武道・禅の心で臨床を読み解く(武道、禅、心理療法、ボディワークを学ぶ理学療法士)

21年間の運動指導・700冊の書籍からリハビリ・トレーニングを読み解きます。
良書の書評、稽古・訓練方法、研修報告など

軍国主義と武道は別物(ありがちな武道への勘違いを読み解く)

2011年12月10日 | 武道
 いまNHK「坂の上の雲」を見ています。

 明治時代を生き抜いた人々の躍動感が伝わる内容で、あまりドラマを見ない私ですが「竜馬伝」の次に視聴しています。

 前回は「旅順攻略」でした。日露戦争の際、旅順にある要塞をめぐる攻防でおびただしい死者を出した戦いの地として有名です。小さい頃からなんとなく知ってはいた話です。しかし、最近の戦争ドラマは戦闘シーンも生々しく、また個々の人生も細かく描写していくので感情移入せざるを得ません。軍部首脳の無謀な作戦ゆえに1万人以上が1カ月に満たない期間で、死んでいくさまを見ていていとても気持ちが悪くなってきました。

 この無謀な突撃や人命軽視の戦略は太平洋戦争終結まで続きます。映画「硫黄島からの手紙」などでも描写されています。

 明治維新後の軍隊は、決して武士道を尊重しているものではありませんでした。武士の家系ではない一般人を軍隊として統率する方便として「Bushido」があたかも日本人の心のように語られ利用されてきたのです。即席で結成された日本の軍隊に武士道のような

 武士道とは、無謀な作戦に人命を軽視して臨むことではありません。戦前・戦中であっても人命を軽んじる軍部に異を唱える武道家はいたようです。

 また、本当に武道を嗜む軍人は大国ロシア、アメリカとの戦争に反対していましたし多くの将兵を死なせてしまった責任を取って自決しています。海外に留学し、大国との国力の差を知り戦争がいかに無謀か肌で感じていたのです。

 前回のブログでも書きましたが、武道は相手と融和する心が大切です。江戸時代の長く続いた平和によって武道・武術は失伝した、と論破する人もいます。確かに緻密かつ正確な殺人術は失伝したでしょう。しかし、天下泰平の世であるからこそ「活人術」としての武道の昇華があったのも事実。

 平成の世で正確に相手の頸動脈を短刀で切り裂く技術は多くの人にとってあまり意味をなしません(軍隊の特殊部隊は話は別)。しかし、他者との間合いを適切に取り自分や他人の心身を知ることはどんな状況でも大切です。

 精神論だけの根性論や格闘術でもなく、ましてやスポーツ化された武道ではなく融和を目指した武道の習得を私は目指しています。

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