教団「二次元愛」

リアルワールドに見切りをつけ、二次元に生きる男の生き様 (ニコニコでは「てとろでP」)

フィギュアの劣化を予防するには?

2013-01-27 00:32:44 | 科学
我が家に招き入れたフィギュアを末永く美しく飾っておきたい。

・・・それは我々にとって常に頭の片隅にある課題である。

では。
どうすればフィギュアの劣化を防げるのか?

たまにはそういうことを考えてみようではないか。

あらかじめことわっておくことがある。
わたしはアナログ電子回路の技術屋なので電子部品の劣化要因については本職ではないが関連分野として少しは知識がある。
だがこれから記すことは電子部品の劣化要因から類推した話であり、フィギュアについては全くの未経験で、トンチンカンなことを書いている可能性がある。
そこはご了承いただきたい。



フィギュアの劣化要因で考えられることは何か?

埃・光・温度・湿度の4つだろうか。



埃とは、ようするにホコリがつもることである。

フィギュアは幾何学的に外形が複雑極まるので、キチンと掃除するのは手間がかかる。
これは箱に入れて保管することで回避できる。
最近は透明なアクリルケースも市販されているので、やや高いのとパッと手にとれないのが難点ではあるが、比較的容易に回避できるため利用するのもありだ。



光とは、代表的には直射日光のことである。

直射日光は、素肌をさらせば日焼けという名の火傷を患い、太陽電池をさらせば発電して売電までできるという、強烈なエネルギーを備えている。
そんなものにフィギュアをさらせば劣化するのはアタリマエである。

世の中の屋内で使うことを前提に作られている製品のほとんどには
「直射日光があたるところには保管しないでください」
と書いてある。
屋外で使われることが前提の車の塗料などは直射日光耐性のある特別なものだと考えたほうがいい。

ならば屋内の蛍光灯でも劣化するのだろうか?

超ざっくりだが見積もってみよう。
晴れの日の太陽光の照度を100,000 lux、蛍光灯の照度を1,000 luxとしてみる。
波長による劣化の違いは考慮しないものとする。
照度の場合はアレニウス則ではなく比例関係になりそうなので、屋内の蛍光灯下で保存すれば、直射日光のあたる場所より100倍は劣化を遅らせられるということになる。

無論、暗所で保管すれば、光は劣化の主要因にならなくなるはずだ。



温度。
これには、高温保管による劣化と、温度サイクルによる劣化がある。

高温保管による劣化。
樹脂でできているフィギュアが高温に弱いのは当然だ。

カンタンに考えれば融点より低ければいいと思うかもしれない。
だが、そうではなく、温度が高ければ高いほど劣化の進行が早くなるのが注意点だ。

ありうるパターンとして、真夏に最高80℃に達する屋外のコンテナ倉庫と、真夏に最高40℃に達する屋内と、常に27℃をキープする恒温槽とで考えてみよう。
温度による劣化はアレニウス則にしたがい10℃アップで寿命半分になると思われるので、それを根拠にして屋内保管を基準に計算してみる。
すると、真夏のコンテナ倉庫では劣化が8倍速、真夏に恒温槽にいれれば劣化速度は半分以下となる。
これを考えれば真夏にコンテナ倉庫に入れるのはチャレンジャーすぎるのでやるべきではない。

恒温槽の設定温度を15℃まで下げればさらに劣化を遅らせることはできるかもしれない。
だが結露すると問題があるので管理は相応に難しくなる。

つぎに温度サイクルによる劣化。
温度サイクルはなぜ問題になるかというとだな。
材質Aと材質Bの熱膨張係数が違う場合を考えてみよう。
温度が変わるとどうなるかというと、AとBとのどちらか一方がもう一方より大きく膨張するのにもかかわらず、AとBとの境界面は接着されて固定されていると、そこで無理やり膨張して変形しようとする応力が発生するので、何度も応力をかけているとそのうちはがれてしまうということになる。

これは電子部品の寿命を決定する主要因の1つである。
PS3でも箱○でも故障原因のメジャーなものに温度サイクルによるCPUやGPUのBGAのハンダクラックがあるらしい。

PS3や箱○は電源ONしてゲームしていると温まる分で温度サイクルがかかる。
また、ハンダとプリント基板とで熱膨張係数が違うのも当然である。
しかしフィギュアにはそういうものはないじゃないか・・・というかもしれないが、そうではない。

フィギュアの温度サイクルとは、昼夜の温度サイクルである。
フィギュアの熱膨張係数の違いとは、本体部分の樹脂と表面の塗料との問題である。

塗料は表面にわずか数10ミクロンしか塗られていない。
それが温度サイクルではがれやすくならないかというのは心配事の1つになるし、はがれなくても細かいクラックが入り見栄えが悪くなることは十分ありうる。
屋内に入れておけばコンテナ倉庫の昼夜の温度差の半分くらいになると考えれば、屋内保管すれば劣化は半分になり、恒温槽に入れれば無視できるほど影響を減らすことができる。

これも昼は80℃で夜は30℃というような激しい温度サイクルがかかるコンテナ倉庫に入れるとヤバいのは当然で、屋内の、できれば常時エアコンをつける部屋に、ベストをつくすならば恒温槽ということになる。

だが、高温保管による劣化と、温度サイクルによる劣化との、そのどちらが強く影響するかというような程度問題はよくわからない。



湿度。
これはどれくらい影響するのか正直よくわからん。

表面の塗料や樹脂の表面が吸湿と脱水をくりかえすと何かヤバそうな気がするのだが、程度問題はさっぱりわからない。

樹脂が吸湿するなんてそんなバカな!?・・・と思うかもしれないが、そうでもない。
安いプリント基板で分布乗数のフィルタを作ると、湿度が高いと吸湿して誘電率が高くなって中心周波数が下がり、吸湿性を考慮せずにごっついフィルタを作ると場合によっては性能を満足しなくなり後でトラブる。
送電線だって水トリーといって樹脂の吸湿により絶縁性が劣化する問題にかつては苦しめられた。

高額な美術品の絵画を保管する人なら、温度と湿度を一定に保ったトランクルームに入れるのはアタリマエだろう。
でも、フィギュア愛好家が吸湿に苦しめられるかどうかはわからん。


最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
興味深い内容です! (ゴー)
2013-11-26 13:14:00
フィギュアの劣化問題の記述、拝見しました。

自分も「結局まったくわからない」という次第です。
古いパソコンのキーボードがいくつかあるのですが、使っているものは変色無く、
押入れに仕舞っているものは色あせて恐ろしいほど変色しています。

押入れと言っても家は高台なので乾燥しています。
確実にオモテに出している方が温度差、紫外線、手垢、ホコリだらけで過酷だと思うのですが。

しかも、両方とも、同じメーカーの同じ素材です。

何なんでしょうかね?^^;
愛情の違い?
返信する
それはおもしろい (教団「二次元愛」教祖)
2013-11-26 18:43:11

それはおもしろい現象ですね。
直感と逆の結果ですし。

なにかむりやりリクツをこねるとすれば・・・
キーボードが経年劣化して樹脂用着色剤の表面部分の密度が変化する(たとえば濃くなる)のに対し、
光をあてるとそれがほんのわずかづつ削られて(たとえば着色剤が分解/蒸発していって)一見すると均衡が保たれているように見える・・・
とかですかね?
これは何の根拠もないてきとーな思い付きですけど。
返信する

コメントを投稿