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井財野は今

昔、ベルギーにウジェーヌ・イザイというヴァイオリニスト作曲家がいました。(英語読みでユージン・イザイ)それが語源です。

「大志の歌」から「1. 蝦蟇の歌」

2012-02-26 21:48:32 | 井財野作品

以前にも紹介した「大志の歌」、いよいよ来る3月4日、初演の日を迎える。

場所は福岡県粕屋町立「サンレイクかすや さくらホール」。都合のつく方は、ぜひご来場いただきたい。開演は14時。

以下、プログラムに載せる解説文である。

 画家で詩人の安野光雅の作品に「大志の歌 /童話の学校 校歌・寮歌」というのがあります。その「まえがき」によると,落語の「がまの油」を聴いているうちに「あ、あたしゃあがまだ、がまなんだ」と思うようになり、「がまでも学校に通う方がいい、そこで勉強して蝦蟇高等学校に受かりました。そこには校歌があるはずだ、無い?ないのか、無ければ作ろうと、空想はそれからそれへと転んでいくのでした。」とあります。

 そのようにしてできあがった34の模擬的校歌・寮歌集が「大志の歌」です。そして、実際には校歌と言うにはあまりにも変化に富んだ、ストーリー性のあるものが多く、そこがこの詩集を面白くしている一因でしょう。

 「後日何らかの方法で曲も聞いていただく機会があればいいなと思っています」と書いてあったのを真に受けて、井財野友人は安野先生に郵便で直談判しました。

 「実は先約があります」との返事にやや落胆しましたが、先約者の曲もなかなかできていない実態もあり「この5曲に限って許可します」とのお返事をいただいたのでした。(その先約者が森ミドリさんだと後でわかり、また冷や汗が出ました。森ミドリさんは昭和50年代NHKニュースセンター9時のキャスターで一躍国民的に有名になった作曲家です。)

 実に人間くさい様々な動物(あるいはそれ以外)の生きざまを、少しでも音楽として伝えられたら、と思います。

1. 茨城県筑波山村私立 蝦蟇高等学校 校歌「蝦蟇の歌」

 校歌というのは、情感たっぷりに歌うようにはできていないのが普通です。ニュートラルな言葉にニュートラルな旋律、ひょっとしたら隣の学校の校歌にも使えるのではないか、と思えそうなものが大半を占めているでしょう。

 この曲も最初はそれを踏襲して、あたりさわりなく始まります。これが段々そうでもなくなってくるところにご注目下さい。

 音楽としては (典型的な校歌と同様に) 言葉の内容にはほとんど関係なくシニカルに、たまにはオーバーに進んでいきます。

「蝦蟇の歌」の練習風景


トリプティーク・ナハ、再演

2012-02-04 22:36:05 | 井財野作品

先月17日、北九州市戸畑区のウェルとばたにて開かれた「アンサンブル・シュヴィユ」演奏会で、拙作「トリプティーク・ナハ」が再演された。

前回の下関公演からの熟成期間を経ての演奏だったので、ぐっと安定した演奏を聞かせてもらえた。改めてアンサンブルの皆さんに、この場を借りてお礼申し上げたい。

第1楽章「久米」

第2楽章「首里」

第3楽章「牧志」

自作自演盤もよろしく。

琉球頌 琉球頌
価格:¥ 2,700(税込)
発売日:2006-10-18

井財野友人 : Beguine for Beginner

2011-12-31 00:21:33 | 井財野作品

「ビギン・ザ・ビギンBegin the Beguine」というコール・ポーターの名曲がある。生まれる前にはやっていたらしい、と思っていたら、現代(?!)に見事蘇らせたスターがいた。フリオ・イグレシアス。

その年の紅白歌合戦では、松田聖子も郷ひろみも村田英雄も三波春夫も一緒に歌ったくらい、大はやりだったので、完全に日本人にも定着したと思いこんでいた。

それから、いつの間にか三十年弱が経過している。今から考えると、フリオ・イグレシアスも一発屋歌手だったんだなあ。でもそれで巨万の富を稼いだそうなので羨ましい限り。

時が経ち、また「ビギン・ザ・ビギン」には解説が必要になり、この曲は、それのパロディだというのにも説明がいる時代になってしまった。パロディは説明してしまうと面白くないのですよ、やれやれ。

