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クリンの広場

たまっこくりんのおもいのたけ

『少年と犬』馳星周(感想)

2021-03-11 | 本と雑誌

「東日本大震災から、

10年・・

今日という日に、ふさわしい本が あるので、ご紹介します


 はせせいしゅう(馳星周)の、

『少年と犬』(2020年の直木賞受賞作)

です!!



主人公は、犬

シェパードと何かの「雑種」で、

「東日本大震災」で 主人を亡くしています

 

この犬、

持ち前のかしこさ

たくましさ

人の心のきび(機微)をつかむことのできる・性格が

幸いして

しんさい(震災)後、見知らぬ・5人の人々に お世話されます。



 その5人は・・、それぞれに きびしい・じじょう(事情)を

抱えており

大なり小なり

許されないことをしてきた、または、されてきた

人々です・・


しかも、

みんな、死期が間近


・・・・

 

そんな彼らの 

いたましい・晩年に、

犬が、いやしを 与えます


 オムニバス形式で てんかい(展開)しつつ、

犬が 

5年をかけて

自らのいし(意思)で 岩手から くまもと(熊本)まで行く・・

それは、なにゆえ


という、

一本のすじが はられた、

ドッグミステリー なのですが・・

 そもそもが、犬好き作家による、

犬好き読者のための、「渾身の犬小説」

すので

犬とソウルメイトである

多くのみなさまに

深い共かん(感)を 与えるでしょうし

 

犬うんぬんを のぞいたとしても

しんさい(震災)から10年の来し方に 

思いをはせたり

非常時におけるどうぶつ(動物)とのかかわりを

考えなおす

きっかけとなる一冊

って、

いえそうです。



・・・・・

 

ラストシーンが、

ちょっと・かんどう(感動)的すぎて、「おとぎ話かよ」と、思われる方も いらっしゃるかもしれませんが、


 犬のすばらしさが、書きつくされています

 

 

(・・・11月1日の「犬の日」に、紹介すればよかったかな~、この本・・

 

でも、「東日本大震災」と「熊本大地震」の両方に、このワンちゃん、関与するんですよ

3・11~4・14の間に読むのも、オススメですよ

 

・・・2つのしんさいで亡くなった、すべてのどうぶつの ごめいふくを、お祈りいたします

 

 

 

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来年の「雪の日に読む小説」特集・予定。

2021-02-15 | 本と雑誌

さいしょの『雪国』(川端康成)から

1ヵ月も ひっぱっちゃった

「雪の日に読む小説特集」

ですが

雪の小説って まだ

けっこう あるみたいだし・・

 

(また、来年の冬も読んで、レビューしてみたいなって 思いました

 

 今のところ・・

『クリスマスキャロル』(ディケンズ)

『フランダースの犬』(ウィーダ)

『幸福な王子』(オスカー=ワイルド)

『氷平線』(桜木紫乃)

『奇面館の殺人』(綾辻行人)

『殺しの双曲線』(西村京太郎)

『忍ぶ川』(または『熱い雪』・三浦哲郎)

『たまゆら』(あさのあつこ)

『リバース』(湊かなえ)

『去年の雪』(江國香織)

『雪』(宇野千代)

『大つごもり』(樋口一葉)

『枕草子』(清少納言)

『田舎医者』(カフカ)

『夢顔さんによろしく』(西木正明)

あと、

「白瀬探検隊」の何か

を 

リストアップしていますが、

他にも、これから 探すつもりです。

 

(なんか、良い本、見つかればいいなあ~・・

 

ともあれ

 毎度 長文のブックレビューを

お読みくださいました・みなさま

どうも、ありがとうございました

心から かんしゃ(感謝)申し上げます(おじぎ

 

(かんそうや、色々なじょうほうも およせくださり、とてもうれしかったです

 

と、

いうわけで・・

(雪の日に読む小説特集・2021、完2022へ、つづく

 

 ・・・と、その前に2021年夏は、

「蝉の鳴く小説特集」

を 

やらせていただく・予定です(わすれてました・・)

 

(そっち先に探さなきゃ・・ あるかなあ・・

 

 

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雪の日に読む本『小林一茶この一句~現代俳人が選んだ上位句集』

2021-02-12 | 本と雑誌

とうとつ(唐突)ですが・・

 

 <小林一茶、雪の名句 5選

愛らしく両手の跡の残る雪

雪仏犬と子どもがお好きかや

雪解けて村いっぱいの子どもかな

心から信濃の雪に降られけり

これがまあ終の住処か雪五尺

 

(2句目の「雪仏」とは「雪だるま」のことです⛄)


 

小説では 

ないのですが、

この本、おもしろかったので、ご紹介しておきます

 

『小林一茶 この一句~現代俳人が選んだ上位句集』

(柳川彰治編著)

 「めでたさも中位なりおらが春」の句集で

おなじみの、

江戸時代の俳人・小林一茶

 

「彼の作品の中で好きなのを一句えらんで下さい

俳だん(壇)で 活やく(躍)しているみなさまに

アンケートをとって

まとめた本です

 一茶の有名な句に「解説」が

ちょっとついているから、

かんしょう(鑑賞)して 楽しめるだけでなく

 192作品が、「投票順」に

下から並んでいるので

(あの句は何位!?

