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クリンの広場

たまっこくりんのおもいのたけ

雪の日に読む小説・9(『雪女』って何者か?考察)

2021-01-23 | 本と雑誌

日本で「雪の降る・昔話

と いえば

『雪女(ゆきおんな)』

が、超メジャー

 本日はラフカディオ=ハーン

(小泉八雲)

によって のこされた、

東京青梅の「雪女伝説」を お話しして、

こうさつ(考察)も します

(クリンは都民なので、東京の雪女を ひいきします

 

<まず、あらすじ>

 「 昔むかし・・、

茂作と巳之吉(みのきち)

という、2人の木こりが いました。

ある日、

吹雪で帰れなくなった二人は、近くの小屋で一夜をあかすことに なりました。

(さむい、、)

と 

巳之吉が、目を 覚ますと・・

 隣でねている・茂作に

白ずくめの女が 乗っかって

白い息を 

吹きかけているではありませんか

まもなく、凍死してしまった

茂作をみて

巳之吉は がく然とします

 そんな・巳之吉に向かって

女は、、

お前は、あの老人とちがって若く美しいから助けるけど、もし、今夜のことを他人に話したら、殺すからね


と 言って、去りました。


 命拾いした・巳之吉は、

翌年、

道で出会った美女・「お雪」と 結ばれ

子どもを10人も作り、

ラブラブに くらします


 お雪は、はたらき者の

良い嫁で、

肌は雪のように真っ白

おまけに

いつまでも・老いる気配がない女でした。(←うらやましい


 ある夜・・ 巳之吉は、

幸せな 気のゆるみから

うっかり、

あの日のできごとを

お雪に しゃべってしまいます

すると、お雪は

 その雪女は、私よ

誰かに話したら殺す、と言ったのに・・

子ども達に免じて、命は助けてあげるけど

私は 出ていく

 

と 叫んで

出て行ってしまいました。

 

白い霧となって・・

 

(END)

 ・・・なんという、さびしい話でしょうか。。


「話したら殺す」とまで・釘をさされたのに、ペラペラしゃべる男

一方、

男をかんし(監視)する目的で近づいたくせに、約束を破られたとたん、子ども10人を捨てていなくなる女

 まるで、か(噛)み合わない男女の

ひな型です・・。

ただ、

「各地の雪女伝説を 見てみると・・


 さびしい男の嫁になってあげたのに、むりやり

お風呂に入れられて、とけてしまった

かわいそうな雪女

も いたりして、、(※青森、山形、新潟)

雪女も、みんながみんな、「理不尽女・タイプ」では なさそうです

フォローしかけたところで

 しん(親)友・チットが、口を はさんできました


・・全体で見れば、圧倒的に理不尽だよ。雪女は

 

人間の精気を奪う(宮城、岩手)、

子供の生き肝を抜き取る(新潟)、

人間を食い殺す(秋田)、

呼びかけを無視すると谷底へ突き落とす(茨城、福島、福井)、

水くれというから水を差し出すとダメで、お茶を出すと助かる(岐阜)、

雪ん子を抱かせて、人間を雪に埋もれさせる(各地)

 

だって

・・・・・

どんな妄執の塊なんだろう、と思うわ

何なんだろうね 

雪女って。

若い男は助けるけど、年寄りは とっとと殺す

舅に婚家でいじめられて、追い出された嫁の幽霊とか

 

さっき検索してみたらね

ネット上では 

だれかが言った、

『雪女は、寂しい境遇の人のところに現れているから、そういう人にとっての、束の間の幸福を象徴するマボロシ

っていう

うまい説に、みんながのっかっている感じだったけど・・

 

私が思うに・・

雪女って、

ちょっと背が高い・設定なことが多いじゃない

東北地方だったら、日本海沿岸に流れ着いたロシア系の美女の、流浪の果ての姿

とも考えられるし、

もと蝦夷の女性が、一族を朝廷軍に殺された後ひっそりと山間の集落で生きていて、暮らしに困って旅人を襲っていた

とも、考えられる。

いずれにせよ、

安達ケ原の鬼婆といっしょで、ただの妖怪であるわけがないわよね・・

 

と、

歴史的かん(観)点で

こうさつ(考察)していました。

 

(チットはそういうことを、自分で考えるのが、大好きなんです

 

 クリンは、そうじゃなくて・・

ふぶきで 凍死しかけた・男の人たちが

死ぬ前に、

(どうせ死ぬなら、美女に殺される・・っていう形で死にたい。。というか、死ぬ前に、ものすごい美人に会いたい~~~~~

と 

ねがったら

脳からドーパミンとかが 出てきて

美しい女のマボロシを 見た

んじゃないかな~

 

なんて、

思うのですが・・

 

みなさまは、雪女って、何者だと 思われますか

 

 

おすすめ度:自分の地元の雪女伝説をひもとくと、おもしろい

 

 

(次回「雪の日に読む小説」は、立原正秋の小説『残りの雪』です。こちらも、かなしい男と女のお話です。やっと小説にもどります~

 
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雪の日に読む小説・8(『マッチ売りの少女』アンデルセン)

2021-01-22 | 本と雑誌

前回とりあげた

『かさこじぞう(笠地蔵)』の おじいさん

と 同じで、

大晦日に、物売りに 行かなければならなかった

まずしい人の お話

に・・

『マッチ売りの少女』が あります。

(※アンデルセン童話です



 19世紀のデンマーク人・アンデルセンは、

今も、

世界の人々を ナミダさせる

不朽の名作プロダクター


しん(親友)・チットも

大ファンなので

ここは一つ、

代表作を とりあげなければ・なりません

『マッチ売りの少女』のあらすじを、「
主演:クリン」

で 語らせていただきます。

(※マッチはないので、ライターで演じます🔥)


 とある街角に、マッチを売る、

小さな女の子がいました。

 

