前代未聞!「日米首脳会談」延期の真相 /楽天、SBI、竹中平蔵を注視/ 「過度な中国シフト」を懸念
「総理、4月9日でセットされました」
国家安全保障会議(NSC)に「首相訪米のためのチーム」を設け、異例の体制で臨んだ日米首脳会談の実現。この吉報を耳にした菅義偉首相は感極まって叫んだ。
「よし、日本が一番か!」
菅の大のお気に入りの首相秘書官、高羽陽(外務省出身)は「イギリスよりも早く会談できたのは、まぎれもなく総理のお力、歴史の残る功績です」と褒め称えたが、これを耳にした同僚の秘書官から深いため息が漏れた。
3月7日の緊急事態宣言解除後、新型コロナの感染拡大が続き、「第4波」の真っただ中でのバイデン大統領と初対面の首脳会談となる。小説家の平野啓一郎は「オンラインでいいだろ」とすかさずツイートしたことに、世間の冷たい空気が読み取れた。
「せめてバイデンと桜を観たい!」
外務省幹部はコロナ禍における外遊の難しさに加え、別の理由でも表情を曇らせる。
4月に入り総理訪米の1週間前になっても、首脳会談のテーマや共同文書の内容が驚くほど固まらなかったからだ。
菅が強く求めていたバイデンとの夕食会の有無や、賓客をもてなすブレアハウスでの宿泊の可否、滞在日程すらも米政権は返答を保留したままだった。
結局、夕食会はハリス副大統領と行われる見通しで、宿泊先はウィラード・インターコンチネンタルホテルとなった。
菅の頭の中には、オバマと広島を訪問したり、トランプとゴルフに興じたり、メラニア夫人の誕生会に招待されたり、抜きんでた外交力を発揮した安倍晋三前首相の姿があった。
「せめてワシントンでバイデン大統領と桜を観たい!」と、菅は食い下がったが、米政権は却下した。外遊に際しロジスティクスばかりこだわる菅だが、バイデン政権の関心は、そこにはなかった。
外務省幹部は重い口を開く。
「正直なところ、今回の日米首脳会談はタマがない。尖閣諸島を巡る日米安保第5条適用は、オバマ時代から何度も確認しているので、新しい実績にならない。ところが官邸からは『もしもメンツを潰すようなことになったら、外務省の責任を問う』とすさまじい圧力がかる。安倍政権時代には、外務省のお株を奪うような新しい提案が降ってきた。従来の思考を超える内容が多かったため、当時は反発したが、今になって振り返ると、機略に富んでいた。首脳会談のたびに総理の発言が注目されたことで事務方の交渉がしやすくなった面もあった。最近は海外メディアで日本が取り上げられることは皆無。『築城十年落城一日』とはまさにこのことだろう」
延期の理由がわからない菅官邸
そして外務省の不安は的中した。日本時間の4月2日の朝、米国務省から外務省に「1週間延期し、首脳会談は4月16日に行う」と一方的な通告が届き、官房長官の加藤勝信は、同日の記者会見で、延期の発表に追い込まれた。
そもそも同盟国の首脳会談というのは、1か月近く前には日程や行事などロジが固まっているものだ。ぎりぎりまで交渉が続くのは、共同文書の細かい表現ぐらい。首脳会談の日程自体が、直前に延期されるのは前代未聞の出来事だった。
延期を予想していなかった官邸は「9日首脳会談」の日程に合わせてテレビ東京やフジテレビ、日本テレビに対して、お膳立てとしての首相インタビューを行うよう要請。その結果、総理が3月31日にワールド・ビジネス・サテライト、4月4日にフジテレビ、4月6日にBS日テレに立て続けに出演。例によってキャスターは、厳しい質問をぶつけない顔ぶれだった。
スタジオで菅は「バイデン大統領にお土産を用意しました。内緒ですが」と、得意げに笑って見せた。通常「土産」と言えば、首脳会談で持ち出すタマを指すが、菅は文字通り「持参する土産」のことを語っていた。
しかも、アメリカが異例の延期を通告してきた理由を「首相官邸はよく理解していない」(外務省幹部)というから驚くばかりだ。
「台湾への脅威は今後6年以内」
「台湾有事」に懸念を深めるバイデン政権(写真はホワイトハウスのHPより)
