SENTIMENTAL JAZZ DIARY

感傷的ジャズ日記 ~私のアルバムコレクションから~

CHRISTIAN JACOB 「CONTRADICTIONS」

2009年01月21日 | Piano/keyboard

ペトルチアーニで思い出し、このアルバムをかけている。
これはクリスチャン・ジェイコブによるミシェル・ペトルチアーニ作品集なのだ。

私も一頃はペトルチアーニに凝って彼の作品を買い集めた。
コンサートにも行った。
ステージに上がった彼は、あの小さな身体からは信じられないほどパワフルでダイナミックな演奏を行った。硬い音質のピアノが会場いっぱいに流れると、観客の興奮も一気に盛り上がったのをよく覚えている。
私を虜にしたのは、同じリフレインの後で急速に流れ落ちるようなフレーズが出てくる瞬間や、時折見せるいたずらっ子のようなユーモア精神だ。
私はそんな人間味溢れるペトルチアーニが好きだったし、そうしたフレンチジャズの自由なムードが好きだったのだ。

クリスチャン・ジェイコブもペトルチアーニを敬愛するフランス人だ。
但し、ピアノの音質はまるで違う。もっとまろやかだ。
しかもドライで、北欧のピアニストのような湿った感じがない。
そんな彼がペトルチアーニの曲を演奏する。当然、曲の雰囲気が変わっていく。
この作品で私が特に好きなのは、ラストの「My Bebop Tune」である。この軽快な曲はペトルチアーニの演奏と比べると、明らかに角が取れて丸くなっているのがわかる。
もちろんどちらがいいかなどと比べるつもりはない。その時々の気分で双方を楽しんでいる。
それよりも大切なのは曲そのものが持つ力である。これは変わらない。
ペトルチアーニの曲は、光が差し込む明るいテラスのようだ。
この明るさ、暖かさがクリスチャン・ジェイコブのピアノからも伝わってくる。
いつの時代もジャズが古びないのは、こういった感覚が持てるからである。



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