見ないフリ

一時的な対応策にしかならない現実逃避をずっとするブログ

バイス

2020-05-30 | 本と漫画と映画とテレビ
聞いた話ではあの日(2001年9月11日)あの部屋(大統領危機管理センター)で皆が目撃したのは、混乱と恐怖と不安だった。だが、チェイニーだけは違うものを見ていた。それはチャンスだ。
―映画『バイス』より


amazonプライムビデオにおすすめされるがままに、
ひたすら映像を流し見る日々・・・。

映画『スキャンダル』を観て以降、
アメリカの政治スクープが題材の作品をやたらと勧められる。
『ニュースの真相』『ザ・シークレットマン』『ペンタゴン・ペーパーズ』…。

内容が難しくってあまり理解はできていないけれど、
おかげで、日常のニュースが真正面から受け止められなくなっています。
いちいち何か裏があるのではないかと勘ぐってしまう。

かといって、裏を読めるような政治や社会の知識もないので
だいたい突飛な都市伝説・陰謀論を唱えている。

賭け麻雀での辞任は、彼の代わりの手牌が見つかったからで、
マスク2枚不要の声は聞き入れられなくて、給付金支給の声は受け入れられたのは
裏で儲けるカラクリができあがっていたからだし、
学校の9月入学案も同様のカラクリが使えそうだから出してきたのか…!
なんつって。

ウィキペディアに載っている
「精神病質(サイコパシー)」の定義を読むと
(なぜそんなページを読んでいるのか、、、)

「良心が異常に欠如している/他者に冷淡で共感しない/慢性的に平然と嘘をつく/行動に対する責任が全く取れない/罪悪感が皆無/自尊心が過大で自己中心的/口が達者で表面は魅力的」と書いてある。

これはこれは。
日本の政治を運営している人々の中には精神病質者(サイコパス)がいますか?
慢性的に平然と嘘をついて、行動に対する責任が全く取れない人がいませんか??

そんな誇大妄想を助長させる映画が
またまたおすすめされるのでぼんやり眺める。



『バイス』(2018年 米)
監督・脚本・製作:アダム・マッケイ
出演:クリスチャン・ベール、エイミー・アダムス 他

第43代アメリカ合衆国大統領ジョージ・W・ブッシュの下で副大統領を務め、「アメリカ史上最強で最凶の副大統領」と評されるほどの影響力を発揮したディック・チェイニーを描いた伝記?コメディ?映画。

ちなみに、「バイス(VICE)」とは、「悪」「悪習」「悪徳」などの意味を持つ名詞で、接頭語として「バイス-プレジデント(vice-president)」という風に用いると、「副大統領」の意味となるのだそう。

そんな掛詞?を上手に使ったタイトルそのまま、
ディック・チェイニーは悪い悪い副大統領だった…。

映画『スキャンダル』に登場するセクハラCEO、ロジャー・エイルズも
チラッとこの映画に出てきていたけれど、
ロジャー・エイルズがわかりやすい悪だったのに対して、
ディック・チェイニーは陰湿な悪だったわ~。

特に、最後のインタビューでのセリフがすごく、ものすご~く嫌だった…。
国民をテロから守るためなら、関係ない国を攻撃していいの?

あんなに嫌な描き方をして、
監督はチェイニーさんから訴えられたりしなかったのだろうか。
観てるこっちが心配になるぐらい、「稀代の悪!」な描かれ方だった。

チェイニーの器がめちゃくちゃデカいのか、内容が真実だから訴えられないのか。

話しは逸れて、
映画『ニュースの真相』の中では、ケイト・ブランシェット演じる主人公が
ジョージ・W・ブッシュは軍歴を詐称していると端から決めつけて番組を制作していたことが問題になっていたけれど、『バイス』のブッシュ大統領なら軍歴詐称もやってそうだなと思う…

なんなら、あの証拠メモをケイト・ブランシェットに流したのもチェイニーなんじゃないの…?っていう。

チェイニーみたいな人は今もどこかにいるに違いない。
表舞台には出てこないけれど、裏でいろいろ操っているんだ…!怖!


・・・という風に、自分の趣味指向に合う信念みたいなものが
amazonプライムのAIによって増幅・強化されてしまってとってもやばい。
こういうのエコーチェンバー現象っていうんですか?
なんというか、元来の電波体質に拍車がかかって非常にまずい精神状態。
思考回路はショート寸前で「What's The Frequency, Kenneth?」 という感じ。
助けてセーラームーン!