と 

ドキドキしながら待てる、よろこびも あります


ちなみに

 

ベスト15の「予想を書く欄」が 設けられていたので、

リンも 考えました


 (読者参加型なのです

 

でも、

ベスト15なんて、思い浮かばなくて

困っていると・・

「自分の好きな作品ランキングを記入してもかまわない」

って 

書いてあったで、

読みながら えらびました


 <クリンの好きな・7句

 

あの月をとってくれろと泣く子かな

思う人の側(そば)へ割り込む炬燵かな

我と来て遊べや親のない雀

大蛍ゆらりゆらりと通りけり

御(おん)ひらひら蝶も金比羅参りかな

雀の子そこ退けそこ退けお馬が通る

★痩せ蛙負けるな一茶これにあり


 <親友チット選・8句>

 

★麦秋や子を負いながら鰯売る

秋風や家さえ持たぬ大男

牛の子が旅に立つなり秋の雨

夕月や鍋の中にて鳴く田螺(たにし)

雉(きじ)鳴くや関八州を一呑みに

塔ばかり見えて東寺は夏木立

蟻の道雲の峰より続きけり

星にさえ愛別離苦はありにけり


 「けっこう、、人柄が出るね~ えらぶだけで。」

 

(※4句目にありますが、うちのチットは、タニシが好きなのです

 

みなさまも、

お友だちや ご家ぞくといっしょに

えらんでみると、

おもしろいかもしれませんよ

 

 

おすすめ度:けっこう

 

 

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雪の日に読む小説・21(『冬の本』)

2021-02-10 | 本と雑誌

ながらく・つづけてきた、

「雪の日に読む小説特集」

ですが、実は

10冊目を すぎたころに、

クリンは、こんな本を 見つけていました


 『冬の本』です。(夏葉社)

 

文字の世界で 活やく(躍)する

84人が、

出版社から「冬の本」という・おだい(題)を もらって

見開き1ページで つづった

エッセイ集

 

そこには、

雪の本も、けっこう・紹介されています。

やだあ~。こんな本あるの~ 最初からこれ読めばよかったじゃん・・」

しん(親)友・チットは、ずっこけていました 

が、

 世の中・・、雪や冬を テーマにした本は、

それこそ 降る雪のごとく

たえまなく

世に 送り出されていたようで

 

今回、クリンたちが

「雪の日に読む小説特集」で

リストアップした・作品たちは

ここには 紹介されていませんでした。(←たしかそのはず。)


「速読」の人なら、2時間
で 読めると思います

 

作家さん、

エッセイストさん、

コラムニストさん、

本屋さん、

学者さん、

たちが、

自分の好きな冬の本、冬に読んだ思い出の本、タイトルはとくになしで冬読書の自分流

について 語る、

ラジオトークのような、つづりかた(綴方)

 

なかには

何を書こうか?考えているうちに、主旨を忘れてしまったのか

全く、

読書のことも、本のことも

書いていない人も いて・・

 

 友だちの、「話題がとびとびになる、何気ないおしゃべり

カフェで きいている時のような

気分にさせて もらえました

 

(※それこそ、今、かつごう(渇仰)しているものです

 

 

 

 

クリンたちにとっては、

 き(期)せずして 目にした、角田光代さんの「宮沢賢治論」

が、光っていたのと

初めて読んだ・マタヨシ(又吉直樹)さんの文章

が、

前半ダルくてどうしようもなかったのに、

いきなり後半でシメてきたのに、おどろく

という、

発見のあった、本でした

 

 

おすすめ度:軽い雪をお求めの方に。

 

 

(次回は、小説ではないのですが、小林一茶の雪の俳句本をとりあげます 本の紹介はラストです

 

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雪の日に読む小説・20(『極夜行』角幡唯介)

2021-02-09 | 本と雑誌

人間の力なんて

及ばない

大いなる・宇宙の光と 向き合った人の本

もう一冊。

『極夜行(きょくやこう)』

の レビューいきます

(角幡唯介。「2018年・本屋大賞ノンフィクション本大賞」作品です


 きょくや(極夜)とは・・「北極の夜の世界」
指す言葉。

 

実は

ほっきょく(北極)には、

太陽がのぼらない・真っ暗な日が 数ヶ月続く時・・

あるらしいのですが、、


その暗やみ(闇)を 見に行った
日本人が

この本の 

ちょしゃ(著者)、

 かくはたゆうすけ(かんじ、角幡唯介)さん

です。



 かくはたさんは、現在44さい。

大学のころから

「探検部員」を やっていて・・

 

「もう開拓の余地はない」と 言われていた

ンフィクション・ジャンル

を、

「北極探検」という

ふつうの人ではできない・たいけん(体験)を 武器に、切りひらきました


 そう、、、
知られざる世界のオンパレード

を、

ならべて 見せたのです

 

なので・・

読者は、

 「へえ~ 北極って、そんなことがあるんだ~」と

好奇心で 読みすすめてしまう

 

これぞ

ノンフィクションのもつ・強み


 かくはたさんは、2016年、犬一匹をつれて

ほっきょく(北極)に 

出かけました。

 

月さえ見えない・暗やみ(闇)の中・・

 持って行った食べ物は、

しろくま(白熊)に 食べられてしまい

ウサギやオオカミを 

うち殺して食べる

サバイバルな日々、、


 そうして・迎える、夜明けの太陽
は、

一体 自分に、何をもたらしてくれるのか・・?

