武道・禅の心で臨床を読み解く(武道、禅、心理療法、ボディワークを学ぶ理学療法士)

21年間の運動指導・700冊の書籍からリハビリ・トレーニングを読み解きます。
良書の書評、稽古・訓練方法、研修報告など

理学療法と武術・武道

2010年04月14日 | 古武術
 もし私が数年前に「『武道・武術』が理学療法に大切なんだよ」って言われても全くピンと来なかったと思います。むしろ「この人何言ってるんだよ」ってドン引きしてたはずです。

 臨床四年目で国内ですがそこそこ徒手療法の研修にある程度出て、さぁ次はどうしようと思案していた頃、たまたま職場内でクラインフォーゲルバッハ(Klein-Vogelbach)の勉強会を担当することになりました。色々な資料を集めていたところその資料の中に古武術の甲野先生について書いてある資料がありました。
 それまでナンバ歩きや古武術が理学療法界で少しブームらしいことは小耳に挟んでました(今はどうなんでしょう?)。
 大学院時代は毎週英語論文の抄読をし、計測機材に埋もれながら時には自分を被験者としながら運動生理学のデータを取るため研究室にこもっていた私です。比較的、武道やK-1などの格闘技は好きでしたが西洋的な考えに傾倒していた私からすると「そんな時代錯誤のものが理学療法にいいはずがない」、と決め込んでいました。
 しかし百聞は一見に如かず。偏見は良くないと、とりあえずネットで甲野先生の本とDVDを数冊取り寄せてみました。
 簡単にできそうな技を真似してみると意外と面白く動作分析など評価の幅が広がりました。更に数冊本を手に入れ読み込んでみました。でも奥深さはなんとなく伝わるもののやはり良く分かりません。

 そこで直接甲野先生の演武を見に行きました。直接手を合わせてもらい凄いのは肌で分かりましたが、その習得方法や理論は分かりません
 次に古武術介護の公演も行ってみました。こちらは解説もあり頭では良く分かりました。と同時にかなり要練習(鍛練)であることも感じました。
 しかし自主トレは一人よがりになってしまう。直接習いたい!!でも残念なことに、その当時甲野先生は道場をたたまれてしまっていた時期でした。
 どうすればいいんだろう・・・・、と悩みながら甲野先生の違うDVDを見ていると「合気道は古武術の流れを比較的残している」と言いながら合気道の門下生に道場で指導しているシーンがありました。これだっ!と思いました。しかしただ飛び付くだけでは駄目です。なぜなら私は12年前、理学療法界に入る前既に合気道を習ってたことがあるのです。引っ越しがあり半年という短い期間だけでしたが間違いなく甲野先生のような技を体言している人は一人もいませんでした。
 そう、同じ合気道でも慎重に調べて探さないと駄目なんです。武道も武術もそうなんですが江戸幕府による200年以上にわたる天下泰平の世が続き、明治維新によるスポーツ化、更には敗戦による武術・武道の軽視化という影響で流派・種目によっては全く中身が別物になってしまっているのです。
 私は合気道の他に小中学生で空手をやってましたが今振り返ると体格差を埋められない完全な筋力任せのスポーツ空手でした。礼儀作法は身につきましたが、体格差や筋力の壁をまざまざと感じさせられた(刷り込まれた?)四年間だったと思います。

 また「道」を体言していた大人がいたか?と思うと???です。スポーツ化という時代のうねりの中では仕方ないのでしょう。

 そんなこんなで、時間をかけ色々と調べ自宅から無理なく通える距離にいらっしゃる今の師範にたどり着きました。

 何事も周りを知らずただやるのは危険ですね。ただ失敗があったればこその今だとも思います。


 『武術』と『武道』は似て非なるものです。
 最初は武術に傾倒してましたが最近は武道に興味が出てきています。

 武術と武道の違いは今後解説していきたいと思います

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1 コメント

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Unknown (システマ太極拳)
2020-08-19 05:50:28
初めまして。居合、合気道、太極拳、システマ、ロルフィング、フェルデンクライス、古武道などを練習するPTです。仙骨操作、骨盤メビウスコントロール、脊柱起立筋や
肋間筋のスライドなど、昔は出来なかった事が今はある程度出来ます。出来るというのは、甲野先生等と実際に手合わせをして技を使える、破れるといった程度ですが・・・
日本の武道が苦手な動きは、システマや太極拳の立体円や球、螺旋の動きだと感じます。また、パーキンソン症状の筋緊張の逆の使い方も、日本の武道では私が知る限りでは出会った事がないです。(他と併習して使える人はいました。)
ブログをたまたま見つけて気になったので、コメントさせて頂きました。突然の書き込みを失礼致しました。
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