ひよこ造船工房

納期遅れ常習犯の船大工。 猫画、オーディオ、たまに造船記♪ since 2008.11

ブリタニア製作記 vol.5

2008年10月20日 | 帆船模型

 艤装、マストや帆の製作です。

 

 ブリタニアはとてもシンプルな一本マスト船。 帆を支える主な木材は以下のとおり。

 

 ・ロワーマスト

 ・トップマスト

 ・バウ・スプリット

 ・スパンカーを支えるガフ、ブーム

 ・トップスルを展開させている二本のヤード

 

 

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 図面から寸法を取って製材します。 先細りの工程が意外に大変でした 今でこそ旋盤などを使っていますが、このときは主にデザインナイフとヤスリでせっせと削りました ノギスで寸法を確かめながら削ります…。

 

 

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 ブーム(左)と、マストに付ける金属製部品です。 一部金属部品の寸法が合わず、接合できなかったので、その部分を自作…。
しつこいですが、外国製キットにはよくあることなんです

 

 

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 とりあえずマストを立てたところ。 画面中央の黒い棒がマストで、この段階では未接着の状態。 マストの両脇にある金具が、マストを支持するためのステイの取り付け金具です。

 

 実は、これ以降は製作に没頭してしまい、写真を撮るのを忘れていました…。 以下、完成状態の写真を交えてリギングなどの解説になります。

 

 

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 船首、バウ・スプリットの様子。 現在所持のデジカメは接写に弱いので、ピンボケなのはご勘弁を…。 肝心の模型のほうですが、現代船らしく、金具を多用してすっきりした印象です。

 

 

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 船体中央、マストの根元。 左側が船首となります。 

 

 黒く太いロープがマストを支持するステイ(シュラウド)。その他のベージュのロープが主に帆や帆桁を”操作”するロープです。

 

 リギングを製作するとき、ロープ類は以下のように覚えます。

 

 ・ 黒いロープは、マストなどを固定するのに使う。 静索(スタンディング・リギング) 

 ・ 比較的明るい色(白はダメ)のロープは、帆や帆桁など、実船において動かすことが出来るロープに使う。 動索(ランニング・リギング)

 ・ 帆布の補強のためのロープも明るい色のものがいいでしょう。

 

 

Dsc00978

 

 マストのトップ付近。 見にくいですが、写真中央から左寄りにマスト、そこから大きく右上にのびているのがガフです。 スパンカー下端の帆桁、ブームを支持するロープもここから吊り下げられる形になっています。 (右舷側)

 

 

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 船尾です。 最後尾奥に見えるのが、スパンカーの動きを制限しているロープと滑車。 これがないと追い風の時にスパンカーが暴れてしまいます

 

 中央手前の滑車が付いている部分はバック・ステイ(静索)の一部なんですが、風や波の状況によって絞めたり緩めたりするために、ここだけ動索になっています。 上側のスパンカーから垂れているロープは、帆を半開にした時に帆をまとめる役割を持っています。

 

 

 

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 ・ ロワーマスト : マストが複数の段になっている場合、一番下段の部分のこと。

 ・ トップマスト : マストが複数の段になっている場合、一番上、またはそれに近い部分のこと。

 ・ バウスプリット : 船首から突き出たマスト。

 ・ ガフ : マストの後ろに付く台形の縦帆・スパンカーの、上端を支える帆桁のこと。

 ・ ブーム : スパンカーの下端を支持する帆桁。

 ・ ステイスル / ジブスル : マスト間に張られたステイ・ロープに付く、補助的な帆。 場所によって名称に差異があります。

 

 

 

■ リギング製作のワンポイント

 

 ロープを端を糸で括って接着する際には、木工用ボンドの使用をお勧めします。 強い接着力を持つものでくっつけてしまうと、模型を引っ掛けたり落としてしまった時などに、船体に衝撃が伝わり易くなり、大きな破損の原因になります。

 

 瞬間接着剤も白化したり折れやすくなったりしますのでお勧めしません。

 

 

 

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 これにてブリタニア製作記はおしまいです。 説明不足だった点は今後の製作記で紹介する予定であります 

 

 

 


ブリタニア製作記 vol.4

2008年10月17日 | 帆船模型

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 前回最後に紹介した写真、見にくかったのでもう一枚アップ。 これは、ヤスリがけをしたあと、強度を高めるためにクリアのラッカー塗料を染み込ませたところです。

 