 

それを 知りたいばかりに

すいきょう(酔狂)にも 

「極夜行」に 出かけたのです


 4ヶ月ののち・・、かくはたさんに 何がおこったか

 

それは

ラストで 明らかになります。


クリンたちは、

その結末が 知りたくて 

読みはじめたのですが・・

 20ページくらい・読んだ

ところで、

(あれこの人、おもしろいな

と 気づき

 

そこからは、

きょくやこう(極夜行)の行程を 楽しむようになりました


 かくはたさんは、生まれたばかりの

いるのに、

死ぬかもしれない「北極探検」に

行ってしまう人

 

学生時代からやってきた・好きなことを、

そのまま仕事にしている

自由な たましい(魂)の、持ち主です

そのためか、

とても おおらかで、

 ふつうの人なら、泣きたくなる・孤独や、叫びたくなる・ピンチも

なんのその

楽しんで、

全部、ネタにしています

 

 そんな、かたやぶりが 文体にも 

あらわれているので、

読者は、

明るく・ころがされるように 読めるのでした

 

いわば

「一流の作家のように哲学を語る頭を持った・若者

居酒屋に行ったら、

『俺が北極に行った時の話きく?』

おもむろに 話し始められちゃって、

『ええ~、マジですかあ その話。

すっごおい

と、

こっちも 引き込まれちゃった

ってかんじの、本」なのです

 

(※けっこうくだけてるんです。『ヤバい。マジで高潮が発生しやがった。』みたいな文章が出てきます

 

 

ノンフィクション、

というと

しんけん(真剣)かつ、辛気くさいイメージ

を 持つ方、

いらっしゃると 思いますが・・

 

そんな、

神妙に かまえなくて、大丈夫

 

 こんな・しばれる冬の晩に、

お酒を 飲みながら、気楽に 読める本ですから



 ちなみに「著者」いわく、

「北極でいちばん美味しいのは、オオカミの肉」

そうですので、

ビーフジャーキーなど おつまみにすると、気分が出るでしょう

 

 

おすすめ度:そこそこ

 


(次回は、『冬の本』をご紹介します 「雪の日に読む小説」特集も、あと2冊となりました

 

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雪の日に読む小説・19(『星に降る雪』池澤夏樹)

2021-02-07 | 本と雑誌

「観測所」を ぶたい(舞台)とした

「雪の小説」を、

もうひとつ

『星に降る雪』(池澤夏樹)

の レビュー行きます

(今度は、現代の話です)



 ノーベルしょう(賞)で、話題になった

「電波天文台・カミオカンデ」

 

主人公は、

そこにつとめる、技師の田村です

 

田村は、

かつて 登山中に、なだれ(雪崩)で死にかけた

けいけん(経験)があり

その時亡くなった・親友を 

しのびながら、

無口に 生きてきました。


ある時

同じ・じこ(雪崩事故)の 

生き残りである

亜矢子が たずねてきて、、

 

二人は 

セックスします。

 

そのあとで・・

自分たちが 引きずっている

「雪崩事故」について、

むねのうちを 明かしあいます。。

 

 のりこえる(乗り越える)ために、、、


そういうお話。


 (あれっ・・おわったの

気づくのが おくれるほど

さりげなくおわるので、

田村と亜矢子を 通じて、

「男と女って、考え方の根本が ホント、ちがうよね

という

作者からの メッセージを 

受け取りそこねる人けっこういそうです・・


 作者のいけざわ(池澤夏樹)さんは、

しんぶん(新聞)に

よく文章を よせているので、

「売れっ子作家で、筆上手

との 印しょう(象)を 持っているのですが・・

 

(この中へん(篇)に関しては、シンプルすぎるな・・)

思いました

 

いけざわさんは、

お父さんが作家の「福永武彦」

お母さんが詩人の「原篠あき子」

だそうですが、

今回の作品は、

お母さんの「原篠あき子」の血が、色こく・出ているかんじです

 

(詩っぽくキレイに まとめてあり、がいねん(概念)で包む、あのかんじで書かれています


 な~んて、、 ぶんせき(分析)しては・みたけれど。。

 

しょせん

ニュートリノとか、

チェレンコフ光とか、、

何度・せつめいされても 

何なのか・わからない

無学なクリンには

この作品の価値を

正かく(確)に レビューすることは できないのかも しれません。。

 

 あえて、いうならば・・

小説の ぼうとう(冒頭)に 

描写された、

「日本海側独特の、灰色がかった雪

も、

 つねに、星からのメッセージを受け取ろう

している

物理学者の「感受性」に 

かかれば、

キラキラした・スターダストに すりかわるんだな

 

と いう・・

イメージだけが のこりました。

 

 

しん(親)友・チットは、というと・・

 あえていうなら、そこじゃなくて・・

物理学を専攻した人が書くと、

あっち方面

ういう描写になるんだ

という、、

驚きのほうが 大きかったよ

 

ことは波のコントロール下にある。』『二つの肉体が相互に意思を通わせて、エネルギーと快感を交換して、、』『腿を割って、受け入れの状態を探る。そうしながら、これもハイゼンベルクの背理の一例かと、、』

 

って・・

絶えず、物理学的?に、観測してるの。。

変な連中。。」


と 

びっくりしていました

 



おすすめ度:ふつう

 

 

次回、「雪の日に読む小説」特集は、角幡唯介の『極夜行』を 取り上げます 

・・ほんとは池澤夏樹から、池澤夏樹の父・福永武彦が作家を志すきっかけとなった、萩原朔太郎の雪の詩の紹介にすすみたかったのですが、萩原朔太郎をしらべていったらいろいろありすぎちゃって・・内容がすごすぎるので、サクタロウは、のちほど単独・別件で扱います