年の瀬で 寒く、

 お母さんから借りた、ブカブカの

木靴は ぬげちゃって、裸足・・

 早く帰りたいけど、「マッチを売り切るまで戻ってくんなよ

お父さんに 言われているので、帰れません。。


「マッチ、いりませんか~


でも、、

道ゆく人は

少女には目もくれず、足早に 家路につくばかり、、


 夜が更けたころ、少女は 凍える体を あたためたくて、
マッチを

1本・すってみました🔥

すると、、

 炎の明かりの中に🔥、いきなり、ストーブが

あらわれたのです


(あたたかい


ところが

火が消えるとともに、

ストーブも 消えてしまいました。

 2本目のマッチを すると、

七面鳥の丸焼きが あらわれて、少女大喜び

 

3本目のマッチからは、

キラキラの クリスマスツリーが あらわれました


 どれも・・、少女が ほしくてたまらないものばかり
でした、、

そして、

次にすったマッチからは🔥

なんと

天国のおばあちゃんが あらわれました


少女が

大好きだった おばあちゃんです

「炎が消えたら、おばあちゃんも消えちゃう

あせった少女は

持っていたマッチ全部に 

火を付けました。

🔥🔥🔥🔥🔥

 その・・、大きく暖かい光の中で、おばあちゃんに

抱きしめられた少女は

そのまま、

空高く、天にのぼっていきました



(おしまい)



ちょっと、、待ってよ『おしまい』じゃ

ないでしょ~

その翌日の話が まだあるじゃない

『次の日の朝、うっすらとつもる雪の中で、少女はマッチの燃えかすを抱いて死んでいました。幸せなほほえみをうかべながら、、』


ここが、泣かせどころでしょ

どうせ やるなら、

そこまで演じてよ(※親友チット)



 「・・・は やだよ。外、さむいもん 

もう、おしまい

 

打ち切りましたが・・

 

おすすめ度:いっぱい

(アンデルセン童話には『雪の女王』もありますが、

日本には、雪女というすごい女がいますので、次回は『雪女』を 取り上げます

「雪女」って、何者なのかを、考察します

 

そのあと、ふたたび、「雪の小説」にもどります~

 
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雪の日に読む小説・7(『笠地蔵』昔話)

2021-01-20 | 本と雑誌

東野圭吾の雪のサスペンス

には、

「笠原温子」という登場人物が 出てきました

その名前を、

じーっと 見ていたクリンは

あの、物語を 思い出しました


 かさこじぞう(かんじ:笠地蔵)です。

 

(ステキな民話ですよ 小説じゃないけど、いいですよね


では

あらすじ行かせていただきます


「・・昔あるところに、

貧乏な、

おじいさんとおばあさんが いました。

正月に食べる餅すら買えない・二人は、

 一生懸命菅笠(すげがさ)を あんで、

大晦日の町に

売りに 行きました

売れません

 トボトボ・・と 家路につく道すがら、

おじいさんは

村外れの六地蔵さんが、

雪に、埋もれているのを 発見します。

 

「なんと気の毒な、、」

と、

雪を払って

出来立ての菅笠を

お地蔵さんに かぶせた おじいさん

 菅笠は5つしかなかったので、

足りない一つは 自分のをぬいで、

かぶせました


 家に帰った・おじいさんは、そのてんまつを

おばあさんに 話し、

いつも通り、二人は仲良く

粟がゆを食べて、床につきました

 

すると、、、


 夜も 更けたころ・・

遠くから、

にぎやかな歌い声が 聞こえてきました

その声は、家の前で ピタリと止まると


「良いとし、むかえろよう

呼びかけてきたのです

 おどろいて 戸を 開けてみると、、

そこには

お餅や米俵、銭が たくさんおかれていて

少し遠くに

六地蔵さんたちが 

帰っていくのが 見えました



とさ


 クリンたち、昔から

このお話が 大好きで

幼ごころにも、

冷たいはずの雪に ほっこりとした・あたたかさ

を 

かんじていました

それは やはり・・


 この、おじぞう(地蔵)さんが

たたえる、

笑顔の あたたかみ


 「おじぞうさま、、

さむかろう。

クリンの笠を、おかぶりなせえ

 

(ファサッ)

 

 お返し・きたい(期待)

 

そこに、

しん(親)友・チット

が 

キョロキョロしながら、あらわれました


・・ねえ 私のUSB、見なかった

さっきから 探しているんだけど、

見当たらなくて・・

 

「みてないと思うけど。どんなの?」

 

 お地蔵さんのストラップが、ついてるやつ


 「あ、あれねこの下。」なんで、こんなところに隠しているのよ

 

 

おすすめ度:いっぱい

 



(次回は、『マッチ売りの少女』です これも「小説」ではないけど・・いいですよね大好きなんです「雪の日に読む小説」は、まだまだこの後、ちゃんとしたやつが10冊以上は、ご紹介できますので~

 
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雪の日に読む小説・6(『ある閉ざされた雪の山荘で』東野圭吾)

2021-01-19 | 本と雑誌

「雪の日に読む小説特集・第6弾

は、

もうひとつ

ふく(複)数人が、一ヶ所に とじこめられる

ミステリーを ご紹介します。


それは・・

ある閉ざされた雪の山荘で』。(東野圭吾)



 アガサ=クリスティばりに

あるあるな設定で 描かれる

殺人事件は、

「娯楽なサスペンスとして楽しめるはず。」


そう、期待しました

 さて・・、タイトルは

「雪の山荘で」と なっていますが、

じっさいのところ

雪はふっていません


 近くには バス停もあり、電話もつながる

いつでも・SOSできる

閉ざされていない空間(ペンション)

この「山荘」です。


 そこには、8人の男女が 集められるのですが
・・

 

この人たちは

今度いっしょに お芝居に出る仲間

で、

「演出家の先生」の 指示に従い、

けいこ(稽古)合宿に 来ています


 8人は、「山荘で雪の日に殺人事件が起きるという芝居の、

登場人物になったつもりで行動しろ。」

と 

命じられ

 「演出家の先生」のきたい(期待)に

こたえようと

自分なりの役作りに はげみます

 

が、

そのうち・・

一人、二人、、と

仲間のだれかが、ペンションから 姿を 消していき。。


(・・あれ これ、もしかして、本当に殺されてるんじゃないの

おびえはじめる

そんなお話。

 

