前の“嵐の前の静けさ”を秘めたような村の生活を追いながら、急速に押し寄せてくるであろう彼らにとっての文明開化。

淡々とした現地の人々のバオバブを中心とした日常を切り取ったように見えるこの映画の中からも、“便利で快適”な文明社会が押し寄せていることがそこはかとなく伝わります。
“神が宿る樹”と崇められていたバオバブの樹も大開発プロジェクトが進む中で、なぎ倒されている個所も増え、バオバブの樹の倒れた後にはビニールやプラスチックなどの自然に還らない大量のゴミの砂漠が映画の最後には映し出されます。

声高には何も叫ばない静かで美しい映画。
アフリカの大地で自然を畏敬しながら暮らす人々とバオバブの樹。
バオバブの葉はミネラルが豊富で貴重な栄養源。樹皮は万能薬としても重宝し、幹は水甕にもなります。人だけではなく動物も葉や花や樹皮を食べます。
乾いた土地に暮らす人や動物を援護するために神様が配分したようなバオバブの多大な役目。
バオバブそのものに精霊が宿るという言い伝えもそれだけ暮らしに欠かせないものだったことが想像できます。

………・
バオバブおじさん、教えておくれ。百年前、ぼくたちは、どんな暮らししていたの?
バオバブおじさん、教えておくれ。五百年前、ぼくたちは、どんな暮らししていたの?
バオバブおじさん、教えておくれ。千年前、ぼくたちは、どんな暮らししていたの?
       ・…… (映画の中のことばより)

バオバブの樹は、ずっとそこに佇んで悠久に人々の役にたってきているのに、いま、人とバオバブの共存さえもが危ぶまれていることへの静かなメッセージに、物質文明の洪水のことや環境問題、地球規模の温暖化現象など、深く様々なことを考えさせられる映画でした。
便利さには魅力がいっぱいありますが、それと引き換えに失ってしまったものの大きさへの思いが自然と迫りくる映画でした。



千葉市美術館で「川端康成と安田靫彦展」

2009年04月16日 | 映画・芝居・芸術など




5月10日まで「千葉市美術館」で「大和(やまと)し 美(うるは)し 川端康成と安田靫彦展」が開かれています。 (写真はちらし)

2007年2月「芸術新潮」で「おそるべし!川端康成コレクション」が特集され、「へぇ~!!川端康成って、すごいコレクターだったんだ!!」と単純に驚いた私は、新聞のニュースで「川端康成展」が千葉市美術館で行われていることを知り、訪ねました。

展覧会では作家・川端康成と日本画家の安田靫彦の収集品を展示し、2人の美術交流を振り返っています。
展示品の中には、ノーベル文学賞のメダルやノーベル賞受賞者ごとに意匠の凝らされた川端のための賞状や箱(千羽鶴が描かれています)もあり、美しかったです。
コレクションの中には、川端55歳、草間彌生26歳のとき、川端が買った草間の絵「雑草」と「不知火」も展示され、当時無名で今の画風とは全く違う草間の絵の凄さにも心を奪われました。
ロダンの「女の手」は高さが12㌢、小さいけれど絶大な存在感で迫ってきました。

もちろん、川端康成の生原稿などもありました。川端康成と安田靫彦にまつわるコレクションが250点展示され、見ごたえがありました。
良寛の書などもありました。東山魁夷の「北山杉」も目録付きで展示。 数えればキリがないほど集められた様々なものが展示されていました。

何かの本で読んで定かではありませんが、ものすごい蒐集家の川端康成に対して骨董商の方が、「ノーベル賞作家となっても、川端先生にお見せできない品物もある」と書いている下りです。見せれば欲しいと言われたとき譲るしかないのがその世界の決まりごとらしいのですが、その人の懐具合を推し量り、見せないものもあって当然ということらしく、私はそれを読んで、「川端康成をして買えないものがこの世界にはあるのだ」と思ったものです。 きっと表に出ないコレクターの世界というのがあるのですね。

美術館では川端の書斎も再現され、大机の前には座布団が置かれ、机の上や脇にはたくさんの名品が並べられていました。  


映画「まひるのほし」

2009年03月28日 | 映画・芝居・芸術など
松戸の「天神庵」で行われた佐藤真監督追悼上映会で、「まひるのほし」と「花子」の2作品を観ました。
「天神庵」は、「無辜なる海」監督の香取氏のプライベートスペースのようで、木で造られた集会所のような雰囲気を持ったイベントスペースでは、前と後ろには石油ストーブが焚かれていました。ストーブから漏れる温みのある火の色を見ながら、「いいなあ~」と、こういう映画を観るのにぴったりな空間だと思いました。

今回の上映会では、香取氏自らが16ミリフイルムを回しています。
香取氏と佐藤真監督は、水俣の「1980年の水俣実践学校で出会い」、そのとき東大の学生だった佐藤真監督は、香取さんと出会ったことで映画づくりの世界へ足を踏み入れた、と、上映後のトークで語っていました。
「テレビのヒューマンドキュメンタリー」と「自主制作映画」、さらに「個人映画」とその違いを語ってくれた話も、香取監督自主上映会ならではで刺激的で面白かったです。
時代時代のドキュメントを追いながら、「残って行く作品」と「消え去るもの」との違いのひとつに被写体主人公が時代の顔ともいえるエネルギーを持っているか、など撮る側のキーワードなども熱を持って話されました。