 通常、現代船模型は、木目を消す”目止め”をしなければならないのですが、この船の場合はこの木目を生かす為、それをしていません。目止めの方法の一つとしては、プラ模型用の目止め剤”サーフェイサー”を目の荒い順に塗ってはヤスリをかけるという作業を繰り返す方法があります

 

 喫水より上部をブラック、下部を”艦底色”で塗装します。 エアブラシを使うと、綺麗で早く仕上げられます。

 

 その他、舵(ラダー)を木材で自作しました 付属の金属製の舵は、厚みが足らず、存在感がなかったからです…。

 

 

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 甲板上の構造物です。 形から推測するに、乗員が出入りするハッチ、換気・採光の天窓など。 これらはすべて、付属していた木材の土台の上にウォールナット材で”デコレーション”するようにして作ります。

 

 まだ荒削りですが、例のクリア塗料を塗って磨けば、結構さまになります 後に、裏側をダークブルーに塗った透明プラ板を窓ガラスとしてはめ込みます。

 

 

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 甲板下地材に構造物の形を写します。これは”構造物を甲板上ではなく下地板に接着する”ためです。 こうすると甲板上がどっしり落ち着いた雰囲気になります。

 

 

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 甲板表面材は、中央部から、構造物を配置する場所を避けて張っていきます。

 

 

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 少し張り進めました。 板の配置の仕方には何種類かあるのですが、参考資料が無かったので、最もよく目にする互い違いの張り方を採用。 板の長さも全体を見て見栄えのする長さにしました。(要するにテキトーです)

 

 板の間が黒いのは、防水材を再現したためです。 これは板の淵を鉛筆でなぞって付けたもの。 モデラーさんの中には、黒い紙を挟むなんて”神業”を駆使する方も居ます。

 

 

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 甲板を張り終え、船上の構造物も配置し終えたところです。 (公開するんなら、もうちょっと片付けておくんだった…)

 

 

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 甲板の縁も綺麗に処理することができました 

 

 ちなみに、画面中央に写っているのは”ウィンドラス”。 碇の巻き上げに使うものです。 そのほか構造物も、実船においてもなくてはならない物ばかりです。 模型でも丁寧に仕上げていきます

 

 

 

 次回は艤装です。

 

 

 


ブリタニア製作記 vol.3

2008年10月16日 | 帆船模型

 今回は外板張りからの紹介。

 

 と、その前にフレームの処理がまだでしたネ。 フレーム断面は、外板を当てたとき、その面が沿うように角度を付けます。

 

 具体的には、船首側のフレームは前方の角、船尾側のフレームは後方の角をそれぞれ削ります。 (下の写真は、角度付けの処理をしたものです。 ピントが合ってないですね…)

 

 

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 上の写真は、実際にガイドとなる一枚目の外板を張ったところ

 

 船種によって基準となる一枚目を張る場所は変わります。 この船の場合は、手すりの上端から下へ向かって張り進めます。 左舷側(写真奥)の細い材は、外板の支えともなる手すり上端内側の力材。 ここに外板を接着します。 ちなみに、フレーム上部の立ち上がり部分はガイドですので接着はしていません。

 

 

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 何枚か張り進めました。歪みが出ないように左右交互に張っていきます。 船尾部、前回紹介したフィラーが役に立っています。絶妙な曲面を再現できました 外板材には隙間が出来てますが、後で埋めることが出来ますので気にせず張り進めていきます。 

 

 外板を留めている釘は、基本的に接着剤が固定した後、抜いてしまいます。 ただし、”二層張りの一層目”といった場合は、抜かずに打ち込んでしまってもいいでしょう。(ただし、腐食しても膨張しにくい、真ちゅう製の釘のみ)

 

 

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 この船は外板の曲がり・ふくらみが少なかったので、ここまで板にテーパーをつけることなくそのまま張ることが出来ました。 ですが、ずっとそのまま張り続けるというわけにはいきません

 

 板が自然な曲線を描く位置まで猫の目のような隙間を作ります。 二層目に隠れてしまいますので、板の形・隙間の形はあまり気にしません。

 

 

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 指示の所まで張り終えました。 まずは一層目終了です。

 

 

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 二層目はこんな形で張り進めていきます。一見不思議な張り方ですが、強度を増すため、また、板の加工の必要が少ない合理的な張り方なのではないかと…。 この、二層目に使われている木材、ウォールナットといいますが、この材は表面が堅く傷が付きにくい木材です。

 

 

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 二層目を張り終えて、こまごまとした作業も進めた段階。 船底部品やラダーが付き、フレームの立ち上がり部のガイドをカットしました。 ここまでくれば一安心 (なのかしら?)