<感想>

 

ネタばらしで

「三重構造の犯罪」を うたっているわりには

ありきたりな 筋立てで、

 (えまさか、これで終わる気

と、

ひがしの(東野圭吾)さんにしては

うすっぺらいのに びっくりしますが・・

しらべてみると、

この作品が

世に出された時期、

(まだ大ブレーク前ですが)やはり東野さんは

いくつかの作品を 同時並行で 手がけていて、、

 

(忙しくても、このレベルの小説を

どしどし「量産」できるからこそ

流行作家の地位を きずけるんだよな

なんて、

かんしんしました

 

だって・・

作品は、とてもかろやかに 書かれていて、

東野さんがしんぎん(呻吟)したようすが 

見られないんです

 

 王道の古典的ミステリーを書くのに、いちいち疲れてなんかいられない。」

という、

作家の小手先すら・かんじる

読んでいても

つかれない・雪のサスペンスでした。


 

(エッセイで、ご本人、

"高校生のころまで、江戸川乱歩を知らなかった”

と、

おっしゃっているそうですが、

そういう人が、こういう作品を 書くようになるなんて、おもしろいですね

 

 

おすすめ度:(ほかの東野作品にくらべると・・)すこし・・

 

 

次回は『かさこじぞう(笠地蔵)』です。「雪の日に読む小説」ではなくて、昔話ですが・・ 大好きなので、入れちゃいますね

 
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雪の日に読む小説・5(『冷たい校舎の時は止まる』辻村深月)

2021-01-17 | 本と雑誌

「しょくざい(贖罪)=罪の償い

テーマにした・小説を

もう一つ

 つじむらみづき(かんじ:辻村深月)

『冷たい校舎の時は止まる』

ご紹介させていただきます

 

(そんなに重くないです「学園ミステリー」ですので



 <裏書きより~>


「雪降るある日、いつも通りに登校したはずの学校に閉じ込められた8人の高校生。開かない扉、無人の教室、5時53分で止まった時計。凍りつく校舎の中、2ヵ月前の学園祭の最中に死んだ同級生のことを思い出す。でもその顔と名前がわからない。どうして忘れてしまったんだろう――第31回メフィスト賞受賞作」



 8人に 何がおきるんだろう

自殺した同級生との 関連は

大雪の日に、無人の学校に 閉じ込められる

こわい

 

と、

ゾクゾクしつつ、

でも ちょっと、

『金田一少年の事件簿』みたいな

エンタメ性に ワクワクしてしまう(そして期待を裏切られない

 ひまな読者の「こたつみかん🍊」のために

あつらえられたような

「狙った感・満載」の、SF心理サスペンス

です。

 ネタバレしては 何もならないお話なので、、

ちょっとしか

内容は 教えませんが・・


8人の生徒が

校内で、一人一人追いつめられていく、、


そして、

 上下二巻におよぶ・長へん(編)の中に、

8人・それぞれが抱える

じじょう(事情)が 

仕込まれる、、


読み手は

登場人物に くわしくなっていくので、

「感情移入の増大」とともに

ますます 怖くなる、、

 

 一体、さいごに待ちうけているものは、何!?

 

(と、いうような。)

 


 クリンたち・・、もう大人なので

あまり、

10代の学園ドラマに、

関心は ありません。。


けれど

あきもせず、

うんざりも しなかったのは、

作者の辻村さんの ペンさばきが

卓抜だからです


 とくに 一人ひとりの心理描写には、すさまじく

入り込んでいて、、

(辻村さんご自身が、ツラい経験でもしてきたんじゃないだろうか

と、

作者の せんさい(繊細)さを

気の毒に 

思ってしまうほど、、


(※ちなみに、彼女が描く登場人物は、みんな眉目秀麗です

でもって

担任の先生は片耳ピアスの、茶髪&ホストスーツ男だったりします。・・・進学校なのに

ラノベが苦手な方は、そういうの、鼻につくと思いますので、

読まないほうが よろしいかと、、)



 それと、「女子の世界」は胃がキリキリするような

いんしつ(陰湿)な「教室風景」

かれますので、

学校で ツライ・けいけん(経験)を された方も、

読めば、不快になるだけでしょう

 

 

そういうマイナスを さっぴいて、、

おすすめ度:けっこう


 ねえ、ちょっと、、

さっきから、何で

私の手のアップ、撮っているのよ(親友・チット)

 

「あ~、これはね

 小説の中に、リストカットする女子高生が、何人か

出てくるから、その「参考画像」に しようと思って

 

大そうじの時、

チット、引っかきキズ 作ってたから、

 ちょうどいいか、と思って

 

 ひどい 利用しないで(チット)

 

 

 

(次回、「雪の日に読む小説」は、東野圭吾『ある晴れた雪の山荘で』を 取り上げます

 

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雪の日に読む小説・4(『雪の鉄樹』遠田潤子) 

2021-01-16 | 本と雑誌

冷たい雪の重みに、じっと耐えているのは

女ばかりではない

男も、耐えている

いや

男の耐えかたのほうが、キツイ

 

突きつけてくる小説が あります

『雪の鉄樹』(遠田潤子)です


「鉄樹(てつじゅ)」というのは

ソテツのことで、

主人公は

ズドーンと そびえ立つ・ソテツのように

動かしがたい、

ガンコイッテツ(頑固一徹)な にわし(庭師)


 とある事件の「加害者の関係者」

なのですが、

「被害者の遺族」に

つくして
つくして
つくして

むげにされる

あわれな 男です・・

 この庭師 自らがつみを

犯したわけでは ないのです

「被害者遺族」の 生活の面どう(倒)まで 見ています

 

(・・・それって、なんで

と、

りかい(理解)できない・読者を

タネ明かしに向かって、ひた走らせる

そんな 小説です。



 テーマが「贖罪」のため、

内容は

だいぶ・重いのですが

作家さんが 引っぱり上手なので

ラク~に 読んでしまえる



 作者(の遠田さん)は、

実に

「米粒に、般若心経を書くくらいの

細かさで 

心の動きを したためています


 だからこそ 読者も、つい

根気よく、

主人公が そうぐう(遭遇)する理不尽な事件

や、

自ら招いている・くつじょく(屈辱)