もっとも、クラシック音楽には、その状況が宿命的に存在する。バッハは、みんながわかるように、みんなが知っている「コラール」を挿入して受難曲をわかりやすいものにしたはずだった。しかし、例えば現代の日本人にはコラールなんて全く知らない曲だから、説明が必要。皮肉にも、さらに難解な受難曲になってしまった、というように。

「ビギン・ザ・ビギン」を「ビギンを始めよう」と訳してしまうと、何のために韻をふんでいるのやら、ということになる。この曲も同じで「初心者のためのビギン」では面白くない。本当は「ビギン・フォー・ビギン」としたいくらいだが、それでは意味が通らないので、「ビギン・フォー・ビギナー」で我慢したのである。

もともと1990年に開いた「リサイタルA」のアンコール用に作った曲なので、私としてはシメを飾る扱いにしてしまうことが多い。「アプレシオ」のステージも、アンサンブルのコーナーの最後に置かれた曲。

本当は、この倍の長さがあるのだが、それだと発表会には長いので、今回のために後半部分を切り取って作り直したものである。

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原曲は安田女子大学のプロデュースでCD録音されている。(MRCL-1002)

アプレシオ版の楽譜の問い合わせはアプレシオ・アラ・ムジカ音楽スタジオまで。

さて、今年の記事はこれで最後である。

今年の日本は大変だった。いい年だったとはお世辞にも言えない。多分明治維新や第二次大戦に匹敵する歴史的転換の年になるのだろう。

ただ、世界的にはヨーロッパの金融危機の問題の方が大きいことになっている。そして大変なのは欧米であって、アジアとアフリカは実は堅調らしい。

だから我々日本人は、今すばらしい成長をとげている地域と共に歩むことを考えるべきだろう。(マスコミも欧米の悲惨な報道だけでなく、元気なアジアの姿を報道してほしいものだ。)

震災そのものは途轍もない惨事だったが、お陰で日本人の心が一つにまとまりだした。そのまとまったことで生じたパワーが、来年の日本を大きく良い方向に変えていくことを期待したいし、自分もその流れに力を尽くすことができるようにがんばりたいと思う。

ブログ開設から現在までの累積、212,881件のアクセス、ご愛読ありがとうございました。


大志の歌

2011-09-15 23:38:25 | 井財野作品

画家で詩人の安野光雅氏による詩集のタイトルである。内容は校歌・寮歌のパロディと言えば良いだろうか。様々な架空の学校が登場し、そこの校歌や寮歌はこんな感じ、という具合に作られている。

筆者の好みにぴったりだったので、これにはぜひ曲をつけて、さらに本物の校歌らしくしたいと思った。

筆者が選んだ歌は、以下の5曲。

・蝦蟇の歌

・注文の多い料理店

・仙波山寺

・さんごの宮

・サバダッテバ

それで出版社を通して安野先生に連絡をとったのである。

しばらくして返ってきた回答が、以下の通り。

あのうたには、先約があります。

作曲については先約の人と相談しますが(中略)、ともかく今回お申し越しの歌詞に限り、了解します。

あぁ良かった・・・が、

「注文の多い料理店」「仙波山寺」「さんごの宮」については、すぐにわかりません。私のうたかどうか、不安です。この点を改めて教えてください。

いやぁ、大作家というのはすごいな。昔、シューベルトが自分の作った歌を聞いて「いい歌だね、誰が作ったのかな?」と言ったことがあると聞いていたけれど、まさにそれと同じだ。

