「コウモリソウ」とはよく名付けたものです。三角形の葉はまさしくコウモリのよう。これから咲く花は意外に小さく目立ちませんが、この時期は、形に特徴のある大きな葉が瑞々しく、群生するので園路沿いでひときわ目を引きます。写真は明神池からの右岸遊歩道です。まるで足元にコウモリが乱舞しているようです。
最近は傘を持っての散策が多く、傘をさしているとなかなか、上を向くということが少なくなると思いますが、上を見上げてみると、白い花が木の幹から!?咲いているのを見ることができます。これはツルアジサイというツル性の木本の花です。わたしたちが普段目にしているアジサイというのは、目の高さと同じくらいの低木のアジサイが多いと思いますが、上高地で咲いているアジサイは、幹や枝から気根をだして、木や岩をはい登り、上へ上へと伸びていきます。
森の中を歩いているとき、服や黄色の持ち物に、黄色と黒の縞模様をまとった昆虫が近づいてきた、というような経験をしたことはありませんか?近づいてきたのはハナアブの仲間。彼らは、噛みつきも刺しもしない昆虫です。ある研究によれば、ハナアブは生まれつき黄色い物体に口吻を伸ばす習性があるといいます。シナノオトギリの花粉を、先が広がった口で器用になめとっているのが分かりますよね。黄色は花粉の色としては最も多く採用されている色。この色をせっせと見つけては口吻を伸ばすハナアブ、その行動は彼らにとっ食料調達最短の方法なのです。
周囲が湿原になっている田代池付近では、「カッコー、カッコー」と、森の中からカッコウのさえずりが聞こえてきます。声はよくとおる大きな声なのですが、姿はなかなか見付けられません。辛抱強く探してみると「いました!」、高木の枝にとまって鳴いています。植物の葉が生い茂るこの季節は、どうしても野鳥の姿が見えにくくなりますが、根気よく観察すればきっと見付かりますよ。