米政権はコロナ対策や国務次官補代行のソン・キムが多忙であること、インド太平洋調整官のカート・キャンベルの調整不足を挙げるが、表向きの理由に過ぎない。内実はずっと深刻だ。先の幹部が打ち明ける。
「バイデン政権がイギリス、カナダを差し置いて一番に日本を呼びつけた理由を、官邸はあまりわかっていません。米政府もそこに懸念を抱いているようです」
バイデン大統領にとって初の対面による首脳会談、その前触れとして日米外務・閣僚級協議2+2が迅速に開催(3月16日)された背景には、紛れもなく「中国」の脅威があった。即ち、米国が懸念を深める「台湾有事」に、菅政権が何ら対策を示さないため、バイデン政権は世界へのメッセージとして「アジアシフト」を鮮明にしたわけだ。
ここ最近、中国による台湾挑発行為は激化しており、台湾南西部の防空識別圏への侵犯は日常化し、アメリカは空母「セオドアルーズベルト」を南アジアに展開し、緊迫度が増している。
これを受けて、米インド太平洋軍のデービットソン司令官は3月9日の議会で「台湾への脅威は今後6年以内に明白になる」と証言した。
2027年は中国人民解放軍の建軍百周年の佳節に当たり、この年が分水嶺になると指摘したのである。また習近平国家主席は、2期10年の任期を延長し、終身国家主席をめざしている。毛沢東がチベットを、鄧小平が香港を手中に収め、胡錦涛もロシアとの国境線確定を行った。習にとっての台湾進攻は、先人に勝るとも劣らぬレガシーになる。
図上演習で中国に日米同盟が完敗
アメリカは年々軍事力を増強している中国軍を警戒している。現在、米インド太平洋軍は主力戦闘機250、哨戒機10、空母1、主力戦闘艦艇12、主力潜水艦10という体制。これが25年より前に増強される見通しはない。
一方、中国軍は現在でも主力戦闘機1250、哨戒機15、空母2、主力戦闘艦艇が60、主力潜水艦56を持ち、25年には主力戦闘機1950、主力戦闘艦艇108、主力潜水艦64に増強される見通しだ。米軍は中国軍に引き離される一方である。
さらに驚くべき事実がある。米中両軍がアジアで戦った場合を想定した図上演習を、米軍が極秘裏に行ったところ、台湾海峡を巡る想定ではここ数年、日米が中国に完敗しており、日本政府が極秘で行った図上演習でも中国に完敗している。
実際、中国は地上配備型の中距離ミサイルを2千発近く配備しているのに対し、自衛隊と米インド太平洋軍の同型ミサイルはなんと0である。
今年1月、中国は長距離の地対艦ミサイルの発射実験を行い、船を沈めてみせた。空母キラーは明らかな米太平洋艦隊へのメッセージ(挑発)でもある。
米国の軍艦が世界からアジアに結集する前に戦争を終結させるのが中国軍の作戦であり、米軍は戦略上、同盟国日本との協力が不可欠だ。かかる深刻な脅威に晒されているのに日本の防衛費はGDP=国内総生産の1%。米政権からすれば、あり得ない状況だ。
さらにこうした事態を憂慮した安倍が昨年8月、退陣前に申し送った「敵基地攻撃能力の検討」を、菅は一切議論することなく、棚上げした。米政権はこの件についても水面下で日本側に警告を発してきたが、菅政権から具体的な対応は「ノー・レスポンス」だった。
「G7サミット」菅だけ発言なし
G7で菅首相に発言機会を与えなかったジョンソン英首相(写真は英首相官邸HPより)
2月19日、イギリスが議長を務めるオンライン形式のG7サミットが開催された。菅の発言部分については、外務省が新型コロナや安全保障など、漏れなく応答要領を準備して臨んだ。
ところが議長のジョンソン首相が、会議も後半にさしかかったところで「せっかくだから腹をわってフリートークにしよう」と提案。結局、菅には応答要領を読む機会が与えられず「日本としての発信」は無くなった。当然ながら海外メディアは、日本を除く6か国の発言のみを報じた。
バイデン大統領と米国務省は、この会議の模様をつぶさに見ていた。米国務省高官が語る。
「以前は、毎日何かしら欧米のメディアが『アベが……』と報じていたが、最近は『日本』という文字すら見なくなってしまった。まるで違う国のようだ」
小泉が進言「脱炭素社会の実現」