いっしょになって 耐えてしまうのです。。



 みなさま、、主人公が「庭師」と

きいて、

おじいちゃんを イメージしていませんか


どうしてどうして、、

まだ、30そこそこの

青年です


 
そんな人が、ハタチ(二十歳)からの 

十数年間

青春全部を

つみ(罪)のつぐないに ささげ

息苦しい・毎日を

生きてきたのには、

どういう「原罪」が あるのか


 追及していくと、、そこに「彼の家族の物語

が 立ち上がります

(あらすじは、ここまで)


 みなさまも・・ 学校や会社などで これまでに

一人くらいは、

周囲と交わらない人

みんなから はみ出してる人

出会って来ていると 思いますが・・

 

そんな、

周囲から ごかい(誤解)され

後ろ指を さされがちな人が


実は 実生活において、

とてつもなく苦しいものに がんじがらめにされている


・・・

そういう 可能性に、

気づかせてくれる、本でした。


 ※かんよう(寛容)な方は もちろん

生きるのに失敗している人に

対して、

「不寛容」な方に、

ぜひ、オススメしたい本です🐻


 この主人公、本当にがんこ(頑固)で、、

Aの道を行くべきところを

Bに行くタイプだから、

かなり・イライラさせられるんですけども、、


そういうのに ガマンして

つきあってあげる

のも、

いいと思うんですよね、たまには!

 

 

オススメ度:なかなか

 

 

(次回、「雪の日に読む小説」は、辻村深月の『冷たい校舎の時は止まる』です こわい本ですよ

 

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雪の日に読む小説・3(『蔵』宮尾登美子)

2021-01-14 | 本と雑誌

「雪の日に読む小説特集」

3冊目は、

 にいがた(新潟)県から・もう1つ

みやおとみこ(宮尾登美子)の『蔵』を、取り上げます



 明治・大正・昭和を生きた、はかなくも 力強い

女たち

その生きざまを 記しつづけた

宮尾作品は、

 多くの女性ファンに、支持され

クリンたちのような、

「宮尾作品主人公の、和菓子見立て」を

する・ファンさえ

生み出しました


 そんな、カリスマ女流作家

作品で、

トップ3に入る人気をほこるであろう

小説『蔵』。

 

それは、

 にいがた(新潟)県の くらもと(蔵元=酒造業者)の家に

くらす女たちの

生きざま

を、

雪げしき(景色)に散らした 名作です。


 主人公は、くらもと(蔵元)の

あととり(跡取り)娘、烈(れつ)

 

目をわずらい、

やがて失明しますが

小説は、

彼女の単なる苦労話では おわりません


 娘を心配しすぎるがあまり、

仕事で大きなミスをおかしてしまう、父・章造(しょうぞう)

に はじまり、

 その章造に 嫁いで来て、

子どもを8人も(早流・死産・夭折で)亡くした、美人妻かほ(賀穂)

を 描き、

そのかほをかわいがり、孫・烈のため、巡礼に出て、たおれた姑・むら

を 描き、

「かほの死後は後妻に」と周りから認められていたのに、章造に再婚してもらえなかった、かほの妹・さほ(佐穂)

を 描き、

章造の後妻に入り、針のむしろのじごく(地獄)を味わう、もと芸妓・せき

を 描いた、


 つまりは、生のかなしみを 描いた、長編です



 1つの家族ながら、さまざまな立場の女

を 描き分けているため、


 読者は・・、自分にいちばん近い女に よりそい(寄り添い)、

彼女たちに

かぶさってくる、

雪のような・運命の重み

ともに かんじながら、読んでいきます。。

 うちのチットは、この中で、烈の叔母・さほが

いちばん好きだ、と言います。



 「器量十人並み」だけど、

けんしん(献身)的に

姪の烈を 支え

でも、心寄せる・章造の後妻に なれず

17歳のもと芸妓に 後妻の座をうばわれる

その

さびしさ・・


 しかし その後・・

「蔵」が ダメになりかけ

章造が 病気になるや

かけつけて、世話をする

その やさしさ

 

そこに

女性としての 本しつ(質)を、かんじる

と 

いうのです

 

(※すっごい蛇足なのですが、うちのチットは「さほ(佐穂)タイプ」ではありません←そんなこと言わなくてもいいことなんですけど、「これじゃ、私が佐穂と一緒で器量十人並だと思われるじゃない何とかしてよ」と、うるさいので・・

 

そんなチットですが・・

 雪国の女って、けなげだよね 
美しさの中に、

生命力を感じる。

それに、、

 この本を 読んでいると、

とっても 日本酒が飲みたくなるの

蔵人によるお酒づくりのシーン

たくさん出てくるからだね

 

と、

よろこんでいました

 

 久しぶりに味わった・日本酒は、作品のおかげで

とても美味しかった みたいです

 

 


おすすめ度:そうとう(相当)

 

 

(次回、「雪の日に読む小説」は、遠田潤子の『雪の鉄樹』を ご紹介します

 

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雪の日に読む小説・2(『北越雪譜』鈴木牧之)

2021-01-13 | 本と雑誌

かわばたやすなり(川端康成)の

小説『雪国』には、

にいがた(越後湯沢)の温泉地

が 

描かれていましたが・・

 

そのなかで、主人公が

えちごちぢみ(越後縮)の産地である村を 訪れるシーン

が あります。 

 


「 雪のなかで糸をつくり、雪のなかで織り、雪の水に洗い、
雪の上に晒す。

績み始めてから織り終るまで、すべては雪のなかであった

昔の人も本に書いている。 」

 

そう、『雪国』の中に

出てくるのですが・・

 

ここで記されている昔の本

というのが、

今日、ご紹介する、

『北越雪譜(ほくえつせっぷ)』です

 



書いたのは、

鈴木ぼくし(牧之)という、越後縮」の 仲買人(※織物商ですね

 

