見ないフリ

一時的な対応策にしかならない現実逃避をずっとするブログ

白鳥の湖

2021-04-21 | 本と漫画と映画とテレビ
準備段階で全力投球してこそ余裕が生まれる
ー志村けん


「人生で一度は観ておきたい、クラシックバレエの真髄がここに!」
というラジオCMに心惹かれ、
生まれて初めて、バレエの公演を見に行く。

公演バレエ団は、1999年に創設された日本のKバレエカンパニー。

昔(1997年頃?)のインスタントコーヒーのCM
「熊川哲也は知っている」(♪ダバダ〜ダバ、ダバダ〜)で
おなじみ?の熊川哲也が芸術監督を務めるバレエ団です。

演目は、ディス・イズ・バレエというか、
バレエといえばこれしか知らない、そう『白鳥の湖』。
『眠れる森の美女』『くるみ割り人形』と並び「三大バレエ」と称されるのだそう。
(どれも作曲はチャイコフスキー)

「♪ミ〜ラシドレミ〜ドミ〜ド〜」つって、あの有名な旋律は口ずさめるし、
純白のチュチュを着たヒロインの姿もパッと頭に思い浮かぶけれど。

恥ずかしながら、それ以外のバレエ知識が皆無なので
当日楽しめなかったら嫌だ&席代も高いし元をとりたい、という貧乏くさい理由から、前もって下準備をしておきます。(無駄にガリ勉するタイプ)

まず、図書館でバレエの歴史本を読みあさり、
続いてYouTubeでスヴェトラーナ・ザハーロワの踊る『白鳥の湖』をみて予習。

全4幕からなるあらすじは以下の通り。

●プロローグ
悪魔・ロットバルトが魔法でオディット姫を白鳥に変える。

●第1幕
王宮にて王子・ジークフリートの成人祝いパーティーが開かれる。王子は王妃から明日の舞踏会で花嫁を選ぶように言われるが、まだ結婚したくない王子は憂鬱に思いながらも、友人達と共に湖へ狩りに向かう。

●第2幕
夜、湖のほとりで泳ぐ白鳥たち。一羽の白鳥が美しい娘(オディット)に変わる姿を目撃した王子は、思わず彼女に駆け寄り身の上話を聞く。オディットは夜だけ人間の姿に戻ることができ、この呪いを解く方法は、まだ誰も愛したことのない男性に愛を誓ってもらうことだと話す。惹かれ合う王子とオディットの前に悪魔が現れ、二人を引き離す。

●第3幕
王宮の舞踏会に、魔法でオデットそっくりに変身した悪魔の娘・オディールが現われる。その妖しい美しさに魅了された王子は、オディールがオデットだと信じて愛を誓う。そのとたん悪魔とその娘は正体を現し、王子は騙されたことに気づく。

●第4幕
王子は湖に向かい、オデットに許しを請う。しかし、一生人間に戻れないことに絶望したオデットは湖に身を投げ、王子もその後を追う。そして死をも恐れぬ二人の愛によって悪魔は滅びるのだった…(?)




エンディングは二人が死ぬ(そして来世や天国で結ばれる)悲劇版と悪魔を倒して現世で結ばれるハッピーエンド版があるらしい。

そんなことより、『白鳥の湖』観賞の一番の醍醐味は、
一人のバレリーナが清楚なオディットと妖艶なオディールという正反対の人物をいかにうまく演じ分けるかという部分なんだそう。
そういえば、映画『ブラックスワン』でナタリー・ポートマン演じる主人公もこの一人二役を前に、狂い散らかしていたっけか…。

あと、第2幕に登場する4羽の白鳥の踊り(映画『ミッドナイトスワン』で主人公が職場のショーパブ?で踊ってたやつ)や、第3幕で、王子に対する勝利を確信した黒鳥・オディールが見せる32回転グラン・フェッテも見どころ。

んで、第2幕で白鳥たちがいろんなフォーメーションでみせる群舞のことを「コール・ド・バレエ」、第3幕の舞踏会でストーリーとは特に関係のないダンス(民族舞踊部分)が連続して踊られる場面を「ディベルティスマン」、黒鳥のオディールと王子が二人で踊るような、見せ場となる男女のダンスを「グラン・パ・ド・ドゥ」と呼ぶらしい。

ちなみに、現在上演されているバレエ『白鳥の湖』の原型は、ロシアで活躍していた振付家のマリウス・プティパとレフ・イワーノフによって作られ、全幕が初演されたのは1895年。日本は明治時代で日清戦争とかのころですな。もっと以前に別の振付家による『白鳥の湖』が発表されていたけれど、それはかなり不評で、作曲家のチャイコフスキーが亡くなり、その追悼式でイワーノフ版の2幕のみが先行披露されたのがはじまりだとか。

1895年の初演時からすでに白鳥たちの群舞やオディールの32回転フェッテの振付は入っていたそうで、100年以上前から振り付けが変わらないこともすごいけど、はるか昔からクルクルと32回転していたバレリーナがすごい…。
そしてマリウス・プティパの振り付けた作品には、基本「グラン・パ・ド・ドゥ」が入っている。そうです。


・・・とまぁ、必要そうな用語と基礎知識を頭にたたきこんで、
いざ観劇…!


感想は、やっぱりリアルっていい!格別!
すんごい感動。ブラボー!
(なおコロナ対策のため、歓声は禁止。でもブラボーって言いたかった!)

実のところ、
あらすじを知って、クソつまんねぇ話だなと思っていたけれど、
それをちゃんと魅せる作品に変換しているバレエがすごかった!

さすがは総合芸術!
バレエ大好きっ!

生オーケストラは贅沢でかっこいいし、
(オーボエが大活躍。弦楽器の人はマスク着用)
衣装も舞台美術もとってもすてき。
(YouTubeで事前にバレエ『白鳥の湖』をいくつか観たけれど、
衣装はKバレエが一番かも?っていうくらいすてきだった)

3階席だったので、遠くから舞台を見下ろす形だったけれど、鑑賞にはぜんぜん問題ナッシング。上から見ても楽しめるように作られているバレエってすごい。(バレエやオペラ専用のホールだったからなのかも?)

そしてなにより、バレエダンサーたちの動きがすごい。
同じ人間とは思えない跳躍、関節の動き。美しい身体のラインにうっとりします。
ドガの描いていた踊り子の足の動きそのまま。



あんなに踊れたら楽しいだろうなぁ(うらやましい)という気持ちと、あの軽〜く踊っているように見えるまでにどんだけ練習してきたんだろうか…(怖い)という気持ちと。

ところで、
ドリフで「いっちょめ、いっちょめ」(東村山音頭)の時に白鳥の衣装を着ていたのはなぜなのでしょう。
股間に白鳥の頭がついてる姿は滑稽でめちゃくちゃおもしろいけれど、音頭と白鳥の関連性や如何に?当時日本でバレエブームが起きてたとかなのかな?
これはこれで気になるところ。