 

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雪の日に読む小説・18(『芙蓉の人』新田次郎)

2021-02-06 | 本と雑誌

雪は

恐ろしい災害や 

ひげき(悲劇)を 

もたらすものでは ありますが・・

 

その雪に 立ち向かっていき

「感動の吹雪

を おこした人たちが、います


 のなかいたる(野中到)

と、妻の千代子です。


 二人は、
明治時代に、初めて 

冬の富士山にのぼり

きしょうかんそく(気象観測)を行った、

実在の夫婦


その、

山岳史的・気しょう(象)学的

こうせき(功績)を つづった

『芙蓉の人』という伝記小説

を、

今日は 取り上げます


 作者は、新田次郎さんで、

クリンでも知っている、

有名な 山岳小説家 

(『八甲田山死の彷徨』や『劔岳<点の記>』とか、書いてる人です


 山登りけいけん(経験)・ゼロの、クリンが、

そんな「ガチな登山モノを 

読んだら、

部屋の中で そうなん(遭難)してしまう

不安に なったので、

 もっとソフトで、「夫婦愛」をテーマにしている

こちらを えらびました。


 さて、タイトルの
『芙蓉の人』

ですが、

これは、

夫を追って 冬の富士山にのぼった、

妻・千代子のことを 指します

 

 彼女が、「芙蓉峰(ふようほう)」と呼ばれた

富士山に いる間に 

つけていた日記が

『芙蓉日記』なので、

そこからの 引用だけど、、

 まだ、「封建社会」のしばりが

げんぜん(厳然)と のこっていた

明治時代

「女は、でしゃばらないで家にいろ

の 

声を

はねのけて 山へ向かった

この、美しくも・力強き妻を、

「快挙の、真の立役者と みなした作者が、

きわ(際)立たせる目的で

つけた 

タイトルのようです

 



<以下、内容のアウトラインです

 千代子の夫・いたる(野中到)

は、明治28年、

冬の富士山初登頂に成功した、すごい人

 

でも、

彼は アルピニストではなく、

「富士山に気象観測所を建てたい

と 考えた

在野の気象家で、

 天気予報が当たらないのは、高い空の気象がわからないからだ 富士山頂くらい高い所で観測すれば、予報は確実性を増す

 

そのためには、

(まず、民間人の自分が観測をやってのけて、国を動かそう

と 

立ち上がりました


でも、、

 まだ・だれも、富士山のてっぺんの

冬の寒さを 知らない時代・・

 

「一日12回、二時間おきの気象観測を、たった一人で一冬つづけるなんて無謀だわ いつ寝るのよ

心配した妻・千代子

が、

夫の手伝いをするため、山へ 向かうのです

千代子は

登山トレーニングや、「気象観測の勉強」も

していったので

よき助手と なるのですが・・・

 後半が 読ませどころ

なので、

あとは 読んでください

(夫婦の二人三脚は、新聞でも大きく取り上げられ、日本中を沸き立たせたそうです 日清戦争や三国干渉さえあった時代でしたが。)

 

 

今、

冬だから、

 晴れた日は、富士山が

とおくからでも

キレイに 見えます

 

そんな 富士山に、

「美しい」以外のエピソードを 求めたい日に・・


お読みになると、

よろしいかと 存じます

 

<おすすめ度:ラストシーンが泣けたので、星4つ弱

 

 

(次回「雪の日に読む小説」は、池澤夏樹の『星に降る雪』を、取り上げます

 

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雪の日に読む小説・17(『破船』吉村昭)

2021-02-04 | 本と雑誌

海に面した・地方

ぶたい(舞台)の、

うすらさむい小説を もうひとつ・・


 『破船』です。


書いたのは、

昭和の歴史小説家、よしむらあきら(吉村昭


 あっさりした・ひっち(筆致)に 反して、

かなり

調べあげて書くのが 習かん(慣)だった

作家さんが 取り上げている

のだから、

(この話は、史実なのだろう、、)

と 

かくご(覚悟)して・読まなければ ならないのですが・・

この小説に描かれる・漁村、怖いです。。

 

<あらすじ>


 江戸時代の、
とある・まずしい、漁村・・

 

村人たちは

生活をきりつめ、

出かせぎで、食いつないでいました。

そんな 彼らには、

時々、

ものすごい 天からの恵みが、もたらされることが あります


 おふねさま(お船様)です

 

冬の・・

海が荒れる夜に、

お船さまは

米や、さとう(砂糖)、日用品を 運んで村に来てくれる・・

 

どこから来てくれるのか?

