ベッラのブログ   soprano lirico spinto Bella Cantabile  ♪ ♫

時事問題を中心にブログを書く日々です。
イタリアオペラのソプラノで趣味は読書(歴女のハシクレ)です。日本が大好き。

最高のヴェルディソプラノ、ステッラの歌う「仮面舞踏会」

2011年08月25日 | オペラ
Antonietta Stella "Gitf Scene" Ballo in Maschera


アントニエッタ・ステッラは絶世の美女だった。

彼女の声はリリコ・スピント、重厚なオーケストラを十分に超える声量があり、演技力も気品に満ち、音楽と一致した所作はまるで名画のようだった。

しかし、彼女は常に指揮者とぶつかり、一切の妥協をせず、時にはヴィットリオ・グイのような大指揮者であっても・・・オペラスコアを投げつけ、当時練習指揮者だった岩城宏之氏を震え上がらせた。

マリア・カラスやレナータ・テバルディとほとんど同時代のソプラノで、大変スケールの大きな歌い手であった。
ヴェルディソプラノとして随一ではなかったかと思う。
この時の東京公演をご覧になったミー先生に伺うと、大変調子が悪い時であったという。
今、こうして聴くと、彼女のすべてがオペラそのもののようで、彼女が歌ったオペラはもはや他のソプラノでは満足できないようになってしまった。
もちろん、東京の声楽家、ミー先生も「ステッラ病」になってしまわれたとのこと。
ミー先生は今になってもお庭にチューリップを植えられたとき「アントニエッタ」と名付けられている。
ステッラはもう80を超えて演出の仕事をなさっているときいた。
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カップッチッリが歌うヴェルディ「仮面舞踏会」~お前こそ心を汚す者

2011年08月25日 | オペラ
Un ballo in maschera - Pavarotti - Cappuccilli - Alzati, Eri tu - PART 14


レナートが忠誠を尽くし、命をかけて護りぬいた国王グスターヴォは、自分の誠をうらぎり、彼の美しい妻を誘惑していたことを怒り悲しみ、歌うこのアリア、あまりにも見事な曲なので、次の幕で歌うグスターヴォ王のアリアがかすんでしまう、とまで言われた。
レナートの純情と悲しみ、怒りがあますところなく歌われ、魅了する。
カップッチッリの芸術を堪能したい。
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ヴェルディ「仮面舞踏会」より~カップッチッリ, アッバード指揮

2011年08月25日 | オペラ
Un ballo in maschera - Pavarotti - Cappuccilli - Siam soli - PART 15
・・・字幕はスペイン語だが歌はイタリア語。

カップッチッリを聴いて、そして観て、今までにない魅力を持ったバリトンだと思った。
輝かしい声を持ったバリトンは他にもいる。
しかし、カップッチッリの魅力は「漢」という呼び名がふさわしい。
私の友人のエリザベッタさまは、彼のことを「男カップッチッリ」と表現なさった。

いぶし銀の魅力、「史記」のヒーローのような渋さだ。
この「仮面舞踏会」のレナートは、国王を護り、また国王に忠誠を誓い、親友でもあった。
しかし、命にかけても護ると誠心誠意を尽くした彼に待っていたのは、美貌の妻アメーリアと国王の不倫の疑いであった。
彼の国王への忠誠は、にがい涙とともに、国王を討つことに一転する。

義を捧げ、命にかえても国王を護る忠臣中の忠臣、しかも親友でもあったのだ・・・。
これから先のストーリーは、国王がレナートに刺され、レナートの妻アメーリアは潔白で、かわらぬ友情を打ち明け、レナートは悔いの涙にくれるのだが・・・どうもこの結末がふに落ちない。

スウエーデン国王グスターヴォ暗殺事件、という史実をオペラに書いたヴェルディ、しかし、このオペラはこの史実をかえてアメリカのボストン知事の暗殺、と長いことストーリーを曲げて上演されていた。
このライヴは原作の通り、スウエーデン国王暗殺事件として上演されている。

