武道・禅の心で臨床を読み解く(武道、禅、心理療法、ボディワークを学ぶ理学療法士)

21年間の運動指導・700冊の書籍からリハビリ・トレーニングを読み解きます。
良書の書評、稽古・訓練方法、研修報告など

医は仁術

2010年07月09日 | 日記
七夕が終わりました。

個人的な事ですが約1年前、妻と生まれたばかりの次女が半年近く入院していました。

私の次女は798gという超低出生体重児としてこの世に生を受けました。通常であれば体重がこの3倍以上あって正常です。生存率は非常に低くとても危険な状態です。

妻の妊娠中に健診で発達異常が分かり、国立の成育医療センターを紹介されました。受診初日に様々な検査を受け、医師からのインフォームドコンセントを受け当日緊急入院となりました。

そこから、日々日本で最先端医療を司る医師から、様々な告知を受け妻は毎日泣いていました。4歳の長女は様子を察してか日中はとても明るく振舞っています。しかし、夜私と寝る時に毎晩母を想って泣いていました。

私は父、夫そしてPTとして気丈に振舞っていましたが、毎日の看病や娘の育児、そして仕事とあまりの重圧に潰れてしまいそうな毎日でした。

そんな中、疲労と精神的なストレスからひどい腰痛が出てきました。PTになりたての頃に姿勢や動作が悪く腰痛を患っていた私でしたが、それらを直し腰痛は皆無の毎日でした。この時に精神的な腰痛(過去のブログ記事を参照して下さい)を始めて味わいました。

そんな良いニュースのない中、周りで支えてくれた方々もいました。温かい言葉や表情はとても救われる思いでした。そしてそんな温かい言葉をかけられる方達は深い人生を歩んできている方なんだなぁ、と感じました。
また、医療センターのスタッフはモチベーション、技術もさることながら優しさでもずば抜けていました。本当に頭が上がらない思いでいっぱいです。

逆に温かい言葉どころか大変さを全く理解できない人もいました。

「医は仁術」といいます。知識や技術はあって当たり前。でもそれと同じかそれ以上に、「仁」の心が大切なんだと思います。


医療センターの七夕でこんな短冊を見つけ妻と二人で泣いてしまいました。
「○○ちゃん、精一杯頑張ったね。ありがとう。ゆっくりと眠って下さい」
私の次女はお陰さまで発育に心配は少しありますが、発達面では順調です。生きたくても生きられなかった子の分まで、医療職としての責務を全うしたいと思います。


手術室で妻の帝王切開が終わり主治医の先生が、「母子ともに無事です。ご家族の方も大変な中良く頑張りましたね」と声をかけてくれました。
この一言で、腰痛は吹き飛び感動のあまり泣き崩れてしまいそうになりました。

こんな立派な一言が言えないまでも、患者さんはもちろんその患者さんを支える家族もサポートできる医療者になりたいと思います。

心はとても大切です。私の病院での七夕の平和な短冊を見て去年の出来ごとを思い出してしまいました。

今回は個人的なエピソードでしたが今後きちんと論文や症例も紹介するので読者の皆様よろしくお願い致します。

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