というと、

沖から 来てくれます。


 村人が、浜で焚く火

おびきよせられて、、


実は、この村

あらし(嵐)で 困っている船を 

わざと近づけては

「座礁」させ

船の つみ(積み)荷を うばっていたのです

 


 もちろん・・、乗組員は、
みな殺し。

しょうこ(証拠)は 

バラシて

みんなで、いんぺい(隠蔽)・・

 

そうやって 生き延びるのが、当たり前の村なのでした・・。

 物語は、主人公の少年が、

「お船さま呼び寄せの儀式」

を 

知るところから はじまるのですが・・

 



この本、4分の3くらい・読むと

いきなり、

どんでん返しが はじまります

 それは・・ある年、またも

到来したお船さまに、

村人たちが タカって行ったら

その船が、

なんと 

村に「疫病」を まきちらす

もがさ船(痘瘡に罹った病人を補陀落渡海させる船)」

だった

という、

大・どんでん返しです、、



(・・・え、えげつねぇ~~~~

 

(※ネタバレはここまで そのあと村がどうなったのか?は、クリン知ってるけど、教えません

 

・・・・・

 

日本って、

ほんの何世代か前までは、

こういう土俗的な集落が、けっこう・あったんだろうなあ・・

と、

現代人の いでんし(遺伝子)に

ゆさぶりを かけてくるような

小説。。



でもって

「新型コロナウィルス」に、むしばまれる

今の時代にも 

教訓を与える

お話なのでした。。

 





おすすめ度:いまならでは 

 

 

(次回、「雪の日に読む小説特集」は『芙蓉の人』(新田次郎)を取り上げます 実話にもとづく夫婦の山岳小説です

 

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雪の日に読む小説・16(『ゼロの焦点』松本清張)

2021-02-03 | 本と雑誌

戦争により 生き方をねじ曲げられ

重く、苦しい過去を

背負った人を

かなしく描いた・ミステリーが、ここにも、あります


 『ゼロの焦点』です

昭和を代表する

「社会派小説の旗手」、

まつもとせいちょう(松本清張)の 長へん(編)・・

 しかもご本人が、「自分の作品の中で一番好き

と 言い切った、代表作

です。

 

それは

どんなお話か というと、、、

<あらすじ>

 主人公の禎子(ていこ)は

新婚の夫に 蒸発され

わけがわからず、大ショック

夫が行方不明となった、金沢に 

やってきます。 


 しかし・・いっしょにさがしてくれていた、

夫の兄や同僚が

何者かに 毒殺され

(この事件には根深い何かがあると 気づきます


 禎子は 恐れながらも、

手がかりとなりそうな、二枚の写真をたより

必死に かけまわり

ついに

犯人をつきとめる

けど、、、

 そこには・・ 平成・令和の身勝手な犯行とは

かけ離れた、

誰も責めきれない、昭和ならではの犯行理由

存在したのでした。。

 クリンたち、この『ゼロの焦点』を、2009年封切りの映画で

見ました

 その映画は、広末涼子、中谷美紀、木村多江の三人が

「全女優魂」を 注ぎ込んだ

怪作で、

しびれました・・

(第33回日本アカデミー賞作品賞ほか計11部門で優秀賞を受賞

 わびしい・雪景色

寒く、凍てつく・漁村

暗く、荒れ狂う 

冬の海

 

クライマックスシーンに 出てくるのは、

「人間の深淵」を 

のぞきこんだかのような

冬の のと(能登)の、

だんがいぜっぺき(断崖絶壁)・・


 ぜひ、ごらんになってみてください

とっても、雪まみれになれる、映画ですの


 (本じゃなくて、映画の宣伝に

なっちゃった・・)

 


おすすめ度:映画よりおもしろくなかったけど・・、原作をリスペクトして、星4つ弱

 

 

(次回「雪の日に読む小説」は、吉村昭の『破船』を とりあげます

 
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雪の日に読む小説・15(『収容所(ラーゲリ)から来た遺書』辺見じゅん)

2021-02-01 | 本と雑誌

 樺太まで行ったついでに、「シベリアを舞台とした傑作」

を 

取り上げます

ラーゲリ(収容所)から来た遺書』(辺見じゅん)

です。


お気づきの通り

シベリア抑留」が テーマの小説です。ゴォォ…(大宅賞受賞作)


 第二次世界大戦後、ソ連のホリョ(捕虜)になって

シベリアに 連れていかれた人・・

 

それは、60万人もいた

と ききますが、

彼らが、向こうでどんな目にあっていたのか 

を 

教えてくれるのが、この本・・


 内容的には、ズバリ・ひさん(悲惨)で

ちょう(超)寒い・・

何しろ、

9月から 雪がちらつきはじめる

「シベリア」が ぶたい(舞台)

おまけに「毛布一枚でがまんしろ」という、

収容所の年月

描かれているのです・・

 強制連行、強制収容

強制労働

スターリン式矯正教育

空腹と絶望

黒パン一個をめぐる・いさかい

同胞の裏切り

そして、死、、

 



お話は、

「抑留」から かいほう(解放)された日本人が

帰国の途につくところから

始まりますが、

そんなにかんたんに 帰れるわけがない 

引きもどされる人も いたりして、、

 (なんたる、この世の地獄か・・)

と、

かなしくなること・必定です。。

 しかし この作品が「戦争ノンフィクション」

に とどまらないのは、

辛いからといって・読者に読むのをやめさせない

作者(辺見じゅんさん)の、

「構成力」

と、

ラーゲリの日本人に見える、「知的欲望の光」のため・・



 小説の主人公は、
もともと・学問のある人

で、

収容所でも「精神」を 殺さないため

仲間に、

勉強会や句会を 呼びかけます

 

もちろん

ソ連のかんし(監視)を くぐり抜けての 集会ですし

体は ヘトヘトに つかれてて

1分でも ねていたい・・

 

それでも

なつかしい・日本語を 思い出したくて、

みんな、ここに来ます。


 句会に来れば、
昔の「階級」も

今の現実も 

しばし・どけて、

気持ちを 大切にすることができる、、

 

