あては高知九反田の侠客・鬼龍院政五郎の、鬼政の娘じゃき。
なめたら、なめたらいかんぜよ!
ー映画『鬼龍院花子の生涯』より
「宮尾登美子と戦後女性作家の世界」という心ときめく特集に惹かれて神保町シアターへ。
『鬼龍院花子の生涯』(1982年 東映)
監督:五社英雄
原作:宮尾登美子
出演:仲代達矢、夏目雅子、岩下志麻 ほか
大正、昭和の高知を舞台に、侠客鬼龍院政五郎(通称・鬼政)とその娘花子の波乱万丈の生涯を、12歳で鬼政夫婦のもとへ養女に出された松恵の目線から描いた作品。
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五社英雄監督といえば、『吉原炎上』か『鬼龍院花子の生涯』か。
という感じでタイトルは知っていたけれど、『鬼龍院〜』の原作が宮尾登美子だったとは…
確かに、腸チフス看病のあたりは小説『きのね』と通じるところがある。
そしていろいろ興味深い作品であった。
夏目雅子が鬼龍院花子じゃないんだ!とか
闘犬シーンは今なら絶対アウト!とか
仲代達矢の演技すごい!クソなところも少なくない鬼政をチャーミングにみせる演技力!妾に子供ができたときの喜び方や丹波哲郎の元へ慌てて駆けつける時などどこまで演出がついているのか…まさかのアドリブ…?容姿もゴールデンカムイの姫すぎるやろ…とか
正妻と妾の違いもバッチリ!笑若(えみわか)と牡丹の肉感的な感じバッチリ!とか
夏木マリが今と全然変わってない!怖い!とか
あの一瞬映って殴られた人、役所広司?とか
極妻の原点ってこの映画ですか…?とか
スケバン刑事の南野陽子の高知弁はこの映画の影響では…?とか
なかでも、鬼政の妻・歌を演じる岩下志麻がよい!良すぎる!
幼い頃に極妻を見て、その美しさは十分理解しているつもりだったけれど、まぁ良いですね。養女の松恵が幼い頃(仙道敦子時代)の髪こんもりアップも良いし、松恵成長後(夏目雅子時代)のしっとりアップも良い。極上。
着物姿や立ち振る舞いが粋というかあだっぽいというか。
帯に両手を突っ込んで立つ姿が観ていてホント気持ちいい。(手を突っ込む理由が謎なのだけれど、これは歌の持病が関係しているのか、ただ帯を緩めているだけなのか)
主人公・松恵を演じる夏目雅子の有名な「なめたらいかんぜよ」シーンも、
その養母である歌のセリフやカッコよい数々の前フリが利いてるから、ちょっと泣きそうになる。(やってることは結構ムチャクチャなんだけども…)
あと、勝手な持論を述べるなら、
ムラムラしない濡れ場を撮れる監督はできる監督。と思う。
(AVやポルノ映画はムラムラさせてなんぼなので別)
大島渚とかタル・ベーラとかディアオ・イーナンとか…?
伊丹十三のお尻はさみティッシュとかもよいです。
『鬼龍院花子の生涯』も濡れ場満載だったけれど、ムラムラしない不思議。
(いや、感じ方は人それぞれ…)