スキャンダル

2020-05-05 | 本と漫画と映画とテレビ
ロビー活動は予見すること。敵の動きを予測し、対策を考えること。
勝者は敵の一歩先を読んで計画し、敵が切り札を使った後、自分の札を出す。敵の不意を突くこと。自分が突かれてはいけない。
ー映画『女神の見えざる手』より


期間限定配信ということで…。



『スキャンダル』(2019年 米)
監督:ジェイ・ローチ
脚本:チャールズ・ランドルフ
メイク:カズ・ヒロ
出演:シャーリーズ・セロン、ニコール・キッドマン、マーゴット・ロビー 他

2016年に起きた、FOXニュースのCEOロジャー・エイルズのセクシャル・ハラスメントに対する女性職員の告発事件を基にした作品。


シャーリーズ・セロンとニコール・キッドマンが
とうとうがっつり整形をしてしまった!!
ショーック!!!

と、かなりの衝撃を受けて最後まで観ていたれど、
特殊メイクだったのね。。。ホッ。
(鼻や顎などに付け物を装着していたらしい…メイクってすごい…!)

カズ・ヒロ氏が2度目のアカデミー賞を受賞!という2月のニュースは、
この作品でのことだったのか・・・と今さら気づく。ガッテン。


3人の美女が協力してセクハラ親父を退治するスカッとストーリーなの?
と軽い気持ちで観たら、ちょっとなかなか一筋縄ではいかない
うんうん難しい物語だった。

なぜなら、基になったセクハラ騒動も
FOXニュースも登場する人物のことも
共和党民主党保守リベラル…など
この騒動にまつわるアメリカのメディアと政治についての知識が1つもないから!

映画の冒頭で、シャーリーズ・セロン演じるメーガン・ケリーが
その辺のことをバーッと説明してくれるのだけれど、
もう早口過ぎて脳が追い付かない…。
何度か巻き戻してなんとなく理解するという有様。
(映画館ではできない配信ならではのありがたみ…)

おそらくアメリカ人なら(アメリカ人でなくとも? )
「はいはい、わかる知ってる」という情報で、
アカデミー賞の特殊メイクも
「本人にめちゃ似てる!すごい!」と驚く部分なのでしょうが…

基礎知識のおさらい、というか忘備録。



その1:FOXニュース(FNC)
1996年に設立されたニュース専門放送局。
CNN、MSNBCと並びケーブルテレビ(有料放送)における3大ニュースチャンネルの1つ。中立報道を掲げているが、視聴者層は保守的かつ白人の高齢男性が中心と言われている。

その2:ロジャー・エイルズ(演:ジョン・リスゴー)
FOXニュースを人気ニュースチャンネルに育て上げた初代CEO。過去にはニクソン、レーガン、ブッシュら歴代共和党大統領のメディアコンサルタントとして活躍。その敏腕ぶりからTV業界の帝王と崇められる存在。2016年にセクハラで提訴される。

その3:ルパート・マードック(演:マルコム・マクダウェル)
さまざまなマスメディアを傘下におさめた巨大複合企業(ニューズ・コーポレーション)を所有するメディア王。
FOXニュースの設立者で、ロジャー・エイルズもマードック家には逆らえない。

その4:メーガン・ケリー(演:シャーリーズ・セロン)
FOXニュースの人気ニュースアンカー。元企業弁護士で、2004年から2017年までFOXニュースに勤める。

その5:グレッチェン・カールソン(演:ニコール・キッドマン)
2002年から2016年までFOXニュースの番組でアンカーを務める。2016年にロジャー・エイルズをセクハラで提訴。

その6:#MeToo
2017年、ニューヨークタイムズが映画プロデューサー・ハーヴェイ・ワインスタインのセクハラを告発したことによってSNSなどで広がった、セクハラ被害告発(&撲滅)運動。映画はこの「#MeToo」が広まる以前の出来事。

その7:共和党と民主党
アメリカの2大政党制を構成する政党。
一般的に、共和党が保守で民主党がリベラルの立場を取る。
(トランプさんは共和党でオバマさんは民主党)

とまぁ、この辺のことを頭に入れておくと
スムーズに物語に入っていける…?