内容は

雪国のよろず百科事典で、

江戸時代後期、

数百万部をほこった、大ベストセラーでした



 べちゃ雪しか知らない・都会の人に、

「本場の雪は、結晶の形で落ちてくるんだよ

とか、

「雪国には、こんな行事があるんだよ

など、

 ご当地のくらしや、雪にまつわる・エトセトラ

イラスト付きで紹介した、分かりやすい本です


 これを手に取った・読者のほうは、あたかも

「異国のおとぎ話

でも きいているような

白いロマンをかんじ

うっとりしていた

らしいのですが・・

 

作者は 

というと・・

おめらの想像はるかに超えるほど大変なんだこっちの暮らしは

ずっぷり・わからせたかった

らしく、

 雪国ならではの事故や、災害についても、

かなり・細かく 記しています。


 今のように、「地方の事情に
関する共通認識

が 

なかった時代、

これは

たいへんに いみ(意味)のある

出版であり、

北国との取引のある商人には、さぞ役に立ったであろう

と 

さっせられます

鈴木牧之が

そのような本を 書いたのは、

・彼に学問があったからだ。

とか

・江戸の文化人とつながりがあったからだ。

とか、

・牧之の郷土振興を考える立場のためだ。

とか、

色々言われていますし、その全部であろうと 思います


 それに加え
絶対に

忘れてはいけないのは、書かれた時代の背景だよね

しん(親)友・チット

は、

言っています。

 

 

いわく

 この本が 刊行された

1837年は、

大きな・ききん(天保の飢饉)が 発生していた年

 

がし(餓死)者とかが

いっぱい出ていた、

この世のじごく(地獄)・まっただ中の時です・・

 

それ以前に おきた

「天明の飢饉」から、

やっとの思いで 立ち直った

東北信えつ(越)にとっては、

つまり

ものすご~~~~く・きびしい、「悪夢の再来」のじき(時期)だった

わけです。。


 だからこそ「越後財界の一角を担う商人

として、

牧之は、

こうそう(構想)から・30年

数々の困なん(難)を のりこえてでも

ついに 

江戸での出版に こぎつけたのでしょう

 

彼は、つまり・・

「雪国を 滅びさせねぇぞ~ もっと、俺ったに注目してくれ~~」

という、

切なるねがい(願い)を 込めたはずです


 ぼくし(牧之)は、学問や
江戸文化人との交流

には お金を使ったけど

それ以外は

つつましく・くらし

手がたく商売に はげんでいた人だった

と 

伝わっています

 

 

『北越雪譜』は、

「越後の偉人」が 郷土のために 世に出した

雪をもとかす

じょうねつ(情熱)の本だった!

と、

今一度、きょうちょう(強調)させて、いただきます

 

(みそ汁も いただきます

 

 

 

 

(※すいません 写真のお味噌(日本海)は富山のメーカーのなんですけど、新潟のイメージ映像が足りなかったので使いました~。隣りの県だからいいですよね

 

 

おすすめ度:歴史や古典に関心のある方に。

 

 


(次回の「雪の日に読む小説」は、宮尾登美子の『蔵』を 取り上げます

 

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雪の日に読む小説・1(『雪国』川端康成)

2021-01-11 | 本と雑誌

「雪の日に読む小説特集

と きいて

多くの人が

まず、まっ先に 思い浮かべるのは


  かわばたやすなり(川端康成)の

『雪国』では ないでしょうか?

 

 「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。」

この

有名な出だしで はじまる

中へん(篇)は、

ノーベル文学賞作家による「近代文学の金字塔」

 

ですが

ちゃんと読んだことがあるか というと、

あったっけ

って かんじなので、

 

  このさい、しっかり

読んでみることにしました


『雪国』のぶたい(舞台)は、にいがた

(新潟県の、越後湯沢)

主人公は、

島村という 30代後半の男で、

親ゆずりの財産で シュミに生きる「高等遊民」

です。

 

東京に住んでいて

妻子もいますが、

たまに

ひとりで 旅に出て、リフレッシュしないと 

生きていけない、

むずかしいタイプ・・


 たまたま「越後湯沢」の

温泉で、

芸者「駒子」を 見初め

関係を もちます。



 しかしながら、、

「魂の洗濯」を しに来てるだけの 

島村は、

こまこ(駒子)の人生に

深入りする気は ありません。。

さりとて

はくじょう(薄情)者に 思われるのも 

イヤなので

自分の良心が いたまない・程度に

関わっていきます。


 一方、こまこ(駒子)

は、

こんな・山里に住むことが あわれなほど、

キレイで

冴えがあり

島村の、「上越ユートピア」の 体現者です

 

 

物語は、

二人が 出会ってから・別れるまでの

数年間を 描いています。

 

 読者は その間、こまこ

(駒子)の身の上を知り

「島村と駒子は、生きる世界が違いすぎるな・・」

と、

二人が そのうち

別れるのを、

予かん(感)したりします



って 書くと

いかにも「駒子」は 無学な温泉芸者で、

二人の間には

細やかな、心の引き合いとか

しょうとつ(衝突)とか

何もないのかな

って 

かるく見がちですが、そんなことは ありません



 「孤独な文豪・川端康成」の ペンは・・

 

ユートピアを もりたてなければならなかった・女のかなしみ

と、

せきにん(責任)をもって 女を愛しえ(得)ない・男のくうきょ(空虚)さ

わりと、リアルに 描くのでした。

 



 ほとんどの 読者は、この主人公・島村を

「川端康成」という、

ふくざつ(複雑)なインテリ

そのもののように かんじるでしょう

 

しかし

かわばた(川端)自身は あとがきで、

「島村は無論私ではない。私は意識して島村をなるべく自分と離して書いた。」

と、

なんか知らんけど、力説しています・・


、、、

(・・わざわざそう言うって、

かえって、自分が投えい(影)されてます、

白状しているように 思えますけど


 

そこが

ちょっと しゃくぜん(釈然)と しませんが・・

 

さすがに

文章のほうは

じょじょう(叙情)的で・・

 

