徒然なるままに、一旅客の戯言(たわごと)
*** reminiscences ***
PAXのひとりごと
since 17 JAN 2005


(since 17 AUG 2005)

アダム・エア576便 - 機材の経歴

 一昨日、1月1日の午後、インドネシアのスラウェシ島の山岳地帯上空で消息を絶った(情報が錯綜しているため墜落との言葉は避けました)アダム・エア576便。当該機の主たる経歴を調べてみました。

航空機には一機一機に“製造番号”が付けられています。

これは“登録記号”とはまた別のもので、その機体で一生涯変ることがありません。

自動車に例えると、“製造番号”はフレームに刻印された「車体番号」で、“登録記号”は「ナンバープレートの記号・番号」に相当します。

自動車の「ナンバープレート」がそうであるように、“登録記号”は当該航空機が登録されている国籍記号と記号・番号で構成されています。

本邦で登録されている航空機は、必ずJAから始まる“登録記号”が付けられています。
(ちなみに米国籍機はN、英国はG、フランスはF、韓国はHL、など等)
このJAが国籍記号で、その後ろに各機体を識別するための固有の番号・記号がつけられ“登録”されています。
※JAの後の命名則も決められているのですが、別の機会に譲ります。

インドネシアの国籍記号はPWで、1月1日のアダム・エア576便として運航された Boeing737-400 型機の“登録記号”はPW-KKWでした。

一方、当該機の“製造番号”は、24070/1665 であり、これはこの機体の所有者,登録国が変ってもずっと付いて回ります。

※ 24070 が Construction Number (所謂“製造番号”)で、1665 は Line Number (製造ラインの番号)を示しています。

当該機は初飛行が1989年1月11日で、機齢は間もなく18年になろうとしていた機体ですから、2003年末にジャカルタをベースに運航を開始したアダム・エアとしては、当然ですが中古機として当該機をフリートに加えたことになります。

“製造番号”24070/1665 の Boeing737-4Q8 は、Q8 の Customer Code が示すように、ボーイング社からは ILFC: International Lease Finance Corporation という米国のロサンゼルスに本社を置く世界的な航空機リース会社を顧客として製造・販売されました。

その後、24070/1665 は

 G-BNNL の登録記号を付け、英国の Dan-Air に1989年1月26日リースされました。

Dan-Air は1992年 British Airways に吸収合併されたので、24070/1665 は1992年11月より、

 同じ英国籍を示す G-BNNL の登録記号のまま、British Airways (1995年3月からは GB Airways で)で飛び続けました。

2001年4月からは、同じ登録記号のまま、イタリアの National Jet Italia に1年弱ご奉公しました。

2002年、24070/1665 は

 N112TR の登録記号を付け、米国の WFBN: Wells Fargo Bank Northwest に約1週間、籍をおいた後、同年3月からは、
 EI-CXH の登録記号を付け、イタリアの Air One で飛びました。

同年の12月20日、24070/1665 は

 YU-AOO の登録記号を付け、ユーゴスラビアの JAT - Yugoslav Airlines にリースされ、そこで2005年10までの約3年間を過ごしまします。

そして、2005年12月1日から

 PK-KKW として Adam Air のフリートに加わったのでした。
Comment ( 0 ) | Trackback ( 0 )

KI574/01JAN SUBMDC (update)

 何故か航空機事故が起こるとアクセス数が伸びる愚ブログであります。

この頑固・偏屈オヤジには航空機事故を取り上げて、悪戯に不安を煽る意図は毛頭ありませんので、その点はご理解願います。

一瞬にして多くの尊い命を奪う航空機事故は根絶出来れば理想なのですが、現実はそう甘くありません。もともと翼を与えられなかった人間が空を飛ぶこと自体、自然の摂理に背いている訳で、パイロットの皆さんは「自分が大空の侵略者である」という厳しい現実もちゃんと理解なさっている筈です。

現在でも“事故発生率”からすると、航空機は他の交通機関に比べてはるかに低く安全な乗り物であります。
が、それは日夜、安全運航に努力されている関係者の方々があってのことであり、かつ、事故発生を防止するための技術開発やシステマティックな研究が日々行なわれ航空界は進歩しています。

