デンマークつながりで心暖まる作品をもう一枚。
2005年に惜しまれつつ亡くなったNIELS-HENNING ORSTED PEDERSEN(ニールス・ヘニング・ウルステッド・ペデルセン)の豪華2枚組追悼盤である。
このアルバムは日本では発売されていないもののようだが、彼のファンが多い日本でもぜひ発売してもらって、もっともっと多くの人に聴いていただきたい作品である。
私はこれをデンマークの友人を通じて手に入れた
その友人も、彼はデンマーク国民の誇りだった、と話していたが、私もファンの一人として、彼の若すぎる死を本当に残念に思っている。
この作品は1963年の録音から亡くなる前年の録音まで全34曲も入っていて、これを聴けば彼がどういう人間だったのかが手に取るようにわかる。
私自身これまでニールス・ペデルセンといえば、骨太のゴリゴリしたベースを弾くハイ・テクニシャンというイメージを持っていたのだが、このアルバムを聴いて、そのイメージが払拭されてしまった。
とにかく彼は全編に渡って「優しさ」の塊なのである。
もちろん追悼盤だから、あえてそういう曲を選んで構成しているのはわかっているが、それにしてもこの懐の深さはどうだ。
聞き込めば聞き込むほどに、どの曲からも溢れんばかりの感動が押し寄せてくる。
彼の相手を務めているのは、オスカー・ピーターソンであったり、ケニー・ドリューであったり、ミシェル・ペトルチアーニであったりするが、こういう風に並べて聴いてみても、やはり主役はニールス・ペデルセンなのである。
これほどまでに存在感のあるベースを弾ける人はいない。
彼がいたから、アメリカのジャズとヨーロッパのジャズが共存できるようになったといったら言い過ぎであろうか。
とにかく彼がその橋渡し役になったことはいうまでもない事実である。
「偉大な人」というのは、まさにこういう人を差す言葉である。