何でも忘れられた曲を積極的に掘り起こして演奏しているとのこと。リハーサルの詳しい様子やインタビューなどは、あまり見れなかったが、肝心のタネーエフは全部聴けた。楽譜には第一交響曲と印刷されている「交響曲第4番」、一応タネーエフの代表作とされている。
最初に聞いて「おっ、これはカリンニコフよりいいかも・・・」と一旦は思った。しかし、楽章を追うごとに段々印象は薄まっていった。やはり埋もれていくだけのことはあるのではないか、とどうしても思ってしまう。
大阪交響楽団は、このような珍しい曲や埋もれてしまった曲を積極的にシリーズで取り上げている。聴衆も結構はいっているようだ。このような曲を聴いてみたい気持ちは筆者にもある。
一方で、聞き終わって「ああ良かった」とあまり思えなかったのも事実。これが毎回続くのは、もはや学問をしにいくのと同じ境地、学会に参加する気分、少なくとも楽しみで行く方向からは随分離れてしまうような気がする。
演奏が良ければ、少なくともつまらないということはないだろう、という今までの筆者の考え方も修正を余儀なくされた。というのも大阪交響楽団、発足の頃とは全然違って、かなりハイレベルの演奏だったのである。昔は、音楽上の「大阪弁」が聞こえたものだが、今は影も形もない、立派な「共通語」で語っていた。
名曲だけではなく珍しい曲も聞きたいし、だからと言ってつまらない曲は聴きたくないし、でも聞いてみないと面白いかつまらないかわからないし、何が良いやり方なのか筆者にもわからない、ということに気づかされた時間だった。(それからすると「龍馬伝」は面白かったよ。)