どこを 切り取っても、

国語の美しさを、存分に 味わえるのでした。

 

 

「ほどよく疲れたところで、くるっと振り向きざま浴衣の尻からげして、一散に駆け下りてくると、

足もとから黄蝶が二羽飛び立った。

蝶はもつれ合いながら、やがて国境の山より高く、黄色が白くなってゆくにつれて、遥かだった。

・・・」




おすすめ度:かなり

 



(次回、「雪の日に読む小説特集」は、鈴木牧之の『北越雪譜』を ご紹介します

 

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『流浪の月』凪良ゆう(感想)

2020-12-18 | 本と雑誌

人を、

「上辺の印象や世間の評価だけで判断し、分かったように断じてはならない

 

それは・・

インターネットが 発たつ(達)した

社会に おいてこそ

肝に命じておくべき 大切なことですが・・

 

クリンも

ついつい・SNSで

気軽に 発信して、

だれかを きず(傷)つけて いるかもしれない、、



そんな・気づきを 与えてくれた本が ありました。

 なぎらゆう(かんじ:凪良ゆう)

の、

『流浪の月』です

 

 

BL(ボーイズラブ)作家として

キャリアを つんできた

女性による 小説ですが、

 内容はBL(男の子と男の娘

ではなく、

主人公は

青年と、小さい女の子・・



彼らの、

あい(愛)ときずな(絆)を

描いた

「設定が繊細さん向けなのに、幅広い共感をよぶ」

作品です

 ストーリーを ちょっと

ご紹介すると、、



主人公の更紗ちゃん(8さい)は、親にすてられた女の子。

公園で、19歳の大学生・文くんに

声をかけられ、

お家に ついていってしまいます。

 

ここまで書くと、

キケンな てんかい(展開) 

予想されますが、

そんなことには ぜんぜんならず・・

 

 さらさ(更紗)ちゃんは、文くんの家で しんせつ(親切)に

されただけで、

とっても幸せ でしたし

 文くんも・・、エリート一家のはみ出し者である

自分を

忘れられて

平安を かんじ、、

二人は、ウィンウィン(win-win)なのでした



 でも・・・、
世間は そんなふうには思わず、

「陰キャの変態大学生が、いたいけな少女を監禁した

決めつけ

二人は

ゆうかい(誘拐)事件の「被害者と加害者」

に 

されてしまいます

ニュースでも 

大きく 取り上げられたため

 

被害者・さらさちゃんは、いつまでも「傷ものにされた女の子」

加害者・文くんは、「前科者の要注意人物」

として、

語りつ(継)がれます。。



 そう・・、
それは忘れられる権利」

を そう(喪)失した

ネット社会における、

「消えない烙印となって、二人を 苦しめつづけるのでした、、

 10年たっても、かこ(過去)

を むし返され、

つらく、かなしい思いをする

二人を 通して、

現代社会の大もんだい(問題)を クローズアップした

この小説は、

今年、「本屋大賞」を 

受しょう(賞)し、

 

読者に、切実な何かを わからせました。。

けだし

 

「世の中に広がっている事実、

というのは

真実と、イコールじゃないんだよ!」

 

という・・

当たり前だけど

みんなが わかっていないこと


伝えたのです

 さらさ(更紗)ちゃんと 文くんも・・、

しつこく

「誤解」の ラベリングをしてくる

世間の おそろしさに、

人として

死にかけるのですが・・・

 

 「結局のところ、最後は自分たち・・、お互いを 

必要としているよね


心が かんじ

いっしょにいることを せんたく(選択)するのでした

 



 クリンたち・読者は・・、
この二人が あまりに

かわいそうなので、

とちゅうから

応えん(援)しながら 読むことになります。

 (だれからも、わかってもらえないのは

たしかに ツライ

でも、

世間なんて、さいしゅう(最終)的には かんけいないよ

向こうだって

関係してほしいことには して来てくれないし

そんな「世間の祝福」なんて、いる

 

自分たちのこと、「破れ鍋に綴じ蓋」なんて

ひげ(卑下)する ひつよう(必要)も

一切ないっ

 

・・・まあ、

さらさちゃんみたいな・トラブルメーカーじゃなくて、

文くんには もっと良い人いるんじゃないか?

って

気もするけどね・・)

 

みたいな かんじで。。

 クリンと同じく「お花畑思考の持ち主である

しん(親)友・チット

も、

・・・
二人が同じくらい引きあっているのであれば・・

何はともあれ、

一緒に いてほしいと思う。。

お互いの存在を

『切実に必要』って言ってるよね?

 

離れちゃいけないと思う。」

 

 と、はげましていました

 この下に、クリンたちが 共かん(感)した、

さらさちゃん(大人になってからの主人公)

の 言葉を

貼って おきますので・・

 

このセリフに共かん(感)した方は、本を、読んでみてください

 

「究極の話、

◯◯とわたしが

しっかりつながっているのなら、わたしはきっと地の果てだってついていくだろう。

そこがなにも育たない不毛の地でも、わたしは黙々と耕すだろう。」


 

クリンだって、

 

 あいする人と いっしょなら、

不毛の地にも

かだん(花壇)を作る

自信が あります

 

 

 

 

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村上春樹『一人称単数』感想(考察)

2020-11-01 | 本と雑誌

『猫を棄てる』

と 同じように、

 

作家・村上はるき(春樹)が 自分のことを書いたエッセイ

今年、発売されています

 

『一人称単数(いちにんしょうたんすう)』

です



タイトル(表題作)を ふくめて、

8へん(編)からなる

エッセイは、

 村上さんが、「自分の人生史において重要だ

と 

見なしている、

好きだった・女の子のことや

好きな音楽の話

好きなヤクルトスワローズの話

忘れられない・体けん(験)etc・・

 

が つづられた、

時々、

途中から「小説仕立て」になる

エピソード集で、

 

 なんとなく・・

(村上さん自身が、自分のために書き残しておきたかった「備忘録」なのかな?)