収容者の心は うるおったのでした。


 そんな、アムール句会の人びとは、

果たして

「ダモイ(帰国)」できたのか


そこが キモなので、

それは、

読んで たしかめてください


 クリンは、彼らの俳句を いくつか・
ご紹介して、

この話を 終えます。

 

独房の秋を得たるは 蠅の友

小さきをば子供と思ふ 軒氷柱(のきつらら)

生くことは 悦びといふ木の芽見て

普請場に 燕大きく来りけり


おすすめ度:いっぱい

 

 

(次回「雪の日に読む小説」は、松本清張の『ゼロの焦点』を とりあげます

 

 

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雪の日に読む小説・14(『熱源』川越宗一)

2021-01-31 | 本と雑誌

「雪の日に読む小説特集 第14弾

去年、直木しょう(賞)をとった

こちらの本

 かわごえそういち(川越宗一)の『熱源』です

 

見るからに、寒そうな

カバーに 

描かれているのは

物語のぶたい(舞台)である カラフト(樺太)


 ←ここです(〇で囲んだ・長細い島)

この島で生まれた・アイヌ男性

と、

この島に流刑になってきた・ポーランド男性

を 

ダブル主人公として、くり広げられる「最果て文学」です・・

 それを、ようやく(要約)すると・・

「明治時代、日本人と同化することを強制されたアイヌと、同時代、ロシア帝国の支配下におかれたポーランド人が、
自らの血に流れる民族のアイデンティティーの危機に際し、ささやかな闘いをいどむ、、」

 

と 

いうような お話です。


 タイトルにつけられた、

「熱源」という言葉は、

とう(登)場人物たちに

「苦難の時代を生き抜く熱」を もたせた

カラフトという島、そのものを

指しており

なんとなく・ブームが起こりつつある

近代史の、

しかも みんながあまり知らない・グレーゾーンを 取り上げるあたり

作者の 目のつけどころの良さを

かんじるのですが・・

 ・・・関西出身の作者から ただよってくる、

どうしようもない・あたたかさ

作品を 生ぬるくさせ

北国の読者からすると、

「凍てつくってのが どういうことか、わかってねえべな

と、

あまちゃん扱い されてしまうこと・うけあいです

 それに、、
かわごえさんは、史学科出身という

学問上の せん(専)門性から

ロシア革命について 書きはじめて

止まらなくなったのだろうけど・・

「やはり日本人がポーランド人を描ききるには、民族として限界がある

と、

わが家の歴女(チット)などは 

かんじているようでした。

・・

 とはいえ「北の辺境に生きる民を描いてみたい

という

作者のチャレンジと、

がんばって、まとめた・手わん(腕)に 拍手

「作者の熱源」が かんじられる、直木しょう(賞)作品でした


おすすめ度:歴史に、ある程度詳しい人に。

 

ちなみに

 アイヌ語で「美しい」を「ピリカ」

と いうのだそうです

北海道のブランド米「ゆめぴりか」は、「美しい夢」っていう・いみ(意味)だったんですね

 

かわごえさん、

教えてくれて、ありがとうございました

 

 

(次回の「雪の日に読む小説」は、辺見じゅんの『ラーゲリから来た遺書』です

 

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雪の日に読む小説・13(『雪中行』石川啄木)

2021-01-29 | 本と雑誌

さっぽろ(札幌)を はなれて、

くしろ(釧路)に まいりましょう

石川啄木と ともに、、

 

今日は、

『雪中行』(石川啄木)

を たたき台として

たくぼく(啄木)がよんだ、「釧路短歌」の話をします

 

※『雪中行』の内容は、ただの移動記録で、おもしろくないので、ご紹介はしません


 天才歌人・石川たくぼく(啄木)は、21さい(歳)の時、

北海道へわたり

「函館」から「札幌」、

そして「釧路」へと やってきました。

 しんきいってん(心機一転)の ためです

くしろ(釧路)には 

3ヶ月くらいしか・いませんでしたが、

ここで

けっこう・良い歌を、よんでいます

 

 

「 さいはての 駅に下り立ち 雪あかり さびしき町に あゆみ入りにき 」

「 しらしらと 氷かがやき 千鳥なく 釧路の海の冬の月かな 」


 しん(親)友・チットは、くしろ
に 一年間

くらしたことがあり

たくぼく(啄木)の

この2つ目の歌を、

実かん(感)を込めて あいしています


だから

今回、「雪の日に読む小説特集」でも

石川啄木を とりあげてあげたいな

と 

ったのですが・・

 

よく考えたら

「しらしらと、、」の歌には、雪はふって・いないのでした

(※氷の海に、月が煌々・・なイメージです


 困ったクリンは、実家の

お母さん(釧路出身)に 相談しました

すると・・

 

 あれもいいわよ。」

 『 神のごと 遠くすがたをあらはせる 阿寒の山の雪のあけぼの 』

 

と、

お母さんは、

お気に入りの「啄木の歌」を

そく・教えてくれました

(※啄木が釧路を去る時に、船の中から見た景色を詠んだ句です 雪も降っています


 それをきいて・・、
久しぶりに、ほっかいどうに

行きたくなった

クリンたち


「石川啄木特集」は、コロナ

完全終息ののち、

チットといっしょに

釧路に行って、

やりたいと 思います

 

