武道・禅の心で臨床を読み解く(武道、禅、心理療法、ボディワークを学ぶ理学療法士)

21年間の運動指導・700冊の書籍からリハビリ・トレーニングを読み解きます。
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書籍紹介『できる!合気術』 セラピー(施術)に通じるものを紐解きます

2012年07月19日 | 文献紹介(武道PT的リストマニア)
今日も私(武道PT)の年間100冊抄読の中からオススメの一冊を抜粋して紹介します。

『できる!合気術』
倉部誠・著
(以下、引用)

会得したものをどうやって自分の弟子たちに伝えられるか、いかにして彼らにも同じように習得してもらえるか、そのためにあれこれとずっと工夫を重ねてきました。
その結果、
1.まず原理を明らかにして
2.その原理を実現する方法を幾通りも試しながら
3.各人が一番やりやすい方法で合気術を習得する
という指導方法を確立しました。

この方法のお陰で私の弟子たちはあっという間に合気術をマスターし始めました。

(中略)

従来の指導方法では、これらの原理を教えずに(もつとも教える側も原理をよく理解していないケースが多いのですが)、手をどう開くとか腕をどう動かすかなどといった方法論だけで弟子たちに技を教えていました。手の開き方や腕の動かし方はあくまでも動作ですから、それをしたからと言って、気持ちで力の伝達をコントロールする合気術が出来るわけではありません。別の言い方をすれば、例えて言えば木という物を説明するのに木全体を見せないでいきなり枝から見させるようなものです。もっと具体的に言えば、ある目的地へたどり着こうとする場合に、「この道をどこまでも真っ直ぐに進むと、いつかは見晴らしの良いとても景色の良いところへ出る。そこが目的地だ。頑張って進みなさい」と言つているようなものです。一方私の指導方法は初めに原理を教え、その原理を実現するために考えられる複数の方法を教えます。それは「あの向こうに見える山が目標点です。そこへ至る道はいくつもあるけれど、どの道を選んでもか構まいません。常に目標を見て歩くのですから必ず到達出来ます」と言って教えるのと同じです。この違いは言うまでもなく歴然として
います。私が最初に学んだ合気道の本でも合気上げの説明で「肘は直角に曲げ、肩を支点として腕全体を回すように動かす。掴まれた手首が肘よりも低い位置となっている場合には合気上げは難しいが、熱達すればそれでも出来るようになる」と、丁寧なイラスト入りで説明してありました。これなどは、原理が分からずに練習を重ねているうちになんとなく出来るようになった方法(動作と言っても構いません)のーつを説明しているに過ぎません。私の場合はたまたま逆手道の小手引き投げをマスターしていたために合気術が出来る素養があったので、この説明を読んだだけで合気上げが出来ましたが、素養のない弟子たちは同じ説明を聞いても全く出来なかったのです。
なお、特にここで言いたいのですが、この原理と方法とを取り違えて説明されているケースを多く見かけます。原理を実現するための手段が方法であって、方法は原理とはなりえません。例えば、「相手を掴んだ手や腕に力を加えずに腕を動かせば相手は抵抗出来ない」ほ原理ですが、「掴んだ腕の関節を柔らかくして自由に勤くようにしながらこちらの体を動かす」というのほその原理を実現するためのーつの方法でしかありません。また原理というのはそれを読んだ他人がどういう方法でも良いから再現可能となるように説明されていなければ、原理とは認められません。他人が再現出来る説明の仕方で書かれていなければ、それは単なる着想に過ぎません。

(以上、引用終わり)


どうでしたか?今のリハビリ界の○○療法の大半は小手先の方法論のみで原理がありません。だから臨床でさほど成果が上がらず、がっかりした療法士はやがて研修に行かなくなっていくのです。

そう、エビデンスも無く個人の『着想(妄想)』になってしまっているのです。そしてその着想に感化された一部のセラピストがまるでカルト教団の教徒のように盲目的にその手技・着想に溺れています。溺れるだけならまだしもカルト教団のように他者に自分達のやり方を押し付けるのです。

また、○○療法が仮にいい線をいっていたとして、それを極めたからといってもそれは所詮臨床(人間界)全体から見たら一部の事です。いくら学んでも30歳前にリアリティは見えてきません。二つ、三つの手技そして違う世界(業界)を旅してようやくリアルな世界の入口が見えてくるのです。

武道界の猛者はたいていいくつもの道(稽古事)を習得しています。リハビリセラピストは果して???


人は不完全な存在故に死ぬまで正解は見いだせません。でも真実を模索していくのがプロフェッショナルなのです。

たいして研鑽もせず吠える若手セラピスト周りにいませんか?吠えてたり天狗になってる中はまだまだ未熟な証拠。


武道PTワークショップは決してやり方を押し付けません。
コンセプトは
『世界はとてつもなく広く、様々なアプローチが想像以上にある。それを知った上であなたは何を選びますか?』
です。

さぁ、真のプロフェッショナル目指して稽古・研鑽を続けましょう。

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