 

なんて、

思ったりも しました

 

さて・・

この本の価値

それは、2つあるのですが、



1つは・・

真偽のほどは置いといて、珍しく村上春樹が自分の秘密っぽいことを語っている。」

という点


ファンなら 

こうふん(興奮)してしまうし

 

(春樹も晩年に入って、いささか自分を語りたくなったのかな・・?)

との、

「ある種の感慨」に 打たれます。。

 2つ目、こちらがより

重みのある価値

と いえるのですが、、

 

これについては、

作中の、村上さんの言葉を 引用させていただきます。



「それらは僕の人生の中で起こった、一対のささやかな出来事に過ぎない。今となってみれば、ちょっとした寄り道のようなエピソードだ。・・・

しかしそれらの記憶はあるとき、おそらくは遠く長い通路を抜けて、僕のもとを訪れる。そして僕の心を

不思議なほどの強さで揺さぶることになる。

・・秋の終わりの夜の風のように」



 人はみな
・・、忘れがたい

思い出や

印しょう(象)を 心に ひめていて

 

だれしも、

その記おく(憶)のかけらを

長い年月、

はんすう(反芻)しながら すごすもの・・


このエッセイにも、

そんな

「春樹の記憶」が ちりばめられています。

 そのかけらは・・

読む人の「記憶のかけら

チラチラ重なる・しゅんかん(瞬間)

があり

 

読者は そこで

「自分の思い出」を 探り当て

 

しばらく・・

宙を 見つめたりしてしまう・・



 そんな、
「記憶の掘り起こしスイッチのごとき役割をもつ本」



これが、本書の2つ目の価値

だって、

クリンは 思いました。



(そう思ったのは、、

この本の中の

自殺した彼女の話」

「詐欺事件を引き起こした女の話」読んだ 

親友チットが、

ちょっとナミダぐんでいたのを見て、気づいたことなのですが・・)

 

 

上記2つの エピソードからしても、

決して

おだやかなだけでない内容が

ふくまれており、

 

軽く手にとったのに、

いがい(意外)に ズキッとくる本

 

それが

『一人称単数』なのでした。

 とはいえ・・ 語られている内容の、

どこまでが しんじつ(真実)で

どこからが フィクションか

 

それは 

見分けられません・・・

(えっ?こんな危ない出来事が あったの

という

きょうがく(驚愕)の話も 収められていて、、


 (もしかしたら、小さい真実をちりばめた、

大きな作り話なのかも・・

 

と・・

 

さいごは

いつも通り、 

けむ(煙)に まかれて おわりました・・

 

 

 

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『猫を棄てる』村上春樹のファミリーヒストリー・感想

2020-10-30 | 本と雑誌

「ファミリーヒストリー

で 思い出しましたが、


先日、

村上春樹版ファミリー・ヒストリー」

を 読みました。

 

『猫を棄てる』(っていう本です)



作家の

村上はるきの お父さん

数年前に お亡りになったそうですが、

 そのお父さんと、現在96さいのお母さんが

いかに出会い

村上春樹が 生まれるに至ったか

息子はるきが記した、

家族の歴史です。



 ご本人いわく・・


‟家族のことをかいてみたいという気があったけど、どこから書いていいかわからなくて、
昔、父と猫を棄てに行った時のことから書いたら思いの外すらすら書けた″


とのことで、


「棄てられた猫ちゃん」は いんゆ(隠喩)となっています

 

(※猫好きにケンカを売ってるのかと思いきや、ネコちゃんはその後も村上家で飼われてました!ご安心を

 


読んだ感想としては ・・


日経新聞の名物コーナーである

「私の履歴書」

に 近い語り口。



つまり、

淡々としてます



しかも、

息子ハルキによる・聞き書きだから、

あやふやなところも あります。



 でも、そこは、「職業作家」

父が 

日中戦争に じゅうぐん(従軍)させられていた

若いころに

しょう(焦)点を あて

 

かれつ(苛烈)な時代を 切り取って

あざやかに、

スパークさせています

 ・・今回、村上ファミリーのことで わかったのは、

父→激動のなか、専門的学業をあきらめて高校の国語教師になる

母→高校の国語教師



 つまり 村上さんの「言語能力の高さ」

生まれつきだった

と いうことと、


 お父さんと ハルキは、

長い間

そえん(疎遠)だった

と いうこと。。

 父のきたい(期待)にそわず、

父から はなれていた

ハルキは、


 自分は父と違って、感情とかを重視する人間だから~」

なんて、

い・ま・だに

ひねていますが、

 

 そう ご本人が語る、

「感情を重視する自分の気質

というのは、

戦争末期の1944年に、京大で俳句を詠んでいた父から受け継いだ気質

である。

と、

本人・・

ぜったい わかっているはず

 これは、「逆説的な強調」

クリンでも 気がつきました


また・・

「こういう個人的な文章がどれだけ一般読者の

関心を惹くものなのか、僕にはわからない。」


いつものちょうし(調子)で 

とぼけていますが、

 

 これだって反響は大きい)

かくしん(確信)をもった上での

「ハルキの常套句」であることは、

 

ファン全員に バレています



 どうせなら、「村上春樹のファミリーヒストリー」

NHKの 番組に任せて、

てってい(徹底)的に 掘り下げてもらってほしい

 

そう、

どんよく(貪欲)な 村上ファンは 

欲するのでした・・

 

 

(ってか、このさい、村上さんには 思い切り、「うちのお父さん知識人」ってなかんじで

具体的な長い話をして欲しかったのですが・・

何しろ、そういうのカッコ悪いと思ってる村上さんに、そんなこと要求するほうが まちがいで、

「村上春樹の父親エッセイ」は、

やはり、さりげなさをきちょう(基調)として オブラートにつつまれていたのでした~

 

 

次回、もうひとつ「村上春樹書評」を 書かせていただきます(つづく)

 

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『背高泡立草』古川真人・感想(芥川賞受賞理由を考える)