カップッチッリは名歌手であり、また名優だった。
これほどの声を持ちながら、彼は「毎日がきちっと歌えるか不安だった」と、述べている。
音楽という時間的芸術は、明日また築きあげなばならない非情な厳しさである。
カップッチッリとのわずかな時間の会話がなつかしい・・・。
今は亡き名歌手、カップッチッリ、私は彼のステージに接することのできた幸せをかみしめる。
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一色正春さんとヒーローについて語ってきますた

2011年08月25日 | お知らせ
一色正春さんとヒーローについて語ってきますた


sengoku38氏、一色さん、昨年は本当にありがとうございました。
あなたの勇気ある行動が、日本の名誉を救いました。
ヒーローとは、ヒロイズムとは・・・素敵な言葉ですね。
今は、「他力本願」「誰かがやってくれる」という人が多い、そして安全地帯から人を見下して、自分は傷つかずものを言う。
そうしていることに、気がつかない人が多い。

思いきったことをした人は寡黙だ。

そして目立たないところで、国士として清廉で勇気ある行動をなさる方々のためにも祈りました。
あなたは義士です。勇気ある義挙に心から感謝しております。   
                                  ベッラ・カンタービレ
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ステッラ、ディ・ステファノ、グェルフイの歌うヴェルディ「アイーダ」第3幕フィナーレ

2011年08月25日 | オペラ
DI STEFANO, STELLA & G. GUELFI "Ma dimmi: per qual via" Aida


これは1950年代のスカラ・ライヴである。
当時最高のヴェルディソプラノ、アントニエッタ・ステッラのアイーダ、イタリア最高のテノールとしてデル・モナコと人気を二分したディ・ステファノ、そして大変な声の威力を誇る美声のバリトン、グエルフイ、今こうして聴いていると、オペラの人物がすぐ目の前にいるような錯覚を感じる。

アイーダは今はエジプト王女アムネリスに仕える奴隷だが、本当は敗戦国エチオピアの王女である。
エジプトの若き将軍ラダメスは、軍功をたて、ファラオから王女アムネリスと結婚して将来エジプトを二人で治めよ、と命じられるが、彼は奴隷のアイーダを愛していた。

敗戦国エチオピアの王、アモナスロは捕虜となったが、隙をみて打倒エジプトを狙っている。
ラダメスがアイーダを愛していることを見抜き、娘アイーダに「秘密の道」を聞きだすように命じるがアイーダは拒む。
アモナスロは「お前のために祖国は滅びる」と叱責、アイーダはラダメスに「秘密の道」を聴きだす。

動画の音楽はここから始まる。
名ソプラノのステッラ、秘密の道を聴きだす時の何と張り詰めた声、そしていらだちも感じる・・・そしてラダメスは「ナパタの谷」と答える。
物陰から突然、エチオピア王アモナスロがあらわれ、驚くラダメスに「私はアイーダの父であり、エチオピアの王だ」と身分を明かす。

「アモナスロ!あなたが王か!・・・ああ、私は何ということを言ったのだ!祖国を裏切ってしまった!、(アイーダに向かって)お前の為に祖国を裏切ったのだ」と絶望する。そこへ寺院にいたエジプト王女アムネリスが「裏切り者!」と叫び、エジプト最高の神官ランフィスが兵を差し向ける。とっさにアイーダを逃すラダメス、そして神官ランフィスの前にひざまづき「サチェルドーテ、イオ レスト ア テ」(私は貴方の御前に)と高らかに歌い、幕が降りる。

アイーダのステッラは素晴らしいが、突如、物陰からあらわれ、自分がエチオピア王と名乗るアモナスロを歌うバリトンのグエルフイの声の威力は、敗戦国の王者のあらんかぎりのすさまじい執念と力を感じさせる。

そのあと、祖国を裏切ったと絶望するラダメスはディ・ステファノの声は甘く、剛直なデル・モナコやコレッリ、ベルゴンツイのドラマティックな声が欲しい。ディ・ステファノの歌詞で訴える素晴らしさは最高だが、剛毅な将軍ラダメスの声ではない。村の青年の戸惑う声ではない、そこにすべての覚悟を瞬時にして決めた英雄ラダメスの声を求めるならやはりデル・モナコ、コレッリ、ベルゴンツイが納得できる。


8月24日のアクセス

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