武道・禅の心で臨床を読み解く(武道、禅、心理療法、ボディワークを学ぶ理学療法士)

21年間の運動指導・700冊の書籍からリハビリ・トレーニングを読み解きます。
良書の書評、稽古・訓練方法、研修報告など

リハビリを成功させるには(禁煙方法から学ぶ)

2011年11月29日 | コラム
 今回は、先日放送されたNHKためしてガッテン『禁煙特集』より禁煙を臨床へいかに応用するか考えてみましょう。

(○は番組内容で、⇒は私の解説)

○タバコを吸ってる人は脳にある線状体という部位の活動が低下している。つまり喫煙者はタバコを吸わないと決して
『喜びが完成しない脳』ということである。


⇒これは非常に恐ろしい事で人生で素晴らしいイベントは全てタバコが無いと心地好い記憶とならないということを意味します。歩く、テレビを見る、恋愛するなどなど全ての行為がタバコが無ければ不完全となり不満となってしまうのです。
喫煙者ではなくても、何をするにも不満そうな人っていますよね。臨床で痛みの訴えが強かったり、リハビリの成果に満足できないのもこのタイプが多い気がします。心理療法では乳幼児期に親から無償の愛を受けてないとこうなりやすいと唱えている人もいます。患者さんなどにそれとなく問診してみるとそういう傾向確かにありますね。
この前の私のワークショップでは宗教的価値観についても触れましたが、肉親から自分の身体をどう見られているかなども大切です。


○線状体は『喜び』に関わる部位である。我々は脳内で快楽物質であるドーパミンが分泌され線状体が活動する事で『喜び』を感じ充足感に満たされる。しかし、喫煙者の脳活動を分析すると線状体の活動が非常に乏しい。これはタバコによるニコチンが快楽物質であるドーパミン以上の作用をしてしまうから。喫煙者はニコチンが無いと何事にも満足できない器質、気質に脳細胞レベルで変化してしまっているということを示している。
⇒ニコチンパワー恐るべし。ドラッグは更に上の作用が想像されます。
喫煙者の喜びの記憶は全てニコチンのお陰。人でなくても生き物は全て快楽を求める生き物です。
 リハビリでも、成功体験は快楽をもたらし、失敗体験は不快さをもたらします。ニコチンほどの即時的な快楽をリハビリでも提供できれば患者さんを虜にできそうです。
私はその点からマッサージも有効だと思っています。皆さんマッサージ有効に使ってますか?

○快楽を我慢できない人は喫煙率が高い。例えば、「15万円をどれだけ待てますか?」と聞かれた場合。待てる日数が少ない人ほど喫煙率が高い。
わかりやすい例えとして、キリギリス脳(刹那的)とアリ脳(計画的)とに分類してみる。即時効果を求めるキリギリス脳タイプの人ほど短期で結果が出るものをしないと挫折してしまう。
⇒リハビリも同じで、たいていの患者さんは即時効果を示さないと信用してくれない。いくらうんちくを述べたところでリハビリに関しては素人だし、ショック期にある患者さんには「のれんに腕押し」。即時効果での信頼感獲得があっての長期効果です。

○500円貯金が成功するのは目に見える効果があるから。キリギリス脳タイプの人間をアリ脳タイプにするには短期ゴールがリアルに想像できないとダメ。
(CF.フューチャーぺーシング法:近い将来の具体的なイメージを引き出すカウンセリング法)
⇒患者さんに魅力的な近未来を相手に分かりやすく提示してなんぼです。それと同時に長期的な目標も患者と共に共有するようにしていきます。このあたりはNLPが役に立ちます。

○タバコなしの喜びの記憶を作り出せば人は変われる!
⇒これは、うーむ(~_~;)という感じ。というのは私が良く言っている「一万時間の壁」があるので変わるのは相当難しい、と考えます。人は一万時間以上変わる努力をし続けて始めて変われるそうです。宮本武蔵曰く「鍛は千日、練は万日をもって鍛練とする」そうでそこまでやってようやく人は壁を超えられとか。
また「三つ子の魂百まで」というように小さい時に形成されたパーソナリティはなかなか変わりませんから。



 効果の高い禁煙補助剤の開発により禁煙成功者は増えているとか。でも再開してしまう例も喫煙習慣の根深さを感じます。


 人が変わるのは大変です。幼児期も含めた自分と向き合い、一万時間の壁を突破しなくてはならないのだから。

 でも、この点を踏まえて患者さんに介入できると確かに変わりはじめます。それに変わらない患者さんにも愛情を注げます。人はそんなに強くはないし簡単に変われない、と寄り添えばいいのです。

 私は変わりたいと思ってます。なぜなら何人かの素晴らしい先輩は素敵に成長・進化しているからです。

 そんな方達を目標にして、日々精進しております。

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