あと、マーゴット・ロビーの役柄は架空の人物なのかな?
(彼女の加わるチームのアンカー ビル・オライリーさんも覚えておくこと)
ついでに人物の呼び方が、名前だったり苗字だったりバラバラなので
ちょいちょい混乱します。

保守とリベラルについてはよくわかりません。
(個人的には、ある程度のお金持ちの人々というか安全圏に居る人はリベラルになるイメージ)


肝心のセクハラに対しては、
被害にあったことがないので(意識が低いだけ?)なんとも言えないですが・・・

ただ、まるで絵に描いたような「THE セクハラ」が、
一番そういうことにうるさそうなアメリカで
ほんの数年前に起きていたのね~という驚き。

さらば青春の光のネタじゃないけど
「漫画やん!」とツッコまずにいられないセクハラ行為だらけで…。
むしろなぜこれまで表に出てこなかったのかが不思議。
(もみ消してきたんだろうけれど・・・)

セクハラ告発に対するFOXニュース内の女性たちの反応が様々なのも見どころ。
「仕事があるのはロジャーのおかげ」というロジャー・エイルズ擁護派もいれば、「キャリアに傷が付く」「対価に目がくらんだと思われたくない」「孤立したくない」…そういった理由から声を上げるのをためらう無言派もいたり…。

まぁセクハラに限らず、ハラスメントの告発に対する周囲の反応は
そういうものなのかもなぁ。
公文書を書き換えろというパワハラがあったことを訴えても、
他に同様の被害者は出てこないし…。
第三者が調査しないことが、不思議でしょうがないのだけれど。



映画『スキャンダル』にみる『ホロフェルネスの首を斬るユーディト』
(彼女たちの場合、現地集合現地解散だと思う)

素敵な選TAXI

2020-05-03 | 本と漫画と映画とテレビ
人間の未来はすべて白紙だっていうことさ!
未来は自分で作るのだ。君らもいい未来を作りたまえ!
―映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー3』より


はぁ~映画館行きたい…
(「しば漬け食べたい」風に)

このところ、ずっと自宅の小さなノートPCで
映画やドラマを楽しんでいるのだけれど
なかなかどうして内容が頭に入ってこない。
悲しいかな年齢とともに、集中力が落ちていて・・・

やっぱりあの広くて暗くて音響もばっちりの「映画館」という空間で
良質大画面を眺めるから集中力も気分も高まるんだと思う。

家だと誘惑も多いじゃないですか。
PCの画面に注目しているつもりが、ついついスマホに手が伸び、
ラジオもつけて、なんなら読書なんぞもしてしまう。
結果、なんにも頭に入らない…

それでも見ちゃう『素敵な選TAXI』。



脚本:バカリズム、オークラ
出演:竹野内豊、バカリズム、南沢奈央 他

人生の選択の失敗に苦しむ人物(毎回のゲスト)が乗客となり、過去に行ける「選TAXI(せんタクシー)」で時間をさかのぼり、選択をやり直して様々な結果を体験する物語。2014年関西テレビ制作のテレビドラマ。

ダラダラながらみにぴったり。(失礼)
10話もあるし、日本語だから画面から目を離していても内容はなんとなくわかるし、
たとえストーリーを見失っても、
画面に視線を戻せば、そこには容赦なくかっこいい竹野内豊。

おもしろくてよく練られた脚本に声をあげて笑いつつ、
「いや、ホントかっこいいな!」
と画面のハンサムにむかって何度もしゃべりかける。(ヤバい奴)

バカリズムの屈折した?コントを
男前が演じるとこんなにも愛おしくなるのか…という発見。

あの顔面でちょっととぼけたキャラクターっていうのが、
野島伸司脚本の『世紀末の詩』の主人公を思い出させて
これまた郷愁を誘うのです・・・

選択肢の物語と言えば
昔『if もしも』というドラマがあったけれど、
(『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』だけまったく別物だった…)
あれとはまた違う味わい深さ。

そんな素敵なドラマを横目で見つつ、
図書館の休館によって借りっぱなしになっている
『「絶筆」で人間を読む』(中野京子著)という西洋画解説?の本を繰り返し読んでは
はぁ~早く映画『プラド美術館 驚異のコレクション』観に行きたい…。
と深いため息をつく毎日。

なんならスペイン、フランス、イタリアを周遊して
美術館巡りをしたいところだけれど、コロナ大流行地域だからなぁ。

そして、もしもコロナ前に戻れたとしても、
そもそも旅費を用立てられないから
3国周遊という選択肢は存在しないという憐れ…

スポーツ年鑑を持って過去に戻れればなぁ。