ポエトリー・デザイン

インハウスデザイナーが思う、日々の機微。

トンボ鉛筆、エアプレス。

2010年02月12日 | blog
twitterで文具王(文字どおり、TVチャンピオンの優勝者だそうな)氏のの存在を知り、コラムを読んでグッと来たので購入。

500円くらいのボールペンの話をするのに、「私たち人類は、地球という、宇宙でもかなり特殊な環境に住んでいる。」という書き出しのモノ語り王。4ページのコラムで3ページまでがボールペンそのものに関するウンチクで製品が出てこない、という能書き王。愛にあふれた、すげーコラムっす。

そいでまぁ、モノの詳細はリンク先を参照いただくとして(だってもう書くことないわ)、加圧式、というところにグッときたわけです。

ボールペンは、無印良品のこれを愛用しているんですが、ちょっと作りが華奢で、軸がひび割れてきちゃったんですね。2本持っているので、だましだまし使っていますが、そろそろ寿命かなと。

それで、最近はLAMYのnotoも使っているんですが、これ、カッコイイのはたいへんよろしいんですが、書き出しがどうしてもカスれる。どうしてもカスれる。毎回、組合の冊子の裏でぐりぐりしてから書きだすのは、いいかげんうっとうしい。

私はふだん、ほとんど筆記具を使いません。
たいがいのメモはPCかiPhoneで直接入力してしまうので、文字を書かない日のほうが多い。
たまのアイデアスケッチとか、電話のメモとかに使う程度で、そういうときにカスれるのは許しがたい。そういう使い方だから、いつもカスれるとも言えますが。

それで、このエアプレスです。加圧式ということで、書き出しの安定感は期待できるし、全体的に「現場仕様」(建築現場ってことですかね)のタフネス加減が、デジカメ「現場監督」や「Gショック」的ビーパル感で気になります。

ま、正直デザインはちょっと、そりゃぁLAMYと比べるのは酷ですが。現場っぽいオレンジよりは、子どもっぽいディティールが気にならない黒を選びました。

それで、肝心の書き味、使用感は…!

…普通!

そりゃそうだ。リフィルはフツーのものだし、フツーのトンボのボールペンでも、いまどき書き出しでカスれることなんざなかろう。いいのだ、半分は物語を買っているのだ。

意外といいのは、このサイズ感。短いんです。かばんに無造作に放り込んでおくにはいい。車の中とか玄関とかに常備しておくのは良さそうだ。あ、非常持出袋にも。

クリップもいい。このばねの仕組みは「カバンのストラップを留める金具の動くところ」とおなじ構造で(わかりにくいわ)、ぐいっと広げても、伸びてしまうことがない。たとえば厚手のファイルに無造作にはさんでも大丈夫だろう。ペンのクリップ、乱暴に扱うと開いてしまってがっかりすることがある。これは大丈夫。



ちょっと惜しいなぁとおもうのは、握り部分の滑り止め。
硬い樹脂とゴムっぽい樹脂の2色成型なのですが、軸側がゴムで、縦長の凸が固い。
これ、滑り止めになってないと思います。素材使いが逆だし、凸は軸に対して直角でないと、現場的滑り止めにはならんのでは?



ま、タフネスというのは多少アカ抜けなくても、機能と能書き、物語がデザインを補完するのだ。外車のほうがオシャレだが、ランクルは許される。タフネス治外法権。


私も、500円のボールペンで語るなー。