見ないフリ

一時的な対応策にしかならない現実逃避をずっとするブログ

アバウト・タイム -愛おしい時間について-

2014-11-26 | 本と漫画と映画とテレビ
俺たちの過去も映画を見るのと同じ。
映画は同じなのに、見る自分が変わって違う映画に見える。
違うものに気付く。

―映画 『12モンキーズ』より





『アバウト・タイム -愛おしい時間について-』
監督:リチャード・カーティス
出演:ドーナル・グリーソン、レイチェル・マクアダムス、ビル・ナイ
2013年イギリス、アメリカ合作のSF恋愛映画。


『ラブ・アクチュアリー』の監督最新作!ということで
期待に胸をふくらませて鑑賞してきました。
この監督の映画は、いつも音楽がステキ。映像の邪魔にならない丁度良さ。

物語は、あれよ。
タイムトラベル。

S(すこし)
F(不思議な)
恋愛ヒューマンドラマ。

『バック・トゥ・ザ・フューチャー』っていうか、『12モンキーズ』っていうか、
『バタフライ・エフェクト』?『ミッション:8ミニッツ』?

そんなSF、タイムトラベルものだけれど、
映画自体の雰囲気は『アメリ』風ゆるふわ(死語?)なので
細部や時間軸にこだわって観る感じじゃない。
タイムパラドックスやパラレルワールドを気にしてる場合じゃない。
(多少のルールはある)


その、まぁ、内容をざっくり言っちゃうと、
ネットの中で、たまに見かける名言。あれです。
2ちゃんねる発信?の、あの言葉。

「10年後にはきっとせめて10年でいいから戻ってやり直したいと思っているのだろう。
今やり直せよ。未来を。10年後か20年後か50年後から戻ってきたんだよ、今」

っていうやつ。
そんな映画。

というか、
もし、この映画の主人公が2ちゃんねるのタイムトラベル板(あるのか?)に
何かしら書き込むとしたら、上の言葉じゃないの?と。
むしろ、書き込んだ本人か?

っていう。
そんな映画。

おもしろいよ。泣いちゃうかもよ。


ただ、ココだけの話。。。
この主人公みたく
タイムトラベル能力がある人間って、実在すると思うんです(小声)

途中から主人公が、父親に教えられて
何気ない日々をもう1回繰り返し始めるのだけれど、
こういう人いるいる!って思った。

ちょっとしたトラブルにも、平気で対応したり、異常に寛大な人。
そっかー。彼らはタイムトラベル能力を持っていたのか!納得。
膝を打つとは、まさにこのこと。

あと、上記のような感じではないけれど
歌手の中島みゆきもタイムトラベル能力を持っていると思う。
じゃなきゃ、『時代』とかの歌詞書けないよねー。

・・・という電波な話で、本日は終了。(1回目)

噂の女

2014-11-19 | 本と漫画と映画とテレビ
おじさんと女の子で、会社は回っている
―奥田英朗 『ガール』より





『噂の女』
奥田英朗 著
(2012年 新潮社)

表紙の絵がかわいくって。
図書館で思わず手に取る。ジャケ借り。笑
最後2ページにわたる挿絵もかわいい。


目次をみて、「噂の女」がたくさん出てくるのかな?と思ってたら、
各章で語られる「噂の女」は、どれも《糸井美幸》という一人の女性。

各章の噂話から、徐々に浮かび上がる《糸井美幸》の人物像…

決して美人ではないけれど、肉感的で、男好きのする顔立ち、もち肌。
とある地方の町で金持ちのおじさんを次々と手玉に取る魔性の女。
料理上手で、姐御肌な一面もあったり。
そして、彼女の周囲で立ち上る何かとキナ臭い話。。。

ありそうな話。
どっかで聞いたことのある話。

実際に起きた、過去の事件を下敷きに書かれているのかも?
最近のニュースでいうなら、『殉愛』とかいう本をだしちゃう感じ?


