見ないフリ

一時的な対応策にしかならない現実逃避をずっとするブログ

細雪のキャスティングを考える

2021-01-04 | 本と漫画と映画とテレビ
お前が結婚すればそれが嬉しい。お前が結婚しなければそれも嬉しい。
—武者小路実篤


「こいさん、頼むわ。———」

というわけで(?)図書館のブラウジング中に目があった、谷崎潤一郎の小説『細雪』を、数ヶ月かけてちょっとずつ読んでいます。



『細雪』
作者:谷崎潤一郎
1936年(昭和11年)秋から1941年(昭和16年)春までの大阪船場の旧家を舞台に、蒔岡家の四姉妹(鶴子・幸子・雪子・妙子)の日常生活の悲喜こもごもを綴った作品。

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以前『春琴抄』と『富美子の足』を読んで、
文学っていうかエロ小説やんけ!と思っていたけれど、
『細雪』はぜんぜん雰囲気も異なり、とっつきやすい上に
戦前の富裕層の暮らしぶりや結婚観、
やわらかな船馬言葉(関西弁)、
美しい四季の移り変わりが味わえる上等な文学だった。

「細雪」というタイトルだけあって、三女の雪子ちゃん(少食でめちゃくちゃ細い)の結婚相手探しを軸に物語は進んでいくのですが、この三女、かなり無口な上に何を考えているかよくわからない。
お見合いは姉夫婦に任せると言いながらも、意外と好き嫌いは出してくるし…電話は苦手だし…影は薄いし…なかなかどうして主人公らしくない。

登場シーンや心理描写は次女の幸子がいちばん多くて、長女の鶴子夫婦(本家)と下2人の未婚の妹達との仲を取り持ったり、近所付き合いやら、お見合い相手とその仲人の対応やらに奔走したりする様子から(もともと社交的で気配り好きな人ではあるんだろうけれど)その気苦労が伝わってきて、読者としては雪子じゃなくて幸子に感情移入してしまいます。(幸子のモデルが作者の妻だから詳細に描かれているのだと思う。つまり、幸子の理解ある夫・貞之助は谷崎自身てこと…?)

こいさん(小娘(こいと)さん:大阪の家庭で末の娘を呼ぶのに用いることば)こと、四女の妙子も姉3人とは毛色が違って自由奔放で、彼女のおかげで物語がおもしろく展開していくため、こいさんもカゲの主人公。
(長女は出番が少なくよくわからないけれど、マイペースでお芝居が大好きっぽい)

中盤には雪子のお見合いそっちのけで、
1938年(昭和13年)7月に起きた阪神大水害の様子が描かれ、
これがかなり読み応えがあってよろし。(まさか板倉がねぇ)

さらに、京都・平安神宮の桜は観に行きたくなるし、銀座のローマイヤのソーセージ&ビールも味わいたくなるし、富士ビューホテルにも泊まりたくなる。
なぜ奈良ホテルだけ、南京虫がいてスタッフの愛想も悪いとクソミソに書かれたのかは謎。


あとはやっぱり、2021年現在、この美しい四姉妹を誰が演じるのかっていうのが一番の難題。
読みながらずっと考えている。(考える必要は全くないけれど)

過去の映像や舞台作品では、各時代のトップ女優さんが演じています。それはもう豪華絢爛。
高峰秀子、京マチ子、八千草薫、草笛光子、岸惠子、吉永小百合、沢口靖子、檀れい……etc.

私の頭の中のキャスティングディレクターも忙しなく動き出すわけです。
できれば関西出身で、雪子ちゃんは30〜35歳。
長女と三女は和風美人で二女と四女が派手目の顔だちで。。。

長女・鶴子→水川あさみ
次女・幸子(中姉ちゃん)→北川景子
三女・雪子(き姉ちゃん)→戸田恵梨香
四女・妙子(こいさん)→のんor有村架純

こんな感じ?うーん。
個人的には次女の幸子は藤原紀香を推したいのだけれど、
そうすると全体的に変えないといけないからなぁ。
雪子ちゃんはもう少し儚いイメージなのよねぇ。あぁ悩ましい。


話は変わって、最近ニッポン放送の『ザ・ラジオショー』をラジコでよく聴いている。
ナイツが月〜木曜日の13時から2時間半、曜日がわりのパートナー(平野ノラ、山崎ケイ、安藤なつ、箕輪はるか)とともにおしゃべりを繰り広げるのだけれど、これがまぁずっと聴いていられる。金曜は中川家でこれまたずーっと延々と聴いていられる。(ラジオCMを作るコーナーは神がかっている。お兄ちゃんの構成とそれを形にするスタッフがすごい。あとつよメロちゃんがおもしろすぎる。最近、本家の方を聴いても笑ってしまう。)

ナイツが各曜日のパートナーに分け隔てなく優しいのもいいし、
曜日パートナーによって番組の雰囲気が変わるのがまた良いのです。

ハリセンボンの箕輪さんがパートナーの木曜は、冒頭の3人のフリートークがあまり弾まないのか、リスナーからのメール読みに移る時間が他曜日より早めなのもまた良い。
で、重機の話になると箕輪さんのテンションがちょっと上がるのも良い。


ここでまた『細雪』の話に戻りますが、
中巻の終わり頃に出てくる雪子ちゃんの人柄をよく表す電話エピソードがステキで。
(ちなみに下巻でも雪子ちゃんのステキな電話エピソードがある)

「と、何を云うのやら、雪子の云うことが聴き取りにくくてさっぱり分らない。それは電話が遠いのではなく、雪子の地声が小さいせいなので、彼女にすれば一生懸命ノドを振り搾っているのだけれども、「はかない」と云う形容詞がよく当てはまる、細い弱々しい声であるから、電話だと実に明瞭を欠くのであった。で、平素から雪子ちゃんの電話ぐらい癇(かん)の立つものはないと云うことになっており、彼女自身も電話は苦手で、大概誰かに代って出て貰うのであるが、今日は板倉に関することなので、お春にも云い付けられず、と言って貞之助にも頼めず、仕方なく自分が出ているのらしかった。幸子は、少し話していると直きに蚊の鳴くような細さになるので、しゃべっている時間より「もしもし」と云っている時間の方が長いように感じられたが、ようやくきれぎれに聴き取り得たところでは…(中略)と云うのであった」

これを読んでいると「雪子ちゃん役、箕輪さんぴったりだなぁ」と思う。

そしたら、残りの姉妹の配役は
上からノラさん(マイペースな長女・鶴子)、相席スタートのケイちゃん(みんなの調整役の次女・幸子)、四女はメイプルの安藤なっちゃん(個性的で奔放な妙子)。

いや、次女の幸子は中川家・礼二の方がいいかもしれない。で、ケイちゃんは何かと見合いをセッティングしてくれる美容師の井谷さん。

となると、必然的に?幸子の夫・貞之助は中川家のお兄ちゃんで、鶴子の夫で養子の辰雄はナイツの土屋さんとなりますわな。
(棒の塙さんは電車で偶然出会う見合い相手とか?)

キャスティングも無事決まったことですし、これからも細雪・ザ・ラジオショーを楽しみに聴いていきます。