 

 前回、外板張りを、”超”難関などと書いて驚かせてしまいましたね。 今回はスクーナー型船体だったこともあり、比較的簡単に済ませることが出来たのです。 ガレオンやフリゲートだとこうはいきません それはまた追々紹介していくことにします

 

 

 

 次は、船体の塗装と船上の構造物の作成です。

 

 

 


ブリタニア製作記 vol.2

2008年10月14日 | 帆船模型

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 帆船模型造りはキールとフレームを組むところから始まります。

 

 キール・フレームは、すでにベニヤ板からレーザーでカットされています。 繋がっている部分をナイフで丁寧に切り離し、押し出すようにして板から外します。 (上写真の部品はフレーム)

 

 

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 各部品はこのように組んでいきます。 以前の写真にもありましたが、部品に番号をふっておくと間違いが無いです。 ちなみにキールは写真初登場。 上下に細く、スマートな船体になることが想像できますネ

 

 

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 これは、キールとフレームの直角にして固定させる工程。

 

 通常は”すじかい”を入れて固定するのですが、甲板下地用のベニヤ板が同梱されていれば、写真のようにそれをガイドとして利用。 (後の工程で、押し込んで接着しました) このキットのようなフレームを噛む”ホゾ”がない甲板下地材の場合でも、直角を出した後にしっかり接着をすれば完璧です。

 

 

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 写真中央のフレーム、断面の色が他と違っている上に釘が刺さっているのが見えるでしょうか?

 

 精密なカットだと思っていたこのキットでも、隣り合ったものと滑らかな曲線を描けないフレームがありました。 それがこのフレームです この部品は隣り合ったものより少し窪んでいたので、薄い木材を張って継ぎ足しました。 こうした不具合を早い段階で見抜くことが出来るよう、フレームを組んだ後は、外板材を当てるなどして入念にチェックをします。

 

 

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 上の写真の重ねて接着してある木材は”フィラー”といって、外板を張る際の支えになるものです。 これは下の写真のように整形します。

 

 フィーラーがあると、その場所の外板を意図した形にすることが出来る上、船体強度・接着強度が高まります。 強度や外板の端の固定に不安のある箇所には、積極的に入れていきます。

 

 

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 グラインダーで整形しました~

 

 この船のように、船首・船尾部が直線に近い造形で構成されている場合でも、フィラーがあると凹まず整形しやすくなります

 

 

 

 次回の製作記は、木製帆船模型の”超”難関、外板張りです。

 

 

 


ブリタニア製作記 vol.1

2008年10月14日 | 帆船模型

 前回まで簡単な紹介のみでしたが、今回からは製作記を順次公開していきます。 始めは、「これまで造ってきた船たち その4」でも紹介した、”ブリタニア”から。

 

 

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 箱の外観。 これが例の”あなたの腕次第でこのようにも出来ます”な箱写真です。

 

 

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 箱を開けたところ。 ただの棒切れがゴロゴロと… いえいえ、ちゃんとした部品です

 

 ちなみに、コレではないですが、初めて外国製キットを空けた時は呆然としてしまいました。 写真のように、木材は袋に入っておらず、どこで使う部品なのか分類すらありませんでしたからね…。 

 

 今回は紐で括られているのがせめてもの救い… 一部の製品は、部品がまとまっていることもなく、仕分けが最初の作業となります…。

 

 

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 実寸の図面です。 ほとんどの外国製キットには、説明書としてこういった図面しか入っていない場合があります。 しかも、指示・説明が不親切。 そういうキットに当たってしまった場合、組み立て順序は経験と勘だけが頼りです…。

 

 

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 船の文字通り”屋台骨”となるキール・フレーム(※)部品。(写真はフレーム) 厚いベニヤで構成されていて、このキットでは図面の不親切と打って変わって精密なレーザーカットがなされていました。 とはいえ、プラモデルではありませんから後々の調整は必須です。

 

 

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 入っていた木材を分類したところ。 公開するとは思っていませんでしたので適当な字… 製作に慣れてくれば、どれがどこに使う材なのかが”なんとなく”分かってきます。 趣味の世界とは言え、根気が要ります

 

 

 

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※ キール : 船首から船尾にかけて、背骨のように船を支える、実船にとっても重要な部品。

 

※ フレーム : キールを背骨に例えると、こちらは肋骨。実船では模型よりも高密度で配置されている。

 

* 双方とも、実船では平面な部品ではなく、木材(鉄材)でできた骨組み。

 

注意 : 各部の名称は実船においては仔細に定められています。 上記は模型を造る上で最低限の簡易な説明となります。