でも、、

噂の女《糸井美幸》なんかより、
それを噂する人々の欲望や保身、変な社会構造のほうが気になる。
寺と檀家の関係とか天下りとか談合とか組織とか、もう本当に気持ち悪い。

糸井美幸の色気と行動力は、ただただ羨ましい限りです。


主演・石原さとみで実写化希望~




泣ける映画

2014-11-14 | 本と漫画と映画とテレビ
目玉の中から出る涙と、心の奥から出て来る涙とある。
心の奥から出た涙でも、心は涙の通るのを知らずにいることがある。
出て来た涙を見た後で、初めて心の奥の事を知る時もあるだろう。
そうだそうだ、どうやら解りそうになって来たと思って、私は猶の事泣いた。

―内田百『波止場』より



はい!
涙週間、入りましたー!

涙に関わらず、
体から何かしらを排出することは気持ちいいもの。

発汗、排尿、排便、射精、出産、、、モロモロ。

デトックス。すっきり。


てな訳で、健康のためにも
泣ける映画を観てリフレッシュをするのです。

まぁ、、
加齢とともに涙腺もユルユルのガバガバなので、
些細なことで号泣しちゃうんだけどね!

ついでに、
泣けるポイントがだんだん変化していて、
最近は子供が出てきたら、だいたい泣いちゃう。

現実の子供は苦手なのに、映画に子供が出てくると
おばさん、泣けてきちゃうのよー。
だって、映画の子供ってかわいいでしょー。

(むしろ、自分に子供がいたら
 泣いて観てなんかいられなくなるのかも。切実すぎて)

そして、確実に泣くために、
過去に観て涙した実績のある子(映画)をチョイス!←これ重要
泣ければオッケ!作品の好き嫌いは無視です。


例えば。

『シックス・センス』のラスト、
事故渋滞の中、ハーレイ・オスメントくんが
母親に自分の秘密を打ち明けるところ。
「Everyday(もちろんだよ)」って言うシーンで毎回泣く。

『少年時代』のラスト、
井上陽水の「少年時代」をBGMに
汽車を少年タケシが追いかけるシーンも泣いちゃう。

『マイ・フレンド・フォーエバー』の終盤、
エイズの子の母親がブラッド・レンフロの母親を
泣きながら怒るシーンも泣いちゃう。
(あの頃の「マイ~」シリーズはだいたい泣ける)

『ニュー・シネマ・パラダイス』に至っては
少年トトが「アルフレード!アルフレード!」
つって言ってるだけで泣いちゃう。
んで、最後のキス祭りで大号泣。
(劇場公開版のほうが短くまとまっていて泣ける)

『アイ・アム・サム』なんて、
ダコタ・ファニングの可愛さ&演技だけで泣くっていうのに、
そのうえ、
父親のサムがビートルズの曲を引き合いに出して親子の絆を証言したり、
弁護士のリタが「私こそ毎日子育てに悩み、挫折感でいっぱいだ!」つって叫んだり、
ルーシーの絵の中の赤色は里親のことだよって教えてあげたり・・・
泣きっぱなし。鼻水も止まらない。
ビートルズのカバーがじゃんじゃん流れるのもズルい。
(そして『クレイマー、クレイマー』まで観たくなるおまけ付き)


ほかにも、、
『ライフ・イズ・ビューティフル』、『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』、
『私の中のあなた』、『この道は母へとつづく』、『パーフェクト・ワールド』、
『ダンサー・イン・ザ・ダーク』、『セントラル・ステーション』、
『スタンド・バイ・ミー』、『運動靴と赤い金魚』、『となりのトトロ』・・・良作豊作

びえーん。
いっぱいありすぎて、涙が追いつかないよー!

