教団「二次元愛」

リアルワールドに見切りをつけ、二次元に生きる男の生き様 (ニコニコでは「てとろでP」)

ルナティックドーンIIと管理職

2009-08-01 00:00:48 | オタネタ全般
ルナティックドーンIIは、とりあえず仲間を集めて欲望の赴くままに気の向くままにダンジョンを旅するRPGである。

とうぜんながら仲間は多ければ多いほどパーティーは強力になる。
しかし、仲間は多ければ多いほど1人あたりの分け前は減る。
仲間が6人もいると、ランニングコストだけでけっこう苦しくなる。

分け前を増やすにはどうすれば良いか?

自分が強くなって仲間に頼らなければいい。

・・・そんなことはタダの理想論だ!

ではどうすれば?

カンタンなことだ。
必要のないヤツから順に減らしていけばいい。

では、いらないヤツとはだれか?

ドラゴンが巣くう強力なダンジョンにまでいっしょに潜れ、そして共に生きて帰れる屈強な戦士。
これは絶対に必要だ。
願わくば少々の魔法まで使えれば言うことない。
そして、こういった戦士系の前衛は3人パーティーであっても2人はいる。

回復魔法が使える僧侶。
これも絶対に必要だ。
ついでに言うと、回復魔法の使い手は1人ではなく2人いるとかなり頼もしい。

攻撃魔法が使える魔法使い。
魔法使いがいなければ恐ろしく苦戦したりそもそも倒せなかったりするモンスターは多い。
ダンジョンで敵や宝をみつけるのに便利な魔法の数々も用意されている。
絶対に必要というほどでもないが、有用性は非常に高い。

盗賊。
これも絶対に必要だ。
なぜなら、盗賊がいないと扉も開けられないからダンジョンに潜っても先に進めないからだ。

さて、人数を数えてみよう。
[戦士 + 戦士 + 僧侶 + 僧侶 + 魔法使い + 盗賊]
すでに定員6人に達している。
これじゃー、プレイ開始直後のひ弱なプレーヤーの割り込むスキマがない。
プレーヤーそのものがいちばんいらないヤツだったという・・・。

これじゃーダメじゃん!

この問題を解くヒントは、プレーヤーのキャラをどう鍛えるかの戦略に強く関係する。

先の6人メンバーをよく見てみよう。
いちばん戦闘にいらないヤツはだれだろうか?
いうまでもなく盗賊である。
ただ鍵をあけるだけの要員であり、戦闘にはほとんど役にたたないからだ。

ダンジョンに潜るのに、かならずしも盗賊技能が高い必要はない。
多少トラップにひっかかってもガマンできるし、何度も失敗してもいいから扉は開きさえすれば良いからだ。
だから、最初のうちのひ弱な主人公はこの盗賊の役割に徹することにして、その技能を少しばかり鍛えておく戦略が望ましい。

その次のプランも記そう。
6人に近いパーティーのなかで僧侶が1人しかいないと心もとないが、そもそも2人いるのも過剰感がある。
主人公に少々の回復魔法の心得があるとかなり安心できる。
だから、そのつぎには回復魔法系の技能を少しづつ鍛えていけばいい。
すぐに2人目の僧侶は必要なくなる。

そうするとどうなるか?
[戦士 + 戦士 + 僧侶 + 魔法使い + その他(主人公)]
まだ多いが、まあこれなら何とかなる。
主人公は戦いが始まっても後ろのほうで逃げ回っていればいい。
みんなが何とかしてくれるだろう。

この先はどうするか?
先の編成のなかから、戦士か魔法使いのどちらかを引き算することになる。
どちらを引き算すればいいかというと、言う事を聞かせにくく、ときどきしか役に立たない魔法使いを引き算するほうがやりやすい。
キホン的には戦士はほっといても敵を殲滅してくれるから、仲間もろとも敵に攻撃魔法を浴びせるような魔法使いにさっさと退場願おう。

プレーヤーは敵の魔力を吸収できる魔法を憶え、戦闘時にはひっきりなしに魔力をかき集めていれば、とりあえず回復魔法にはことかかなくなる。
広範囲に敵を攻撃する魔法を憶えれば、仲間が呪文攻撃を食らわないように自分で投下地点をコントロールすることができるから、かなりパーティー全体が強くなる。
ダンジョン内を索敵できる呪文を憶えるのもかなり役に立つ。
しかし、そんなに気合いを入れて魔法使いスペシャリストになるまで鍛える必要はない。

その結果、パーティーは次のようになる。
[戦士 + 戦士 + 僧侶 + その他(主人公)]
だいぶ減った。
主人公は盗賊技能は最小限しか持っておらず、前衛の武器で戦う要員しての能力もなく、回復魔法も少しは使えるがさほど強力ではないので僧侶1人分にはならず、かといって魔法使いの技能もそんなに高いとは言いがたい・・・、そんな中途半端な役割になる。
しかし、序盤はそれを目指すのがベストなのだと、わたしはそう思う。
(このあと僧侶の分か戦士の分かどちらかを強力に鍛え上げれば、あと1人は外せる。3人で何とかなるまでになれば3人というのはかなりバランスが良いので、それなりに長く付き合えるパーティーになる。)

考えてみれば、実はこれは管理職なのではなかろうか?

主人公は、どのダンジョンに潜ろうか、どの依頼を受けようか、どの街へ行こうか、といった作戦立案を担当する。
だが、序盤では自分の回りにいるパーティーのメンバーは主人公より遥かに強靭な冒険者だ。
主人公なんて歯がたたない。
というか、主人公がいちばんいらないヤツだったということになる。
だからはじめに主人公に必要なのは、けっして戦闘要員としての武力的な能力などではなく、パーティーの運用能力なのだ。

これは現実の管理職にもそれなりに当てはまる。
管理職になったものは実作業にはだんだん従事しなくなっていくので、シゴトの能力的にはだんだん中堅クラスの平社員にもとる人になっていく。
だが、メンバー全員の話がわかるだけの広く浅い知識は持っていなければならないし、なによりシゴトの能力というよりはシゴトをさせるヤツらの舵取り能力を問われる。
そしてメンバー全員の能力が非常に高いときにはそいつらには本職を優先させてやり、雑用は管理職の自分がやったほうがチーム全体のパフォーマンスが上がる。
シゴトの能力として尊敬されず、舵取り能力も低く、かといって雑用もやらず部下に押し付ける、そんな管理職はメンバーから陰でお荷物扱いされる運命にある。

なんだかこういうのはルナティックドーンの主人公ソックリじゃないかい?

ドラクエにしても何にしても、パーティー指揮官というのは多少呪文が使える戦士というような、どちらかというと先頭に立って戦う戦闘要員のような役割として描かれることが多い。
しかし現実のパーティー指揮官というのは、そんなのよりもパーティーの舵取り能力のほうが問われるのではあるまいか。

わたしはルナティックドーンをやってみて、初めてそのことに気付いた次第である。