とりあえず、お礼の手紙をしたためると、またお返事がきた。その中に・・・

「さんごの宮」とか「仙波山寺」など、名前がきれいなので、私がかいたものとは思わなかったという、恥ずかしいゴカイによるものです。

やはりシューベルトと同じだ! とにもかくにも許可が下りた訳で、めでたく作曲にとりかかったのであった。

それから発表するのにしばらく時間が必要だったのだが、来年 (2012年) の3月4日、混声合唱団トニカの定期演奏会で発表できる運びとなった。

そしてプログラミングが進むのだが、紆余曲折を経て、「大志の歌」の後には信長貴富作曲の「スピリチュアルズ」が演奏されることになった。

組曲「大志の歌」の最後に配していたのは「サバダッテバ」。これは鯖が「サバダバダ」と歌う内容。だからジャズ風の曲にしてある。

一方「スピリチュアルズ」は黒人霊歌のスピリチュアルの発展形と言えば良いだろうか、本番では打楽器も導入して、思いっきり「ジャズ」になる予定だ。

この「思いっきりジャズ」の前に「ジャズもどき」なんて、とても恥ずかしくて発表なんかできない。何かに差し替えなくては、と思うものの、「大志の歌」の中で一番フィナーレにふさわしいと思って選んだのが「サバダッテバ」なのだ。そうそう簡単に代わりはみつからない。

何カ月も逡巡した挙句に選んだのが「おやゆび姫」。これはバラードになっている。

また、恐る恐る安野先生に打診のはがきを出しんた。すると、

おやゆびひめ

かいてマシタカネ?

アッタラ

どうぞ

やって下さい

安の

というはがきが来た。安野先生の絵が印刷されている絵ハガキだ。絵は大変叙情的でわかりやすいのだが、文面を解読するのは、なかなか大変。漢字とひらがなとカタカナが混じり、縦書きと横書きが混じったこともあった。上記の文は、たぶんこう書いてある、というもので、正確なところはやや自信がない。「さっきの手紙のご用事なあに」とも訊けないしな・・・。

いやぁ、芸術的だなぁと、ひたすら感動しながら、毎日眺めて過ごしていたら、次のお葉書が・・・。

いい曲になります様

ねがっております。

ア、返事出したかな?

まずい、ひたすら感心ばかりしていて、お礼の返事を出すのを忘れていた。慌てて返信したところだが、ついつい文面の確認をしてしまいそうで・・・。これじゃ本当に「やぎさんゆうびん」になってしまうよ。

という次第で、現在「おやゆび姫」を作曲中。来年、福岡県粕屋郡にある「サンレイクかすや」での発表となる。都合よろしければ、ぜひお越しいただきたい。

ついでに「やぎさんゆうびん」も来る9月19日、佐世保市民会館で演奏する。こちらもよろしくお願いします。



春の音楽展2011 in 北九州

2011-04-14 00:04:04 | 井財野作品
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 去る3月27日(日)、北九州市で「春の音楽展2011 in 北九州」が開催された。久しぶりの北九州開催(小倉北区ムーブホール)、しかし今回は子供のためのピアノ作品という初の企画である。北九州市とその周辺地区在住の子供たち、総勢40名ほどにより、8会員の作品が演奏された。独奏と連弾が交互に配置されたプログラムに従い、幼稚園児から大学生にまで至る子供たちにより、まさに初々しい演奏が展開された。

 今回の演奏者は、ほぼ全員「北九州バスティン研究会」というピアノ指導者の集まりに所属する先生方の生徒さんになる。この先生方には子供たちの指導だけではなく、演奏会の運営にも携わっていただき、この協力なしでは成立しなかった。ここで改めて謝辞を述べたい。

 また特筆大書すべきは、事前に2回開かれた、会員による作品講習会である。作曲者から直接、指導を受けられるとあって、子供たちにとっても指導者にとっても貴重な機会となり、また作曲家協会としても格好のアピールができたのは大いなるメリットであった。

 講習会の様子は本番会場のロビーにも子供たちのメッセージと共に展示されたが、この講習会こそが今回最大の評価を得たと言ってよいだろう。ぜひ来年もとの呼び声が高かった。

 好評のうちに終了した春の音楽展、だが反省点も少なからずある。最大の問題は、主催である作曲家協会の存在感が運営面で希薄であること。福岡で開催すると、なぜか会員が「ゲスト化」してしまう状態が、かなり昔から続いている。会員数が少ないので止むを得ないところもあるのだが、改善の努力が必要であろう。