おまえらテープ回してないやろな
―岡本昭彦
2019年の流行語大賞が「闇」に決まり、
授賞式には雨上がり決死隊の宮迫さんが登場したとかしなかったとか。
仕事復帰おめでとう!
そんなパラレルワールドの話はさておき。
教養のためにも
いつかは観ないといけないと思っていた映画をようやく鑑賞。
今さらながら、
「朝日ソーラーじゃけん」の意味(菅原文太と広島弁の関係性)を理解する。
『仁義なき戦い』(1973年 日)
監督:深作欣二
脚本:笠原和夫
音楽:津島利章
出演:菅原文太、松方弘樹、渡瀬恒彦 他
実在のヤクザの抗争を題材に、裏切り・裏切られる若者たちを描いた青春・娯楽・ヤクザ映画。殺伐とした暴力描写やヤクザを現実的に暴力団として扱ったことで、従来の任侠映画特有の「美化されたヤクザ像」を覆した作品。一作目の大ヒットによりシリーズ化。
みんなピチピチ。
役者さんのお肌がみんなピッチピチ。
主役の菅原文太はいわずもがな、
松方弘樹も梅宮辰夫もお肌がプリプリのブリンブリン。
みんな殺されるけれど渡瀬恒彦も伊吹吾郎もピッチピチ。
皆さま当時20~30代なのかな?
50年近くも前の映画だから、みんな若くて当然なのだけれど、
いや~みずみずしいったらない。
若さって才能。
足元から斜めのカットで映し出される冒頭のシーンや
『シンドラーのリスト』『ライフ・アクアティック』ばりに
赤が強調された映像もかっこよろしいし、
なにより音楽!
「チャララ~チャララ~♪」っていうあのテーマ曲。
オープニングだけじゃなく、人が死ぬ度に
「チャララ~チャララ~♪」っていう。
何度聞いても血沸き肉躍る名曲。
作った人天才じゃない?
人が死ぬ度に出るあのテロップ?もたまらんのです。
なにより、
注目すべきはストーリー。
物語が今年話題になっていた吉本興業の反社騒動と重なってなかなかのタイムリー。
まぁ、映画の登場人物の大半は反社会的勢力なんですけれど…
重要なのはそこじゃなくて、
主人公が属する山守組の組長さんが組員に向かってことあるごとに
「組は家族じゃないか」「わしは親も同然よ」的なことを言うのです。
そしてその舌の根も乾かぬうちに、
組長は「家族」や「子供」である組員を裏切って見殺しにするっていう。
(組長を演じる金子信雄が「ザ・タヌキおやじ」という感じでとてもいい。
金子信雄って東ちずるに軽いセクハラをしながらクッキングをする料理研究家か何かだと思っていたけれど、俳優さんだったのな…)
組の幹部たちが集まって、組長に上納金の割合を下げてくれるようお願いする場面は
まるで吉本興業の中堅芸人と吉本幹部らとの間でなされたとかいうギャラUP交渉会議を見ているよう。
極めつけは、薬物問題。
山守組ではヒロポンの使用および製造・売買は禁止されているにもかかわらず、
ヒロポンでガッポリ稼ぎ始める組員がいて、それが原因で内部紛争が勃発。
結果、ヒロポンで稼いでいた組員一派は殺されるわけです。
しかし実は、組長自身がその死んだ一派から取り上げたヒロポンを横流しして、お金を稼いでいたことが判明し……。
この一連の流れが、吉本興業の反社騒動とダブってしょうがなかった。
反社からの仕事を受けていたことが明るみになった芸人たちは
事務所をクビになったり、謹慎したりしたけれど、
実は事務所自体も反社と仕事してたらしいよ…っていう。ね。
「ヒロポン=反社会的勢力」「ケンカ=笑い」「山守組=吉本興業」という構図が頭から離れなくなったものだから
ラストの葬式シーンで銃をぶっぱなす主人公がロンブーの亮さんに見える始末。(幻覚がひどい笑)
要するに、吉本興業ってヤクザなんだな、という感想。(決めつけもひどい)
「つまり、あれがヤクザなの。弱い者には強いけど、強い者にはまるっきり弱い」
そんなことを、映画『ミンボーの女』のなかで宮本信子が言ってたけれど、
その定義が正しいなら日本はヤクザでいっぱいだー