はー。泣いたー。
目玉の洗浄。気分爽快。



おしまい。

レミゼの映画も楽しむ。

2014-11-05 | 本と漫画と映画とテレビ
レミゼのフラッシュモブを楽しんでいたら、
映画もめちゃくちゃ観たくなったので、さっそく鑑賞。


映画『レ・ミゼラブル』



監督:トム・フーパー
2012年公開のイギリスのミュージカル映画。
原作は、1985年に初演された人気ミュージカル『レ・ミゼラブル』。

小説『レ・ミゼラブル』を映画化した作品はたくさんあるのだけれど、
この作品は、ミュージカル『レ・ミゼラブル』を映画化してるってのがミソ。

19世紀の小説『レ・ミゼラブル』が、
20世紀にミュージカル化され、さらにそれを
21世紀に映画化したものが、このミュージカル映画『レ・ミゼラブル』。

なんだか説明が下手くそで、
ややこしいことになってるけど、
ま、そういうことです。


ミュージカルが原作とはいえ、映画用に変えられている部分も多々ある。
劇中歌が一部カットされてたり、歌の順番が前後したり、
映画用に1曲『Suddenly』という曲が加えられたりもしている様子。

(この『Suddenly』が歌われるあたりの様子、
ジャン・ヴァルジャンがテナルディエ家から幼いコゼットを助け出した後の様子は
ミュージカルではがっつり切られている部分なので、映画で詳しく見られる。
小説はもっと複雑だけれど、うまく編集されている)

あらすじも、
映画独自の部分があったり、ミュージカル通りだったり、小説の筋に戻されてたり、、
ちょこちょこ変更されてるけれど、わかりやすくまとめられてます。(と、思う。)


感想は、とっても面白かったよ。


私、基本ミュージカル映画好きなのね。
とくに、普段はミュージカルとか出てないような俳優さんが歌うのが好き。
高い歌の技術で魅せるんじゃなくて、演技の延長で歌って魅せる感じがすごい好き。

まぁ、この映画に関しては、
ジャン・ヴァルジャンを演じたヒュー・ジャックマンはミュージカル出身だし、
コゼット役のアマンダ・サイフリッドも『マンマ・ミーア!』で歌ってたし、
エポニーヌ役のサマンサ・バークスなんか、舞台のミュージカルでもエポニーヌだし、
ミリエル司教だって、、って、ミュージカル関連の俳優さんがいっぱい出演しているけど・・・

でも、なんつうの、
ミュージカル特有の大げさな動きが、映画だと薄れるでしょ?

舞台ミュージカルは、遠くの席の観客に演技を届けるために声も動きも大きくなるけれど、
映画は、顔のアップや、その表情&しぐさで気持ちが伝えられるから、
普段の動きの中で、表情筋だけで、しれっと歌っちゃう感じがなんとも好きなのよねー。

ジャベール警部を演じたラッセル・クロウはそれほど歌が上手ではないのだけれど、
(周りのミュージカルのプロ俳優たちに比べたらって意味ね!)
そのあんまり上手ではない感じが、
頭でっかち・法の人間・ジャベール警部をよく表してて、なんだかよかった。
ジャベールが実在したら、きっと歌は上手くないと思うのよ。


あと、
テナルディエ夫妻と絡むと誰もがコメディっぽくなる感じとか、
夫妻の営む宿屋がティム・バートンっぽいブラックさなのも好き。
(これはヘレナ・ボナム=カーターの存在がデカい?)

ついでに、
大人コゼットが出てくると、画面がキラキラふわふわしてくる感じも可愛いし、
ファンチーヌが工場で働くシーン(とくに工場長の歌い方?なまり?が好き)や、
髪と歯を売る波止場のシーンも好き。そこで歌われる『Lovely Ladies』も好き。

♪ラブリー・レディ!カム・アロング&ジョイナス!♪ラブリー・レディ!





ただ、
ある程度、予習をしていたほうが楽しめるのかも?