2020-10-29 | 本と雑誌

 公園に行ったら、「セイタカアワダチソウ

ワサワサしていました



セイタカアワダチソウ、、


 それは、秋の 花粉症げん(源)・ブタクサ

に よく似た、

うらぶれた ざっそう(雑草)・・



ふだんなら、

かえりみも されませんが、

今年・上半期は

あちこちで この名を 耳にしました



 今年・2020年「第162回芥川賞」

に かがやいたのが、

『背高泡立草』だったからです

 



 セイタカアワダチソウが

茂る、

ながさき(長崎)県の 小島・・


そこで語られる、

「地元民共有の、島の思い出話

 

それが本書の 内容です。

 主人公の目にたまたま

映った

島の風物を

とっかかりとして、


いくつかの昔話が 立ち上がる

という・・

 どこにでもある今と、誰かの昔が 行き来する

「章変小説」

で、

たぶん、

この中の「昔章」が

あくたがわしょう(芥川賞)を ゲットした部分だろう

 

と 

はんだん(判断)されています

 「昔章」には、

*戦前、満州へ渡ろうとした男の話や、

*戦後、朝鮮へ帰った男の話、

*蝦夷地から戻ってきた無口な男の話


さらに

*カヌーで平戸~福岡を移動した中学生の話

が 

入っています。



それらは、

 作者の古川(ふるかわまこと)さんが、「親戚の家で

きいてきた」

ような話であり、

タウン誌の 地元今昔らん(欄)にでも

のっているかのような、


ちょっと面白い、「地域のファミリーヒストリー」

です

 

とはいえ


地元民じゃないと

その面白さは、ちょっとビミョーで

 

いっぱん(長崎県外)の読者は

 文章における「文節」の 長ったらしさや、

ひっきりなしの方言に

つかれてしまう・・

 

「雰囲気は よく味わえるんだけど~・・」

という

内容以前に ハードルの高い小説

って

気がいたしました・・(小声)



 クリン、この作品が「芥川賞

を とれた理由を

考えてみたのですが・・

 

それは、

「平戸という、異国情緒があるけど

あまり知られていない

日本最西端の土地の、

うずもれがちな常民の歴史を、

若いのに 綴ってくれて、ありがとう


という、

作者への ごほうび(褒美)じゃないかな

と 思います。


 それと、なんといっても、

「セイタカアワダチソウ(背高泡立草)」

という、タイトル



お話しのさりげなさに リンクした

だれもが知る、

この秋草の

名前がもつ しんせん(新鮮)み


これに つきるでしょう。

 もし、タイトルが『ブタクサ』だったら、

こうほ(芥川賞候補)にも ならなかった

 

と 思います。

 

 

 

(勝手なことばかり言って申し訳ございませんでした・・🐻でも、不思議といつまでも「島の印象」がイメージとして残る、余韻のある作品でした。作家さんが上手いのか・・もしかしてそこが芥川賞をとった、ポイントだったのかな!?)

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来年の夏読書予定

2020-09-02 | 本と雑誌

 

 ほ~た~るの~ ひ~か~あり~  まど~の~ ゆ~ぅ~き~

 

 おぼん(盆)休みの 朝から

晩まで・・

 

ホタルが出てくる小説を 

読みまくり

 

だいぶ

心に

「蛍の光」を ためた

しん(親)友・チット

は、

 休み明けに、ふたたび・社会人に もどって

いきました

 

 そして、それとともに・・

 

クリンの みじかい夏も、

おわってしまった

かんじです。。

 

 「ミ~ンミンミンミンミン

ミンミンミ~ン・・

ジジジジ・・」

 

(セミ・ファイナル・・

 

 

 

(そうだ・・

 

 来年の夏は、「セミ(蝉)のなく小説特集」

でも

やろうかな

 

 

 

 

(今、決めました2021・夏につづく その前に「雪の日に読む小説特集」やりたいかも・・

冬につづく

 

 

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蛍が出てくる小説・13『螢』(麻耶雄嵩)

2020-09-01 | 本と雑誌

「蛍が出てくる・小説特集

 

さいごは、

カラッと いきたいので、

 

 まやゆたか(かんじ:

麻耶雄嵩)の

『螢』で 

しめさせていただきます



(※ひたすら、楽しむためだけの 小説です

 

 

 「肝試しサークルのメンバー

である

大学生グループが、

昔、6人惨殺事件が起こった 

『蛍館』で

肝試し合宿を行ったら、殺人事件が おきた・・

 


という ミ
ステリー小説は、

 

 奇妙な意匠の洋館

外界との連絡手段なし

何日も 閉じ込められる

 

、、、仲間の中に犯人が



という、


 アガサ・クリスティから

「名探偵コナン」

まで、

るいるい(累々)と 

しし(死屍)を つみあげてきた

伝統ある、

クローズド・サークル・ミステリー



 「型に はまりすぎているけど、それが心地いい・・

もっとはめて


と、


読者が 

すすんで はまりにいってしまう

夏に 

ぴったりの 小説です



 さて・・まや(麻耶雄嵩)

さん。

 

ペンが 走るまでの

さいしょ(最初)の 数十ページ

は、

ちょっと

表現が カクカクしていて

 

 (その言葉は、ふつう・使わないぞ

ツッコミたくなる・会話文や、

ムダに多い・体言止め

目に つきます・・


 たねあかし・シーンでも、

(はあっ そういうこと

 

って、、

うらぎられた気分に

ちょっと なります

 

でも・・・

 

 さすが、理系作家のプロットには 一目・おける

ものが あり

 

たのしく・冷やされたい「読書人さま」

 

には、

うってつけの 作品です

 

 

しん(親)友・チット 

も、

とちゅうで かわる・「語り手(狂言回し)」

に 

ふりまわされながらも・・

 

・・私、登場人物の名前が 全員出てきた

段階で、

犯人が誰か わかっちゃった~


長崎、

平戸、

佐世保、

大村、

諫早、

松浦

島原、


と、

 

犯人に名づけられた

これらの地名の

メジャーorマイナーを 考えれば、、


誰が犯人かは、推測つくわ さすが私

 


 

とくい(得意)に なっていました

 

 

 

 

<おすすめ度:まあまあ>

 

 

 

(次回、「ホタル小説の特集を終えて、、」のかんそうを つづります

 

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