『今、ふたたびの京都』(求龍堂)より
河井寛次郎記念館の帰り、ぷらぷらと祇園を歩いてましたら、いきなりど派手な建物が! と思ったら祇園一力亭でした。『仮名手本忠臣蔵』7段目の舞台としても有名なお茶屋さん。通りがかったついでに、久しぶりに東山魁夷がらみの写真を撮ろうと思ったはいいが、急なことで手元に資料がなく構図をうろ覚え(^^;
何枚か撮った中で、一番近いのがこれでした。
とにかくベンガラ色というのでしょうか、この赤い色が強烈に印象に残っていて、赤がキレイに撮れるところを探したのですが、そろそろ夕方という時刻で、鮮やかさはイマイチ。ただ、屋根の影が描かれているので、絵の中の時間も同じくらいかもしれません。やはりお茶屋遊びは夕刻からってことで。
画伯の絵は、構図をもっと下にさげて、左右の木の袴みたいなものも描かれています。暗いところがあって赤が映えるんですよね。足元の堅牢さは格式の高さを感じさせます。画伯、さすがの構図です。
歌舞伎の一力茶屋の段では紙垂(しで)を後ろ襟に差し込んだ由良助が、じゃらじゃらと芸妓と戯れるところから始まりますが、たとえば仁左衛門丈なんかは、もう本当に匂うほどの色気で、場がぱっと華やいで見ていてほんと楽しい段です。そうしたお芝居の場面や、本物の内蔵助が実際に遊興にふける様が、この、普通ではありえないほど色っぽい壁を見ていると鮮やかに浮かんできます。きっと画伯も同じ景色を観ていたのだと思います。
お茶屋のある花見小路は、ご覧の通りの人だかり。
1964-66年頃のスケッチですが、50年前とほぼ変わらない景色って考えてみれば凄いことですね。
京都の歴史をも感じさせる一枚です。
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