ぶらっとJAPAN

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足の向くまま、気の向くまま。プチ放浪の日々。

道修町の漢方 ~大阪府~

2015-09-30 21:02:44 | 大阪

一時期大ハマりしてうろつきまくった大阪道修町界隈ですが、最近はご無沙汰してました。

久しぶりに歩いて見つけたのが、街角の漢方屋さん。

近所には大手製薬会社のビルが立ち並んでいますが(この隣も、風邪薬で有名な会社のビルです)ここは老舗感たっぷりの造り。どういう会社なのかよくわかりませんが、ショーウインドウにはいつも漢方の生薬が並べられています。

季節に合わせて展示替えするらしく、今日の展示は食欲の秋にちなんで消化不良を改善する「平胃散(へいいさん)」の生薬です。

聞くところによると、漢方には古より伝えられた各症状ごとに、生薬を組み合わせた処方が存在しているのだそうです(本が残されている)。君薬、臣薬といってメインの薬とそれを補佐するものを合わせるんだとか。

平胃散の処方は蒼朮(そうじゅつ)、厚朴(こうぼく)、陳皮(ちんぴ)、生姜(しょうきょう)、大棗(たいそう)、甘草(かんぞう)の6種類。

 

生姜(ショウガですね)や陳皮(ミカンの皮)、大棗(なつめ)なんかは、普段の食生活でもみかけるから、ま、ま、ま、ま、と思いますが、厚朴(こうぼく)なんて木の皮じゃん! といささか不安になります。効能を疑うわけではないですが、錠剤やカプセルを見慣れていると、こんな裏庭に生えてそうな草木が薬ねぇ、と妙な感心をしていまいます。最新の医薬品を扱うビル群のはざまに、こういうのが展示されているのがまた趣深いです。

ちょうど今、手塚治虫の『陽だまりの樹』を読んでいるのですが、手塚氏の曽祖父がモデルの主人公は、緒方洪庵の適塾に留学して、曾根崎新地の方へ遊女を冷やかしに行ったりしてます。適塾はバリバリの蘭学(西洋医学)を学ぶ場所ですが異端のものと見る人も多く、緒方洪庵は当時流行っていた疱瘡の予防のために種痘を広めようとやっきになっていますが、なかなか理解が得られません。比較的異国文化に鷹揚だと言われていた大阪ですらそうなんです。牛痘苗を使うので接種したら牛になる! と皆、恐れてる。でも、当時、天然痘は深刻な社会問題だったらしく、緒方は饅頭でつったりして(笑)、何とか受けさせようとするのですが上手くいかず。正しいことでも、未知の物を受け入れてもらうのは大変ですね。そして、その適塾や、除痘館はこの漢方屋さんの目と鼻の先です。うーん。歴史ここにあり。

マンガを読む限り、当時は漢方医が幅を利かせていてオラオラだったようです。西洋医学一辺倒な治療から、次第にホリスティックな漢方が見直されてきている現代とは真逆ですね。どちらが優れているということではなく、そうやってあちこちに曲がりくねりぶつかりながら医学もまた進歩してきたんだなと思うと感慨深いです。

100年後の医学はどうなっているんでしょう。初期のiPS細胞、なんて展示されたりするのかな。それはそれで見てみたい気もします。

歴史ある建物に生活感溢れる札。

コメント (2)
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