それでも現実問題として事故は起こる。
その事実を真摯に受け止め、類似事故の防止や更なる安全性向上のためとの観点から“航空機事故”に関する投稿をしている次第です。

さて、どうやら情報が錯綜しており、未だ機体は発見されていないようですね。

小生が信頼している情報源である「 AviationSafetyNetwork 」が Preliminary を発表しましたのでご紹介しておきます。

ASN Aircraft accident description Boeing 737-4Q8 PK-KKW - ?
Status:Preliminary
Date:01 JAN 2007
Type:Boeing 737-4Q8
Operator:AdamAir
Registration: PK-KKW
C/n / msn: 24070/1665
First flight: 1989-01-11
Engines: 2 CFMI CFM56-3C1
Crew:Fatalities: / Occupants: 6
Passengers:Fatalities: / Occupants: 96
Total:Fatalities: / Occupants: 102
Airplane damage: Written off
Location:? (Indonesia)
Phase: En route
Nature:Domestic Scheduled Passenger
Departure airport:Surabaya-Juanda Airport (SUB/WARR), Indonesia
Destination airport:Manado-Sam Ratulangi Airport (MDC/WAMM), Indonesia
Flightnumber:574
Narrative:
The Adamair flight went missing during a domestic flight to Manado. Last contact was at 14:07 when the flight was enroute at FL350. Initial reports that the wreckage was found (with 12 survivors) was later denied by officials.
Sources:Confusion over missing Indonesian airplane
(Int. Herald Tribune, January 2, 2007)



102人乗り旅客機が消息絶つ 墜落か インドネシア(朝日新聞) - goo ニュース
インドネシアの格安航空アダム航空のボーイング737―400型機が1日午後、スラウェシ島上空で遭難信号を出した後、消息を絶った。国軍は2日朝、上空を捜索した空軍機からの情報として、事故機を発見した、と発表した。しかし同日夜、ハッタ運輸相が会見し、国軍の情報は誤りで、アダム航空機の行方は依然として不明だ、と述べた。国軍の報道官も同夜、朝日新聞に対し、墜落した可能性がきわめて高いが、墜落地点はまだ分からない、とした。

 事故機には、乳幼児11人を含む乗客96人と乗員6人の計102人が乗っていた。

 在スラバヤ日本総領事館によると、事故機の搭乗者名簿に日本人らしい名前はないという。またアダム航空の当局者は1日夜、朝日新聞ジャカルタ支局の取材に対し、「乗客のうち3人は外国人とみられるが、日本人はいないようだ」と話した。この3人は米国人とみられ、在ジャカルタ米国大使館では身元の確認を急いでいる。

 事故機は、ジャカルタをたち、ジャワ島東部スラバヤを経由し、スラウェシ島北部マナドに向かっていた。ハッタ運輸相は地元ラジオの取材に対し、同機はスラバヤ空港を午後1時(日本時間同3時)に離陸し、1時間後にスラウェシ島中部マムジャの3万5000フィート(約1万メートル)上空で最後の交信をした後、行方が分からなくなった、と述べた。当時、インドネシアの上空はほぼ全土にわたり、天候が悪い状態だったという。

 東西5000キロにわたる島国のインドネシアでは、大きな航空需要が見込めるため、格安航空会社が相次いで設立されている。現国会議長のアグン・ラクソノ氏らが立ち上げたアダム航空も03年12月に就航後、格安航空人気の追い風を受け、路線を拡大しており、06年からシンガポールへの乗り入れも始めた。一方で、格安航空による事故も相次いでいる。

 05年9月にはマンダラ航空機がスマトラ島メダン空港で離陸に失敗、140人以上が死亡したほか、最大手のライオン航空も先月下旬、スラウェシ島マカッサル空港でオーバーランする事故を起こしたばかり。

 アダム航空も昨年2月、ジャカルタからマカッサルに向かったボーイング737―300型機が計器の故障から地上との交信ができなくなり、上空を迷走した後、バリ島東方のスンバ島に緊急着陸している。

2007年1月2日(火)22:16
Comment ( 0 ) | Trackback ( 0 )