見ないフリ

一時的な対応策にしかならない現実逃避をずっとするブログ

名言についての考察

2011-04-04 | よかいち
① ありふれた言葉に気持ちが入った時ほど深い意味をもつものはないよ
   ―永積タカシ

② 普通の文章でも、例えば《ああ背中がかゆい ‐W.シェークスピア》と書くと、
   妙に意味深な感じがしてくる魔法が‘‘シェークスピア’’という言葉にはある
   ―三谷幸喜

名言ってありますでしょ。
青年よ、大志を抱け。だとか、あきらめたらそこで試合終了だよ、とか
わが巨人軍は永久に不滅ーとか、野球はひとりでもできる、ベンチがあほやからうんぬん。

もう言い出したらきりがないけど、名言。

名言って上記①および②で示した要素が大きく関わっているよね、と思う。


つまり

ある境地に達成した人からボロッとこぼれ落ちる言葉 =要素①
言葉を発した人の背景、功績、を受け手が知っているからこそ生じる重み =要素②


①または②、どちらか一つの要素しか含んでいない言葉でも名言にはなり得るけど、
①+②だとより強靭な名言となるわけ。



「目標に向かって一生懸命やれば、夢は叶う」           (要素①)

2004年、米・メジャーリーグの歴代シーズン最多安打記録を
84年ぶりに破ったイチロー                        (要素②)



①+②

「目標に向かって一生懸命やれば、夢は叶うということですよ」
 
―メジャーの歴代シーズン最多安打記録を
  84年ぶりに破った際のイチローのインタビューより―



説得力!
言葉のもつ威力がぐんっとね。ぐっと上がりましたでしょ。


「努力すれば夢は叶う」なんて、
多かれ少なかれ、生きていたら誰もが達する境地であると思う。
なのに、格が違うわ、イチロー。と。

イチロー知らなかったら意味なくなるんだけどね、、

すごいイチローファンみたくなってるし・・・


名言って、
そのものの内容や言葉のチョイス、そのセンスが重要なのは当然なんだけれど
発言者本人、その言葉が出てきた背景、はたまた、
発言者に対する受け手の関心度や好感度、その辺も結構関係あるんだね。


そんな話。


よかに

2010-06-28 | よかいち

「よかいち」

意味: 今になって、そのことの良さや意味に気づくこと。

納豆おいしい。

昔は全然ダメだったけど
「食べ物なのに足の裏のにおいがする!」
つって嫌いな食べ物の筆頭だった。
それが今じゃ毎日食べている。

う~ん、よかいち。よかいち。 これしかないわ!


なんて悦に入っていたのもつかの間、
歌人・穂村弘さんの『「この世」の大穴』というエッセイを読んで不安になった。


エッセイの中で穂村さんは

「美味しいと思わなかったものが美味しく感じるようになるといった味覚の変化は
 世界が豊かになるという観点からはいいが、一方で、
 そういうかたちで「この世」に馴染んでゆくことに後ろめたさを覚える。

 学校を追い出されたり、神秘思想に近づいたり、めちゃくちゃだった筈の
 ヘルマン・ヘッセが至った晩年の豊かな境地や
 成熟後の赤毛のアンが手に入れた穏やかな幸福は、
 「この世」の大穴に吸い込まれてしまった結果では?」

って風に語ってるわけです。

ぎゃ!とね。
ぎゃ!!と思うわけだす。

今になってそのことの良さや意味に気づけたことを、「よかいち」とか勝手に言って
嬉しく思ってたのに、
実は、ただこの世に馴染んで、鈍感になって、
大穴に吸い込まれていたただけかと思うと。。。

怖いこと言うなぁ、穂村弘。


まぁ、ものは考えようだから。
人間はしたいことにならなんにだって理由も理屈もつけられるかんね~!
ね!ベンジャミン・フランクリン!!



よかいち

2010-06-28 | よかいち

「よかいち」

意味: 今になって、そのことの良さや意味に気づくこと。

15年くらい前の話。

焼酎「よかいち」のCM

バクザン先生っていう有名な書道家(?)が出てきて、
「よかいち、よかいち」って言いながら
半紙に漢字の「一」をひたすら書いている、、、

って内容のCMがあったんだけど。(ものすごいうろ覚え)


当時小学生で習字を習っていた私は
バクザン先生が書く「一」の文字を見て、なかなかびっくりした。

すげー汚い!にじみまくってるし、トメとか全然できてないし、筆はボサボサやし。
CMに出るくらい有名なのに、これはいかんでしょ…
なんちゅう奴や…

つって、ざわざわした(ひとりで見てたけど)ので
担任の先生に聞いてみたわけです。

「あのCMのバクザン先生なんなの?字、下手よね?」 って。

したら、先生は

「バクザン先生は習字を書いて書いて、上手くなって、
 究極に上手くなっちゃったから、さらに上をいく良い字を書きたいのよ。
 『一』って漢字は一本の線だけで成り立ってて簡単に書けそうだけど、
 納得のいく良い『一』を書くのは簡単じゃない」

って言うわけ。

私は担任の言う言葉の意味がわかんなくて、

習字上手く書けるのに、なんであんな下手に書くの?
究極に上手い字があれ?理解できん!
って思った。


この「よかいち」事件のことを最近思い出したんだけど、、


今なら分かるわ。


担任の言ってたことや、バクザン先生のやってたことの意味がわかる。
(バクザン先生の書く「一」の良さはわからんかもだけど)

要するに技術じゃなくて、「味」とかそういうことでしょ?

ピカソも、普通に上手い絵描けるけど、あえてのキュピズム。
華麗な北山文化があったから、わびさび東山文化ってことでしょ?(違うか、、)



まま、こういう今になって分かることってあるわけスよ。

小さい頃は大嫌いだった椎茸が、最近やたらと美味しい、とか
マッサージが気持ちよく感じるとか、
だから何?って思ってた尾崎放哉の句がすこぶる胸にしみる、とか。

   
挙げればきりがないけども。


そういうわけなので、今になって良さや意味の分かるようになったことを
「よかいち」と呼ぶことにしました。

よかいち、よかいち。