「まひるのほし」は、ずいぶん以前に六本木の映画館で観て衝撃を受けました。
シートがゆったりと立派な映画館での上映にも関わらず、観客は8名くらいで、観終わったあと映画館の人に「こんないい映画なのに、どうして観客がこんなに少ないのですか?宣伝が足りないのではないですか?」と詰め寄った記憶があります。私も若かった!!!
ドキュメンタリー映画の宿命なのでしょうか……いい映画ほど、観客はまばら、と、いつもドキュメンタリーを観るたびに思います。

「『まひるのほし』のレビュー&批評」記事がありました。

制作シグロの「まひるのほし」
 http://www.cine.co.jp/works1/artists/index.html

今日で2回観ましたが、息つく暇もないほど画面に釘付けになりました。
「まひるのほし」は、「阿賀に生きる」のあとに撮られた映画で、「阿賀に生きる」はよく知られていますが、「まひるのほし」も人が生き生きとユーモアにあふれた描かれ方をしていて凄い映画だと思います。

明日29日は、「天神庵」で、「阿賀に生きる」「阿賀の記憶」が上映されます。



一日

2009年03月23日 | 映画・芝居・芸術など


朝から強風が吹き荒れ、各地で被害が出たり、電車が止まったりしたようです。
家の中でも、南側のベランダは静かに春の陽を浴びているのに、北側の窓はガタガタビュウビュウと不気味な風が音を立て続けました。夕方にはその風も凪いでくるという一日でした。

洗濯や台所仕事をしていても水が温んできたのを実感します。
春は大好きだけれども、気圧の関係からか、静寂な冬の佇まいから一変して風が吹き荒れる日が多くなり、晴れているのに嵐模様の強風に慄いたり、黄砂が空一面を覆い、埃っぽいなど喜べない部分もありますね。
花粉症の方にも辛い一日なのでしょうか……。

そんな中、西千葉の「画廊椿」で行われている「神林學展」に行きました。
案内のハガキが届いたときからぜひ観たいなあと思っていました。
予想に違わず、空間をたっぷりと使った洗練を思わせる展示がなされていて、本当に素敵だなあと思いました。






小さなトルソ。
ワイヤーで出来た人体はまるでスポーツ選手のような表情でした。陸上だったり氷上だったりに思え、しっかりした安定感で立っていてその重心までが計算され尽くされているようでした。
他にもスタッコで形づけられていたり、その一体一体が伸びやかで表情豊かで観ていると心が開放されて行くようでした。
「人はそれぞれに異なった個性を持ち、自由でいいんだよ」とメッセージが伝わってくるようでした。
大好きだと思えるアートに出会うと、萎縮したり詰まっていた心の管に清々しい水が流れ、軽やかな音が聞こえて来るようでした。


映画 「エレジー」

2009年02月15日 | 映画・芝居・芸術など


話題の映画「エレジー」を観ました。
映画案内を読んだときには、愛をテーマにした「Love」のジャンルに入ると思っていたけれど、これは絶対「ヒューマン」のジャンルに括られるストーリーだと思いました。

「死ぬまでにしたい10のこと」のイサベル・コイシェ監督作品です。
「死ぬまでにしたい10のこと」も、淡々と描かれた名作でしたが、「エレジー」も“生きる”ことへの哲学的テーマが秘められているように思いました。

30歳年下の教え子の美しさに目を奪われ、心を奪われて行く大学教授。
画面には若いコンシェラの端正な美しさと、教授デビッドの知的だけれど抗いきれない老醜も映し出され、この2人の関係の行方を伏線にして物語は進められて行きます。
私たちが日頃思い込み、年齢や立場など思考の中にバリアーや狡さを知らず知らずのうちに築いて行っている、その垣根が徐々に外されて行くような展開。
人は一人一人の存在の確信に気付かなければなりませんが、ややもすると生きていく上でこれらのことを自らが抹殺したり封印してしまいがちです。

フィリップロス原作の「エレジー」も、特別のことはない日常の物語の中に、計算された映像美が画面上にクローズアップされて映え、非日常の世界へと展開させ、含蓄のある精神が散りばめられ、そしてそこに観るものを引寄せて行くような奥深さのある映画でした。洗練された大人の映画を感じさせました。

それにしても、映画っていいなぁと映画を観るたびに思います。
もっともっと映画を観る機会を増やしたいなといつもそう思います。

●◎もう一度観たい映画の中のひとつに、佐藤真監督の「まひるのほし」がありますが、
3月28日(土)10:00~ 14:00~ 18:00~の3回、上映されることを知りました。
場所は松戸市の天神庵です。
松戸で3月28日、29日に行われる「佐藤真監督追悼上映会」のプログラムとして「まひるのほし」も入っていました。
29日は「阿賀に生きる」「阿賀の記憶」の上映があるようです。●◎