井財野は今

昔、ベルギーにウジェーヌ・イザイというヴァイオリニスト作曲家がいました。(英語読みでユージン・イザイ)それが語源です。

九州の皆さん、クラシック音楽は好きですか?

2013-03-27 21:31:10 | 音楽

芸大附属高校の邦楽の演奏をDVDで見る機会があった。箏と三味線と小鼓の合奏である。高校生といえども、ヤ声(ヨウ)とハ声(ホウ)をかけながら演じるので、私のような門外漢には立派な演奏に聞こえる。

しかし、この類のものを聴いた時、いつも思うのは、

「これは音楽だろうか」

ということ。

いや、音楽であることは間違いない。正確には「鑑賞するための音楽だろうか」ということ。

いや、鑑賞している人はいるだろう。いるはずだ。その人たちのために、国は高校生にも教育を施し、人材育成に努めている・・・のだろうか。

いや、伝統的な文化だから、聞く人がいようがいまいが継承者を育成する義務が国にはある、ということだろうか。

正直言って、我が国の古い音楽のことはあまり好きでもないので関心があろうはずもなく、それに比べて西洋発祥の音楽は素晴らしい、と(邦楽を聞きながらであれ)ひたすら思うのみである。

もちろんあくまでも大雑把な言い方で、我が国の民謡のは大変好きな歌もあるし、西洋発祥の音楽にも好き嫌いはある。

西洋発祥の音楽でも、とりわけクラシック音楽が私は好きになってしまい、職業にまでしてしまった訳だが、この「クラシック音楽」に限定してしまうと、一般にはそれほど愛好者が多いとは言えないだろう。

さて私の住む福岡、ひいては九州は、やはりクラシック音楽人口が少ないのではないか、と20年以上前に同じ九州人同士で話したことがあった。

ところで、本州の人間から見ると、同じように見える地方都市の福岡と札幌、クラシック音楽の受容状況でみれば、実はかなり違う。九州人からすると悲しいくらい違うので、ここでは何も触れずにおく。興味のある方は「九州交響楽団」と「札幌交響楽団」を、それぞれインターネットで検索していただきたい。挙がってくる記事の種類で、両者の環境が大分違うことがお分かりいただけるだろう。

この、北海道と九州の違いを、私は長年歴史の違いと認識していた。北海道は(アイヌの歴史を無視すれば)明治以降の新天地、一方九州は2000年以上の歴史を良くも悪くも引きずっているから、西洋のものを素直に受けいれる素地がない、と。

一見正しそう。しかし、この説は別の現実で覆される。

福岡で箏曲の合奏をされている方々がいらっしゃる。その方たちが演奏会を開く時、集客に大変苦労されている。そして演奏曲目にも。

古典曲などやろうものなら、誰も知らない中での演奏になってしまう。確かに、私も「五段砧」という題名は知っていても、中身はさっぱり覚えていないし、「六段」も知っているのは自慢ではないが冒頭だけ。前述の通り、私は日本の古い音楽にはあまり興味が無いのである。

箏曲合奏で一番喜ばれる曲は、驚くなかれ、

アイネ・クライネ・ナハトムジーク(by Mozart)

現実には、邦楽よりクラシック音楽の方が、かなり優位に立っているのだ。

古い歴史を引きずっていると言っても、その昔キリシタン大名も多くいたことなど考え合わせると、先ほどの説も大した説得力を持たなくなる。

九州の皆さん、一体何がお好きなのでしょうか?


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
九州と北海道の比較は、なかなか興味深いものがご... (kawailaw)
2013-04-03 03:51:09
九州と北海道の比較は、なかなか興味深いものがございます。
私の出身地の諫早は六段発祥の地なのだそうで。大きな石碑が建っています。長崎はギターのメッカなのだそうでクラッシックギターの業界では長崎は一目置かれているらしいです。近頃は大村にもプロオケが出来たらしく、私の娘が諫早にいたときはその大村のオケのビオリストさんにヴァイオリン、習っていたことがありましたが、大村室内もなかなか立派なオケだと噂を聴きます。いずれも手前味噌な話で恐縮ですが。
クラッシック音楽にしても邦楽にしても、娯楽の種類が圧倒的に増えた今日ではシェアが落ちてしまうのはやむを得ないのですかね。北海道以外にも、例えば金沢には立派なオケがありますし、富山には桐朋の大学院大学があります。昔ハルビンには立派なオケがあって故朝比奈先生が活躍されていたとか。ロシアもクラッシック音楽は盛んですよね。
寒い地にクラッシック音楽を大切にする文化が根付くというのは、音楽への愛好性と気候との間の関連性を想起させます。考え過ぎですかねえ。
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寒い土地とクラシック音楽の関係は昔からよく論じ... (井財野)
2013-04-05 23:32:14
寒い土地とクラシック音楽の関係は昔からよく論じられていたことで、考えすぎなどということは全くありません。冬場のドイツなど、暗くて寒くて・・・そのようなところにある「音楽」のありがたみ、やはりこういうところで発達するのだなぁ、という実感を持つ人は多いと思います。
暑い国は、やはりガムランとかサンバとかが似あいますかね。
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