(ちなみに・・うちのお母さんは釧路の高校生だったころ、

学校を代表して、

石川啄木の釧路時代の昵懇であった、芸者・小奴(こやっこ)に会っています

釧路放送局の企画で、

「高校生がインタビューする、小奴と啄木の歌」みたいな番組があり、

優等生だったお母さんが、駆り出されたのです

小奴さんはその時60歳手前くらい?だったそうですが、17歳のころのことを、17歳くらいの高校生にインタビューされて、どう思っていたのか・・

お母さんにも、そこら辺のことを問いただし、そのうち「クリン釧路紀行・啄木編」にて、まとめてみたいと思います

 

 

『雪中行』自体の、おすすめ度:そんなに

 

 

(次回、「雪の日に読む小説特集」は、川越宗一の直木賞受賞作『熱源』を とりあげます

 

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雪の日に読む小説・12(『雪の断章』佐々木丸美)

2021-01-28 | 本と雑誌

「男と女のドロドロ愛憎劇も、雪の白さが浄化してくれる

と いえば

そうなのですが・・

お口直しに、

もうちょっと、清々しい「北海道の雪小説」を ご紹介します。


佐々木丸美『雪の断章』です。

(とってもピュアな愛の物語です

 主人公は、孤児の「あすか(飛鳥)」ちゃん

ようけ(養家)で いじめられていましたが

ひろやさん出会い

引き取られることに なりました

 ひろやさんは、若く・モテモテの商社マン

ですが、

周囲の反対を押しきって、飛鳥ちゃんを育てます

(やさしい人なのです



物語は、

5さい(歳)の飛鳥ちゃんが 女子大生になるまでの成長と、

ひろやさんとのキズナ

二人の周辺事情、

といった ところですが・・

 そこに一つ殺人事件という

スリリングが はさまります

 

かんそう(感想)としては、

とても、おもしろかったです

 

 作者は、「ヒューマニズムの正統なる後継者といえる

心(精神の軸)が あって、

主ちょう(張)も、

後味も、

ともに 快かったですし

また、

表現の点で、うならせる・うでを 持っていました。

 作者・佐々木丸美さんは、とう(登)場人物の

言葉を借りて、

「人たるもの、かく生きるべきか

つねに、読者に 問うていましたし

 

そこには、

彼女が 

生きてきて・きずき上げたのであろう

かっこ(確固)たる考えも 

ていじ(提示)されていました・・

 

すなわち

相手を傷つけてはいけない。

人は、思いやりが大切。

という、

人間関係の 約束事が、です。


 ぶたい(舞台)が「札幌」と

いうだけあって、

物語の ところどころに 

雪が ふるのですが

 

佐々木さんが 

あたたかいので

雪の温度も、高めに かんじました。



 あたたかな雪が ま(舞)っているのを

見たい方は、

ぜひ、お読みになって みてください

 

 

 

おすすめ度:焼きとうきびの粒ぐらい

 

(※ただし、恋愛小説という点では、なかなか自分の気持ちを明らかにしない二人に、終盤はイライラを通りこして疲れました よもや作者さん、片想い経験豊富か

 

 

(次回「雪の日に読む小説」は、石川啄木の『雪中行』をとりあげて、啄木の短歌をご紹介します

 

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雪の日に読む小説・11(『阿寒に果つ』渡辺淳一)

2021-01-26 | 本と雑誌

平成の時代に

「失楽園」ブーム

「愛ルケ(愛の流刑地)」ブーム

を まきおこし

「とにかく男と女は抱き合い尽くしたら、雪の中で死ね」

と 言った(※言ってない)、

大作家の小説から、「雪景色」なやつを、一本



 わたなべじゅんいち(渡辺淳一)の

『阿寒に果つ』を、レビューします。

 


1973年刊行、

1950年代が、小説のぶたい(舞台)。

というと

(ずいぶん昔だな・・)って 気がしますが

描かれる風俗や、

人の悩み、は 令和の今と かわらず・・

 

 それでいて「渡辺淳一の特徴」である、

男と女が性愛の果てに、死をえらぶ・・

という

不変の形たい(態)

が とられていて

「さすが渡辺淳一。大作家は、初期から型を持っている

と、

かつもく(刮目)を 禁じえない・作品です

(※代表的な渡辺作品では、たいてい、恋人たちのどちらか一方、もしくは両方が死にます 渡辺さんは、とにかく一人殺します

 さて、『阿寒に果つ』・・

やはり

この物語でも、

ヒロインの女子高生が 自殺するシーンから 

始まるのですが

 雪のあかんこはん(阿寒湖畔)

で死んだ・美少女をめぐる、「男たちの未練話」・・

 

それが、

一言であらわすところの、この作品のストーリーです。

 



すっごく・おもしろくて、

作家のうでが あまりにも見事なのに、

おどろきました

(ハッキリ言って、失楽園や愛ルケよりも、上です

 

<作品の要約>

 ヒロインは、自分大好きな

美少女

彼女は、その美ぼうで、

うぶな男子高校生を ホンロ~し、

妻子もちの画家を ホンロ~し、

プレイボーイな新聞記者を ホンロ~し、

分別ある中年医師を ホンロ~し、

エネルギッシュな共産党シンパを ホンロ~し、

 