私は、小説のあらすじと、
何曲か劇中歌を予習していたので(ユーチューブ魔王のおかげ)
なんとか映画についていけたけれど、
これ知識ゼロで観てたら、確実に後半寝てるなー、と思う。

たしか、
なんにも予習せずに観たミュージカル映画『ロッキー・ホラー・ショー』は
あんまり楽しめなかった記憶。
何度か観て、曲やフリを覚えないと楽しくない…っていう。


うまく言えないけれど、、

物語のあらすじを楽しむ映画、というよりは、
オペラや歌舞伎、古典落語みたく、
観客はある程度の予備知識を持っている前提で、
監督の演出や解釈、演者の違いを楽しむ映画。という感じ。

いや、予習がなくても楽しめるんだろうけど、
予習してるともっと楽しい。というか・・・

例えば、、
終演後に、馴染みの蕎麦屋で一杯やりながら
「やっぱ、志ん朝の『愛宕山』が一番だねぇ、」
つってグダグダくだを巻くのも楽しみのひとつ、みたいな・・・

「カラヤンの『第九』が好きだったけど、バーンスタインの『第九』もなかなか…」
つって指揮者の違いを楽しむのも一興、みたいな・・・?

なんか違うか。


でも、
複雑なあらすじや、登場人物の不可解な行動は
小説や解説なんかでそれなりに解消したうえで観たほうが
ゆるりと楽しめるんじゃなかな?と。

そしたら、
映画とミュージカルの演出の違いを比較して
「おー、そうきたか~!」つって楽しんだり、

冒頭の『囚人の歌』のシーンで囚人が船を引いているのは
当時、囚人を収容する施設である徒刑場の管轄が海軍だったからで、
これは海軍工廠の危険な作業をさせられてるのかしらねぇ。と思ったり、

ジャベールの制服の変遷(トゥーロン徒刑場→モントルイユ警察→パリ警察)
を楽しんだり、『ワン・デイ・モア』の辺りで肩章や襟元が立派になって
胸に勲章が付いてるのを見て、出世したんだね~と喜んだり、

ジャン・ヴァルジャンが幼いコゼットを連れて、
フォシュルヴァン爺さんが働く修道院に逃げ込むシーンや
ラマルク将軍の葬儀シーンは、小説にも書かれてるけれど、
映画だと映えるわね~。と感心したり、

暴動が始まってからも、カフェ・ミュザンで飲んでいる学生が
大酒飲みのグランテールか。この人ずっと酒ビン持ってるわー、と注目したり、

エポニーヌの死に、ガヴロッシュが陰で涙する場面は、
小説で軽く触れられてるだけの姉弟設定を映画でも使っているから?と想像したり、

ナポレオンの命令で建造が予定されていたものの、
未完成のままずっと放置されてて、ガヴロッシュが住み家にしてた
バスチーユ広場の巨象ってこれかー!と驚いたり、



小説での些細な出来事が、
映像として巧みに落とし込まれているシーンを発見して、ニヤニヤしたりもできる。


舞台のミュージカルだけじゃ分からない、細部まで楽しい。
そんな映画。


あ。
音楽はどれもステキなので、それはもう。

『ワン・デイ・モア』だけじゃない、名曲いっぱい。
異なる場面で同じメロディが頻繁に使われるので覚えやすいのです。
(リプライズというやつ?)

例えば、
序盤のジャン・ヴァルジャンの独白シーンと、
終盤のジャベール警部の自殺シーンのメロディが一緒だったり、
ファンチーヌが死ぬ直前に歌う『Come to Me』とエポニーヌの歌う『On My Own』、
ジャン・ヴァルジャンの最期の歌は同じメロディだったり、
テナルディエ夫妻の歌はだいたい『Master of the House』の旋律だったり…いろいろ。

逆に、メロディは違うけれど歌詞は同じ、という場面も結構ある・・・(と、思う。)

こういうのは多分、意味があってのことなので
その意味を考えてみるのも楽しい。

そんな映画。