ひよこ造船工房

納期遅れ常習犯の船大工。 猫画、オーディオ、たまに造船記♪ since 2008.11

エセックス製作記 vol.4

2009年08月29日 | 帆船模型

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 上の写真は船底(喫水線下)に銅板を貼り付けた状態です。 ここで、すこし船に興味がある方の中に「おや?」と思われた方も居るかと思います。

 

 そうなんです。 当時の帆船は”船底”のほうに金属板を張っていたのです。 海戦ゲームなどをプレイした経験があると、金属板は防弾のために船体上部に張ってあると思いがちですが、大航海時代ヨーロッパの帆走戦闘艦で防弾のためとして金属板が用いられた例はほとんどありません。 (すべてが記録として残っているわけではないので、念のため”ほとんど”と書きましたが、まぁ19世紀中盤までほぼ100%無いでしょう) 

 

 では、なぜ船底に金属板を張っていたのかといいますと、現在ではフナクイムシ除けだという説が有力視されています。 しくみとしては、物理的防御プラス、金属(銅)と海水が触れることによって発生する金属イオンで、木材を腐食させる海生生物を忌避していたのだといわれています。 

 

 

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 もちろん、現在のように金属板で防弾するという発想は当時もあったと思います。ただ、鉄など金属の産出量・流通量から加工技術、実際に取り付けるにあたっての船の浮力・バランス調整など、実現に相当な困難があったと想像できます。

 

 さて、講釈はここまでとしまして製作解説に入ります。

 

 船底に用いた銅板、実は一面がテープになっておりまして、台紙からはがして即張れる(貼れる?)という優れものでありました。 とはいえ、どんなパターンで、如何に正確に張っていくかは製作者の腕に掛かっております… (近頃こういう言い回しが増えたことは気にしないで下さい…)

 

 

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 注意する点は三点。 ①波に洗われる部分(喫水面)は強い抵抗を受けるので、張るパターンを水平の列にする。 ②船体の丸い部分は、沿わせたときに見た目に無理が無いように適宜パターンを変える。 ③キール部分は喫水面同様、喫水線に対して平行になるように。

 

 それと、今回船底にやわらかい銅材を張ってしまったため、既存のゴツイ作業台では傷だらけになってしまうことから、新しく台座を作りました。

 

 

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 でーん…! ブルーバッフルが目にしみる(笑) なんとJBLのスピーカーと同化してしまいましたぁ~ 今後エージングによる変化が楽しみな台座です☆

 

 

 


エセックス製作記 vol.3

2009年08月12日 | 帆船模型

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 この金属の塊は艦載砲の砲身です。 ということで、今回は大砲の製作。 このキットでは、組むだけで仕上がる出来合いの大砲が付いています。 (上記写真) 砲身の材質は真鍮製、旋盤加工されたもののようです。

 

 片手間で調べた程度ですが、エセックスが積んでいた大砲の種類を示す断定的な資料は見つかりませんでした。 ただ、この時代の戦闘艦のほとんどが、当時最新式で比較的安価に手に入ったカロネード(キャロネード)砲を積んでいたという記述もあります。 とあるゲームでは非常にバランスの取れた扱いやすい大砲として登場するのですが、真相は如何に…。

 

 …とはいえ、船大工(モデラー?)としては目の前にある部品を組み立てるのみですけどね

 

 

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 二つ仲良く並べてみました。 小さいものは上甲板用、大きいものは下層甲板用です。

 

 プラ用塗料の食いつきを良くするため、この時点でメタルプライマーを塗っておきます。 このような無着色のままで展示されている作品も見たことがあるんですが、シックな雰囲気の作品に仕上げたいので、私は渋い塗装をいたしますょ…

 

 

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 大砲の台座部分。 ここまでお膳立てがされていると少し居心地の悪さを感じてしまいますが…、気のせいなので先に進みます。

 

 この部分は木製なので木工用接着剤で組み立て。 木の色も良い味を出しているので無塗装とします。 実物はもっと複数の部品で構成されているのですが…、「こんなところ誰も真剣に見ないよ~」と念じながら組み立てていきます

 

 

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 ジャーマングレーに黒、メタルグレーを少々混ぜて鋳鉄色を再現。 とりあえず台座に載せて写しました。 砲身と台座の接続部分は瞬間接着剤で接着後、砲身と同じ色で塗装したヒンジをかぶせていきます。

 

 

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 大砲の完成写真。 砲身と台座を繋ぐロープを結び(この部分は省略しています)、単体ではこれで完成となります。 雰囲気はしっかり出ていると思います

 

 今回のエセックスは、下層甲板が開放甲板になり、内部が見渡しやすくなっているために中の装備を省略するのが難しくなっています。 この構造のせいで装備品の製作と甲板の製作を交互にしなければなりません。 しかも内部空間が狭いこともあって、後から手を入れることが非常に困難になりますので、細心の注意を払って組み立てを進めていきます…。