全員に、

その体を与えた・あげく

その他もろもろの男たちから、ちやほやされるのを とくい(得意)になってい

つまりは、

ろくでなし女です。


 小説は・・、そんな彼女の

落ち着かない恋の相手にされた

一人が、

彼女の死後20年経って、

(あの娘がいちばん愛していたのは、俺だよね

と 

気になり、

他の男たちを たずねあるく、、

という・「回顧もの」

そして、

 たずねた全員が、「あの娘がいちばん愛していたのは俺

と 信じていた 

という、

救いがたい・男性心理を 描いた、お話です・・



 わたなべ(渡辺淳一)さんは、
生前、

「北海道作家・1ダンディー」で

女性の扱いが ものすごく上手い

と、

評判だった そうですが、

「女性の心理を見抜いて、それを描く」️

と いうよりは、

「男性の心理を照らして、それをくまなく描く

と いうほうに

力点を お(置)いている作家さんなんだな

ってことが、

このたび、わかりました。

「最終章」で、ガッカリな

サゲがあり、

ヒロインの美少女には、

さいごまで 

イライラさせられっぱなしでした

が・・

「最終章前」までは、カンペキ(完璧)だったので、、

おすすめ度:星4つ

 

 

しかし、

しん(親)友・チットは・・

 内容よりイライラしたのはね~。

 この本を 図書館で借りるのに、1ヶ月待たされたことよ

誰なのよ

うちの市で、いまどき、私以外に『阿寒に果つ』なんか・借りる人

 

ちがうポイントで 怒っていました

 



(次回、「雪の日に読む小説」は、佐々木丸美の『雪の断章』です 札幌を舞台とした、さわやかな恋物語です

 

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雪の日に読む小説・10(『残りの雪』立原正秋)

2021-01-25 | 本と雑誌

はかりしれない・女性の心理

を つづった

雪の小説に、

 立原正秋の『残りの雪』

と 

いうのがあるので、

今日は、それを とりあげます


 たちはらまさあき(立原正秋)
は、

女性に人気のあった、昭和の流行作家

ことに、

男と女の性(さが)を書かせりゃ、みんながうなった

手練れ

ですが、、


 内容が生々しすぎるから、クリンは読んじゃダメ
「あっ

と、

取り上げられてしまいました

 今回、ご紹介するのは、

ダブルフリン(不倫)小説、なのです

 



・・・・・

あらすじは、

しん(親)友・チットに 

きいてありますので

 

きょうみ(興味)のある方は、

小説のぶたい(舞台)となった「北鎌倉」の映ぞうとともに 、

以下を

お読みくださいませ


 主人公は、29さいの美人妻

ある日、突然 夫に蒸発されます。


夫は、
真面目で優しい・常識人でしたが、

一流大学卒→一流企業の社員→しかるべき良家の娘との結婚→一児の父

という、

親がしいたレールに乗りつづけている・自分に対して

破壊願望が つのってしまい

別の女に 走りました。

 胸のデカイ・浮気相手

昼間からもつれあう、トロトロの日々、、

しかし、結局は

(一時の気の迷いに過ぎなかったのかも、、)

と ばかりに

その後、

二人目、三人目・・と 女をつくります。

そんな、

ちがう世界に とんでいってしまった夫の

「流転の日々」が

小説の、まず一つ目のじく(軸)です。


そこに加えて

去られた側の妻の、

さびしい心が よろめいた「婚外恋愛

というのが、

物語の、二大じく(軸)と なっています


 妻の不倫相手は、44歳の

会社社長

二人は ズブズブの関係になり・・

互いに、

(この人なしでは生きていけないかも)と 

思いつめながらも、

結局は

じょうよく(情欲)にのみ、狂います。


 そして、さいごは、お定まりの、

しゅらば(修羅場)・・

 

つらく、

出口の見えないラストに つながっていくのですが・・

 

 

物語には、

北かまくら(鎌倉)の 

お寺や、竹林、花木の

しっとりとした・ふぜい(風情)が

要所・要所に 描かれるため

全体の「生臭さ」は 救われていました

 

しん(親)友・チットいわく、


立原正秋って、心の描きかたが 上手だね

語彙が豊富で、表現に倦むことがない。

すごいわ

ただ、、

『俺ほど、女の心とカラダのわかっている男はいない

っていう、

作者自身の押し出しの強さに 嫌悪感が走ってしまう・・

70年代の作品だから 仕方ないけど、

もろ・男尊女卑だしね。。

 清楚で貞淑な人妻が、

年上男の手で 花ひらいてゆく・・

その描写が 

ねちっこくて、

途中から、官能小説みたいに なっていくの

 

ベッドの中の二人の会話が・・

『女になったようだね』『こんなこと、はじめてです。・・私怖い』

だって

ヤダあ~

・・・・・」


と、

もてあましていました。。



あとがきの「解題」を 読んで、

「あれ

と、

なにやら フ(腑)におちた ようす。。


・・ねえ この作品、

昭和48年の、

日本経済新聞の連載小説📰だったらしい

どうりで、

愛ルケ(『愛の流刑地』渡辺淳一)に似てると思ったよ

 

登場人物が・・、男も女も気持ち悪い。

愛に対して、真剣じゃない。。」

と 

かってに きずつきながらも・・

しん(親)友・チットが

2日間で 450ページを、だだだ・・と 

読んでしまったのは、

 

70年代のビジネスマンたちを、朝から ヘンな気分にさせていた

「日経新聞のお家芸

に 

してやられたから なのでした。

 

 


おすすめ度:まあまあ

 

 

(次回の「雪の日に読む小説」は、その日経連載の情愛小説の本家、渡辺淳一の『阿寒に果つ』、いきます


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