「安全保障より脱炭素社会」を訴える小泉進次郎環境相
アメリカが危惧しているのは菅の発信不足だけではない。「過度な中国シフト」である。
菅は安倍が構築した日米豪印の枠組みについて「アジア版NATOにしてはならない」と発言。またASEANとのオンライン会議の後、記者団に対し、FOIP(Free and Open Indo- Pacific Strategy)について「自由で開かれたインド太平洋」と言うべきところを「平和で繁栄したインド太平洋」と発言。そもそも日本が打ち出した基本戦略を、自ら変更するような間違ったメッセージを発してしまった。
さらに菅は、米政権からの安全保障に関する水面下のメッセージに応える様子も見せない。日米首脳会談では、環境相の小泉進次郎の進言に従い、脱炭素社会の実現を打ち出す考えを周辺に強調している。
菅が「野心的な脱炭素社会に向けた数値を出したい」と言っていることを聞きつけた茂木敏充外相や岸信夫防衛相、北村滋国家安全保障局長は「アメリカの関心事はアジアの安全保障。まずは安全保障を議題にすべきです」と進言した。
しかし菅は耳を貸さず、重用する小泉が「ケリー大統領特使(気候変動問題担当)が中国を訪問する際には、日本に寄ってもらいます。その時には総理も是非会って下さい。日米首脳会談でも環境問題をメインテーマにすべきです」と訴え続けているという。
そんな小泉をマツコ・デラックスが皮肉を込めてテレビで批判した。「大っ嫌い。私たちに何をしてくれたっていうの?あのガキが。みんな、だまされるんじゃないわよ!」と。
結局、ケリーの中国訪問が菅の訪米より優先されたことは、何とも皮肉な結末である。
和泉首相補佐官の「隠し玉」に注目
実はアメリカの懸念材料は、これにとどまらない。菅の周囲にも神経を尖らせ、楽天の三木谷浩史会長兼社長、SBIホールディングスの北尾吉孝社長CEO、竹中平蔵パソナグループ会長らの取り巻きを注視している。
三木谷は日本郵政との資本・業務提携に当たり、中国のIT大手、テンセントの子会社から出資を受け、問題視されている。SBIの北尾は平安保険グループと共同で地域金融機関向けにフィンテックを使ったシステムを提供する合弁企業を立ち上げ、竹中はかつて現職の閣僚に「アリババへの視察」を強く求め、実現に漕ぎつけた経緯がある。
初の日米首脳会談では、インド太平洋における5Gやエネルギー施設などのインフラ構築で協力を打ち出すことも予定されている。中でも米中が覇権争いを演ずる5Gの構築を共同で進めるプランを、首相補佐官の和泉洋人が「隠し球」として仕込んでいる。
しかし、その先には官邸が進める「スマートシティー」構想があり、同構想は北尾や竹中が主導しているため、結局、中国の影がつきまとうことになる。
バイデン政権が初対面の相手に菅を選んだのは「同盟国としての重要性」以上に、実は「重大な懸念」を内包していることを忘れてはならない。 (敬称略)
https://facta.co.jp/article/202104048.html?fbclid=IwAR3_9AxAojoZKXavtiuK3dwna5UpG5fdTrYj9YbFo8zOFAHzETkYlMdVGl0 ・・・私が意見を書いていたらブログが反映されなくなって・・・本日は貼り付けですが、重要なことばかりです。
今回、バイデン政権は菅総理との会談を12日の半導体協議の後に延期している。
ただでさえ、今の日本は中国よりだと判断されているのに、 いま、米政府が台湾半導体企業を中国と呼んでいる なかで、TSMCに資金を出すのか?
それをやると、「TSMCよりインテル誘致に金を出せ」とか言われて、また日本の半導体弱体化に拍車がかかる事態にならないだろうか。
【15分で分かる】 日本の半導体弱体化の歴史と背景。車載チップは何故足りない? VIDEO ★ 国会にて 山尾志保里議員の質疑(国民民主党)VS 茂木外務大臣
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