見ないフリ

一時的な対応策にしかならない現実逃避をずっとするブログ

万引き家族

2018-06-11 | 本と漫画と映画とテレビ
ママとパパにいわれなくってもしっかりとじぶんから
もっともっときょうよりかあしたはできるようにするから
もうおねがい ゆるして ゆるしてください おねがいします
ほんとうにおなじことはしません ゆるして きのうぜんぜんできてなかったこと これまでまいにちやってきたことをなおす 
これまでどんだけあほみたいにあそんだか あそぶってあほみたいだから やめるから もうぜったいぜったいやらないからね 
ぜったいやくそくします
―船戸結愛




『万引き家族』(2018年・日)
監督・脚本・原案:是枝裕和
撮影:近藤龍人
音楽:細野晴臣
出演:リリー・フランキー、安藤サクラ、樹木希林 他

東京の下町に暮らす一風変わった家族の群像劇。
既に死亡している親の年金を家族が不正に受給していたという
実際の事件から着想を得て作られた映画で
第71回カンヌ国際映画祭では最高賞(パルム・ドール)を受賞。


映画の公開を待っていたかのように
リアル万引き家族が福岡県で捕まったというニュースが流れて、
是枝監督、持ってるなぁ~と思いつつ、映画館へ。
(去年は映画『三度目の殺人』公開時に、斉藤由貴の三度目の不倫報道があった記憶)

したら、万引きだけでなく
年金の不正受給やJKビジネス、幼児虐待といった今なにかと話題の問題が
物語の中に自然にうまーく取り入れられていて、ただただ驚く。

特に、連日報道されている
目黒区の5歳児虐待死のニュースが頭をよぎりまくって大変だった。

リリー・フランキー一家の中に
途中から加わる5歳の女の子が、まさにそれじゃん! つって。

いろんなテーマが散りばめられているため、
鑑賞者が一番興味のある部分に目がいくんだとは思うけれど、
私はこの女の子の登場というか設定に衝撃を受けた。タイムリー。


西原恵理子の漫画『ぼくんち』のなかで、
ねこばあという人物(猫のようにばんばん子供を産んで
がんがん捨てたからそう呼ばれている)が
「世界中の女が子を産めるけどな、
世界中の女が母親がでけるかとゆうと、そうでもない」
と言っていたけれど、
目黒のニュースやこの映画を観て改めてそう思った。

すべての女性が子供を産めるわけではないし、
男女関係ない話だと思うけれど、
子供を作れる人間が、親として適当かというとそうとは限らない。と思う。
向き不向きってあるのよきっと。(ま、子供産んだことないので知らんけど)

産める人が産んで、育てられる人が育てりゃいい。
血はつながってなくても、
一緒に暮らして一緒のもの食べていたら家族になるじゃない。
顔も似てくる。
種の違う犬猫ですら「家族」って言い張る人間いっぱいいるし。

なんて。


話を映画に戻します。

物語は現代社会の陰の部分? に焦点が当てられているけれど
全体の雰囲気はそんなに重苦しいわけじゃない。
ご飯のシーンは相変わらずおいしそうに撮ってあるし、
会話にはクスリとする面白みが満載だし、
父親より成長しちゃう息子の姿は頼もしくも切ないし、
松岡茉優の胸は意外と大きいし、
高良健吾はどっから見てもイケメンだし、
徐々に家族の関係性が見えてくる物語の展開は素晴らしいし。
映像もよくて、特に花火の音を見上げる家族の姿にほっこりする。

あとどうでもいいけれど、
子役の少年が『誰も知らない』の時の柳楽優弥に似ている。
おそらく、監督はあーゆーキリリとした顔のコが好みなんじゃないかな。
と勝手に想像。


そして何より、母親役の安藤サクラがすごい。
この女優さんのことは最近まで全く知らず、
先日なんとなくレンタルした『百円の恋』という映画に主演で出ていて、
すごい女優さんだわぁと感心してた矢先に、『万引き家族』。

北陽の虻川さんに雰囲気とか喋り方含めちょっぴり似ている。

カンヌで審査員長を務めていたケイト・ブランシェットが絶賛したとかいう
泣きのシーンってこれか~と思いながらも、まぁ一緒に泣いちゃうよね。あれ。

安藤サクラやリリー・フランキーが演じる人物に
親近感を抱いて観ていたせいか
ラスト、少年のバスでのつぶやきと
女の子が歌う歌にちょっとだけ救われる。





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